50話 大天使襲来[6]3
「ようこそ、ボクの世界に♪ 君達二人を心から歓迎するよ♪」
腕を広げ、まるで仲の良い友人を家に招待したかのように楽しそうな笑みを見せる大天使ガブリエルを見て、ティガウロは警戒を強めた。
いや、大天使ガブリエルだけならティガウロもここまで警戒は強めなかっただろう。
大天使ガブリエルの背後に佇む天使の軍勢、彼らはティガウロとユリウスに対し、尋常ではないほど殺気のこもった眼差しを向けている。
いつ襲いかかってきてもおかしくない気配を漂わせる彼らが襲ってこない理由は、まず間違いなく大天使ガブリエルが全体に襲撃の合図を出してないからだろう。
もし、彼らが一斉に自分達を襲ってきた場合、この状況では守護対象のユリウスを守れる自信が無かった。
「ねぇねぇそこの君。そんなに警戒しなくても、君達が抵抗をしないんだったらボクは何もしないよ?」
なんの根拠も無しに敵の言葉をやすやすと信じるほどティガウロは愚かではない。だが、ティガウロは背後からユリウスに手を肩に置かれ、振り向いた。
その紫紺に輝く瞳がティガウロに有無を言わせない。
ティガウロはおとなしく武器をおろした。
「さてさて、武器を下ろしたところで話を始めようか♪ 二人とも気付いているだろうけど、ここはボクが天上神様より与えられたルーン《空間》という素晴らしい力で創った空間さ。通路を使わなければ絶対に出ることも出来ないし、誰も中に入ることは出来ない。いわゆる逃げ場無しの密室空間さ」
その言葉に明らかな動揺を見せてしまったティガウロとは違い、ユリウスは大天使ガブリエルの言葉を小さく笑うと、挑発的な視線を彼に向けた。
「ふっ、それはおかしいんじゃないか? 今の話だと出口はあるように思えるが? それでは逃げ場無しの密室空間とは言わんのでは無いか?」
「あっても出来る訳無いだろ♪」
「どういう意味だ!!」
煽るガブリエルに対し、頭に血が昇って激昂したティガウロが言い返すと、ガブリエルは愉快に満ち満ちた笑みを二人に向けた。
「だって出れる訳無いだろ♪ なんたって出口はボク自身が出そうと思わなければ使えないんだから、さ♪」




