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弟子は魔王  作者: 鉄火市
第7章 最強決定戦編
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48話 大天使襲来[4]4


「なんとか言ったらどうなんだよ!!」


 怒気を孕んだ男子生徒の声が飛ぶ。その言葉に続き、ベルを急かすような声が飛ぶ。

 だが、ベルにはそれに応じる余裕すら無い。


 彼女の記憶に今も鮮明に刻まれた記憶。

 魔人である自分を一切の容赦もなく暴行してきた人間達の姿が、自分に対し奇異の目を向けるクラスメイト達と重なってしまう。


 どんなに自分が笑顔で接していようと、クラスメイトがこれまで見てきたのは人間に偽装した自分でしか無い。

 もしも正体を知られてしまえば、またあんな目にあってしまう。

 だが、自分がどうすればいいのかが、彼女にはわからない。


「おやめください」


 喧騒に包まれた空間に、女性の凛とした声が響き渡る。

 その声は、一瞬で喧騒を沈静化し、騒ぎ立てるクラスメイトやそれを抑えるエリス達の視線を独り占めにした。


 ゆっくりと、ベルの下に歩み寄るカトレアは、椅子の上で泣いているベルの涙を拭い、優しくベルに向かって微笑んだ。


「お嬢様、ここにはあの時のような輩はおりません。貴方を想い、庇ってくださった友の言葉に耳を傾けてあげてください」

「……カトレア?」

「それに、ここには私というお嬢様を絶対に裏切らない味方がおります。例えどんなことがあろうと、お嬢様の身はこの私が護ってみせます」


 確固たる意志をその目から感じ取り、ベルは跪くカトレアに対し、首を傾げた。

 彼女から感じ取る雰囲気のせいか、不思議と彼女の姿がシズカと重なった。


 カトレアは立ち上がり、ベルのクラスメイト達に体を向けた。


「貴方達の想像の通り、お嬢様と私は人間ではありません」


 その言葉を聞いた瞬間、クラス全体に衝撃が走る。

 そして、空中でそれを見ていたサリエルの口角が吊り上がる。

 今まで築いてきたであろう関係性が崩れ去っていく瞬間を愉しんでいたサリエルにとって、カトレアによるカミングアウトは最高の肴だった。

 誤魔化すようであれば、如何なる手を使っても関係悪化の爆弾を投げ込むつもりだった。

 だが、その必要は無くなった。

 なにせ、こっちが何もせずとも自爆してくれたのだから。


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