49話 大天使襲来[5]2
「おいバカトウ、高等部の頃と同じ防ぎ方で、今の俺を止められると思ってんのか!! manipulate!!」
俺の魔力弾をこいつが撃ち落とすことなんて想定済みだ。
ましてやあれから十年も経ってんだ。あの時のままの手招いているだけの俺じゃないぞ!!
カトウに撃ち落とされたことで残るのは俺の魔力が込められた弾丸のみ。
俺はそれらに手を向け、そして、カトウのいる方向に向かって手を振るった。
すると、もはや仕事を終えたはずの弾丸が、俺の魔力で浮き上がり、そのままカトウを追尾し始めた。
カトウの方から舌打ちするような音が聞こえた直後、一瞬火花が散った。
すると不思議なことに、俺が操っていた弾丸の反応が何故か消えてしまった。
何が起こったのかは理解出来なかったが、その程度のことで俺は顔に動揺を見せはしない。
あいつに過去と同じようには止められないぞと教えられただけで、充分意味のある攻撃だった。
だが、それと同時に面倒な悩みも出来てしまった。
(……カトウの奴、あれをどうやって防いだんだ?)
俺のルーンは使い方によっては魔力の消費が激しい。ましてや、弾丸に具現化させた魔力の塊なんて、常人なら一発で貧血コースだ。
それをカトウに撃ったのは、当然それがカトウに対して効果のある攻撃だと思ったからだ。
だが、結果は防がれてしまった。
別に防がれたことに関しては大した問題じゃない。だが、防がれた方法がわからないんじゃ、無闇矢鱈に撃つ訳にはいかなくなる。
火花が散るのと同時に聞こえた金属同士がぶつかる音。一方が俺の操っていた弾丸とするならば、もう一方はカトウの持つなにかで間違い無いだろう。
銃を撃って相殺させた?
いや、それだと操れなくなったことに合点がいかない。
タイミングから見て、まず間違いなく弾かれると同時に操れなくなったと考えていいだろう。
(……となれば、魔力弾の連発は止めた方がいいな? まったく……面倒な相手だよ、お前は……)




