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弟子は魔王  作者: 鉄火市
第6章 校内戦編
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33話 姉妹の戦い3


 試合開始の直後、二人の魔力が高まっていくのを肌で感じた。その魔法が何なのかに関しては、距離があるせいでまだ俺にもわからない。……ただ、相当な威力だということはわかった。

 俺やカトウのように、魔力を数秒で高めるのは、一年生の二人には不可能だったが、それでも同年代の生徒と比べればかなり早かった。


「……いくよっ、お姉ちゃん!」

「どっからでもかかってきなさい!」

 二人の魔力が徐々に属性を帯びて、水と雷を形成していく。

「アクアスパイラル!!」

「メガサンダー!!」

 魔法名を同時に叫んだ二人の少女は、互いに中型魔法をぶつけ合い、中心地点で押し合う。

 互いに一歩も引かず、いつもの笑顔は真剣なものになっている。

 かなりの魔力を注ぎ込み、作り上げた魔法。

 簡単には終わらせられない魔法の押し合い。

 エリスはともかく、エリナにはこの魔法で押し合いを制さなくてはならない理由があった。


 エリナは、攻撃魔法が得意ではない。

 どんなに頑張っても、姉には遠く及ばないし、人を傷付けるのは好きじゃない。

 でも、そんなことを言っていられない事件が起きた。

 魔導フェスタ当日に、フェンリルという部隊が学園の機密事項を盗む為に侵入してきたのだ。

 しかし、担任のマルクトが敵側だったユウキを味方につけたことで、事前に対策することができ、そして、姉と二人で、重要施設のひとつを防衛するようエリナはマルクトから任せられた。

 だが、相手も二人、こちらも二人になった時、姉と離れ離れにされ、相手と一対一の戦いを強いられた。

 その戦いにエリナはなんとか勝てたものの、それは相手も戦闘特化ではなかったからだった。戦闘特化に見えたもう一人が、先にエリナを殺そうと考えていたなら、エリナは既にこの場にいなかっただろう。

 最低限の自衛も出来なければ、いくら担任が助けてくれると言っても、先に殺されるかもしれない。

 だからエリナは、相手の邪魔をする魔法の技術力向上と攻撃魔法をこの数ヶ月で磨いた。


(……お姉ちゃんの魔力よりも多い魔力を使ったからなんとか拮抗出来てるけど……これを突破されたら、魔力量も、攻撃力的にも多分負ける……絶対負けられないの!!)

 その思いが通じたのか、エリナが放ったメガサンダーが徐々に押し始めた。

 それは、エリスが込めた魔力の消費が思ったより激しくなったからで、込めた魔力量がエリナに比べて少なかったエリスのアクアスパイラルが形を維持出来なくなったからだった。

 そして、数十秒後、エリスのアクアスパイラルは、エリナのメガサンダーによって跡形もなく消され、エリナのメガサンダーがエリスに直撃し、土煙を立てた。


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