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弟子は魔王  作者: 鉄火市
第7章 最強決定戦編
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49話 大天使襲来[5]8


 その言葉に顔をそちらヘ向ければ、カトウが銃をこちらに構えていた。


「おとなしく日記を読んでろよ。俺達の目的は魔人ベルフェゴールを保護して魔界ヘ送り返すことなんだよ。頼むからそれが終わるまでおとなしくしていてくれよ……」

「悪いがそれは出来なくなった」

「なんでだ!!!」


 カトウが叫ぶ。その表情からはカトウの心情が容易に想像出来た。


「お前の日記に出た大天使ガブリエルという存在……こいつが今回の作戦に加担しているなら、ユリウス達だけじゃ心細いしな……俺も出て戦った方がいいだろ」

「……お前の目的は大天使サリエルなんだろ? この戦いが終わったら、俺が自称神の爺さんに頼んで場をセッティングしてやるからさ……今回はおとなしくしていてくれよ……」


 今にも泣きそうになっているカトウの表情に、俺は疑問を抱いた。


「……お前……誰か人質にでも取られてんのか?」


 その言葉に、カトウはまるで図星をつかれたような動揺を見せた。

 本来のあいつであれば、表情を変えずに誤魔化せていただろう。だが、今のあいつからは、表情を偽る余裕すら感じない。

 カトウは少し悩んだが、すぐに深刻そうな面持ちで口を開いた。


「ルーンの代償……覚えているか?」

「その者にとっての大切なものだろう?」

「そうだ。俺が日本で過ごした時間やその記憶は、なにものにも替えがたい大切なものだ」

「だろうな。だから奪われたんだろうし」

「そう。でもそれが一番大切かと言われれば、そうじゃない。思い出は思い出として大切だが、それとは別に、もっと大切な存在がある」

「……まさかお前……」


 カトウはコクリと頷き、そして、告げた。


「俺は今回の件で協力する代わりに日本の記憶を取り戻した。だが、もしも契約を反故にした場合、今度は別の代償を取られる……つまり……」

「ミチルが人質か」


 俺の言葉に、カトウは悔しそうな表情でコクリと頷いた。


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