47話 大天使襲来[3]7
「グルニカ……魔王の城があると言われている地か……」
マルクトがどこの出身であるかを知っている者は少ない。だが、ピスカトルは彼の担任であるジャックとは昔ながらの付き合いで、今でもたまに酒を酌み交わす仲だ。
そんな彼だからこそ、色々と思うところがあったのだろう。
「……ありがとう、クレフィ君。お陰で色々とわかったよ」
「では!!」
ピスカトルの告げた言葉で、クレフィの表情が花が咲いたように明るくなった。
「情報といっても、現状、中の者と連絡が取れない状態になっているとしか言いようが無い。サテライトを使っているんだが、どうにもかかりが悪くて向こうの者達とだけ繋がらない。そのうえ、スタジアム入口から中へ入ることもできなくなっているようだ。まず間違いなく天使側、もしくは何者かが邪魔者を侵入させないように設けた処置だろうな」
「じゃあ、もしかして中には……」
「……クレフィ君、認識阻害の魔法を自分にかけなさい」
表情が暗くなったクレフィに、ピスカトルは告げた。
「君の担任には途中で家族が来て連れ帰ったとでも告げておこう。おそらく同じだろうが、一般解放用の入口であれば、教師の目は少ない。まぁ、こっちよりはいくらか動きやすいだろう。ただ、もしも君に何かあっても私は責任をとらない。君の判断で決めなさい」
「……いいんですか?」
「良いも何もない。学園は学び舎だ。子ども達を守る為に最善を尽くすし、子ども達のやりたいことを後押しもする。だから、君は君のしたいようにしなさい」
「……ありがとうございます!!」
強い意思を持った眼差しをピスカトルに向けると、クレフィは彼に背を向け、正面入口の方へと向かっていった。
そんな彼女の背中を見送って、ピスカトルは誰に聞かせるでもなく呟いた。
「……これがカトウ先生の言ってた青春ってやつなんですかね〜」




