表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
弟子は魔王  作者: 鉄火市
第7章 最強決定戦編
352/364

49話 大天使襲来[5]6


「これはあいつが目覚めてから毎日のようにとっていたもの……いわゆる日記帳のような物だ。今朝、目覚めたら全てを思いだしていてな。机の上に置いてあったこれを見て、俺は自称神の爺さんに協力することにした」

「自称神、ね……」

「これには色々なことが書かれていたよ。……あいつは常々思っていた。仲間達が自分に向ける笑顔は自分に対してのものじゃない。記憶を失う前の俺に対してのものでしかないんじゃないか、と。でも、どうしようもないと諦め、受け入れることしか無かった。そんなある日、あいつは今回の計画を持ちかけられた。その時の心境を教えてやろうか? 昔の日本という未知の知識を持つ俺だったらレン君を救えたかもしれないのに、だ。メルランの時もそうだ。だから、あいつは天使に協力した。契約の名の下に俺を縛り付けてな」


 そう言って、カトウは懐から取り出したノートをこちらに投げ渡してきた。


「読みたきゃ好きにしろ。俺はお前と戦いたい訳じゃない。目的は足止めであって、お前を殺すことじゃないからな。お前と敵対する必要が無くなるってんなら、日記くらい見せてやるよ」


 後頭部をかく癖が出てるな……。

 カトウがあの癖を見せる時は絶対に本音だった。まぁ、あんな癖があろうと無かろうと、あいつの言葉に嘘が無いことくらいなんとなくわかるんだけどな。


 ニホンの記憶を失い、困惑していたカトウは、どうやら以前の自分がやっていたように日々の記録をつけることにしたらしい。

 そこには確かに、過去の自分と今の自分を比較し、自虐している様子がありありと書かれていた。

 時間をかけない為にも斜め読みの手法を取り、興味深い文だけを注視した。

 その結果、色々とわかったことがあった。


 カトウは俺とレンの病室に向かったあの日、騙された形で大天使の配下を名乗る者に連れられ、大天使ガブリエルに出会ったそうだ。

 その姿は、十代前半くらいの身長をした少年ではあったものの、顔に酷い裂傷があるとかなんとかで仮面を被っていて、少し怪しいとも感じていたらしい。

 だが、俺の為に大天使サリエルに繋がる手掛かりを得るべく話を最後まで聞いたカトウの感想は、どうすればいいのかわからなくなってしまったというものだった。

 代償で奪ったニホンでの記憶。

 ミチルや他の諸々よりも大切だと感じていたという記憶を取り戻せるというのが、彼には響いたらしい。


 彼らの目的はただ一つ、魔王グリモワールの娘、魔人ベルフェゴールを直ちに保護し、魔界へと送り返すことだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ