42話 二日目4
(あぁ……朝から酷い目にあった……)
俺のことを待ってて寝落ちしてしまったベルと一緒に寝てたら、案の定カトレアに怒られてしまった。
大半の理由は意味がよくわからないものだったが、なんとか事情を聞いてくれる状態になったカトレアに説明すると、どうにか許してもらえた。
まぁ、一時間くらい説教は受けたんだがな……。
そんな訳で割とぎりぎりな時間帯に俺達は学園に来ていた。
向かう先は当然学園の敷地内にある巨大なスタジアムで、俺達は多くの視線を感じながら学園の生徒用に用意されている観客席の方に向かった。
「ベルちゃん、メグミちゃん、おはよー!!」
観客席の方へ向かっていると俺達の存在に気付いたエリスがベンチに膝立ちしながらこちらに向かって手を振っていた。
そんなエリスの元に駆けていくベルの姿を見送りながらも、俺は歩幅を変えることなくゆっくりと向かった。
「先生、クレフィ先輩、それからカトレアさんもおはようございます」
皆の元に着くと、ベルの頭を撫でていたエリスは俺達にも挨拶してきた。
「おはよう。ところでエリス、ティガウロの様子はどうだ?」
「え? あぁ、全然大丈夫でしたよ。先生が治療してくれたんで後遺症とかはなにもないそうです。というか正直あいつが吹っ飛ばされるの見た時はすっきりしたな〜」
「もうお姉ちゃん!! お兄ちゃんのことをあいつだなんて言っちゃだめだよ!!」
「はいはい、相変わらずエリナはお兄ちゃん大好きだね〜」
少し怒った様子のエリナがベンチから立ち上がり、その場でエリスを嗜める。だが、エリスは適当な返事をするだけでまともに取り合う気は無い様子だった。
「もう!! ……すいません先生、お恥ずかしいところをお見せしました」
「おはようエリナ。朝から姉の言動を注意するのは別に構わないが、もうちょい場所と声量を考えた方がいいと思うぞ」
俺の言葉で気付いたのかエリナは周囲へと目を向けた。
そこまで迷惑って程の声量ではなかっただろうが、人が多くいるこの場所では怒声は目立つ。
周囲の人々が自分を見ていることに気付いたエリナは顔を真っ赤にして、先程まで座っていたベンチに勢いよく座った。
そんなエリナに内心同情しながら、俺もベンチに座った。




