06
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「はぁ……」
昼休み、俺はクラスに居場所を失い。
食堂で一人、昼飯を食べていた。
いつもは大成や水鏡と来るのだが、あんな状況では二人を食事になんて誘うことも出来ず、今日の俺はボッチで飯を食べていた。
「この状況……いつまで続くんだろうな……」
「あら、貴霞君」
「え? あ……か、会長……」
俺が一人で食事をしていると、俺の前の席にトレーを持った会長が立っていた。
「今日は一人なの?」
「え、えぇ……まぁ……」
「ここ良いかしら?」
「あ、あぁ……ど、どうぞ」
会長はそう言うと、俺の目の前に座り、食堂で買ってきたうどんを食べていた。
そして、会長が来た瞬間、食堂内の視線が俺と会長に集まった。
「あ、あの……会長って前から食堂でしたっけ?」
「いえ、今日はたまたまよ、お弁当をわすれちゃったの」
「あ、あぁ……そうなんですか……」
「そ、それに……貴霞君とも会えるかなって思ったし……」
会長は恥ずかしそうに頬を赤く染めながら俺にそう言う。
普通だったら会長にそんな事を言われるのは非常に嬉しいことなのだが……この注目された状況では、男子からの殺気の方が気になって、素直に喜べない。
「あ、あはは……そ、そうだったんですか……」
「それに……貴霞君とは同じ学校だけど、学年が違うでしょ? だから、出来るだけ一緒に居たいの……」
バキッ!
どこかの机で割り箸の折れる男が聞こえた。 気のせいだよな?
俺に嫉妬してとかそういうので折れたんじゃないよな?
「そ、それは……あの……昨日の件と関係が?」
「もちろんよ、まさか貴霞君があんな可愛い子達と知り合いだったなんて……私全然知らなかったわ」
バキッ!
メキツ!!
今度は割り箸の割れる音と、机に日々が入ったみたいな男が聞こえたぞ……大丈夫だよな?
俺たちの会話を聞いて、イライラして力が入ってる訳じゃないよな!?
「そ、それは失礼しました……」
「本当よ……だから私、色々と決めたの」
「え? 何をですか?」
「貴霞君! 今週の土曜日は暇かしら?」
「あ、えっと……ま、まぁ……暇ですけど」
「そう……なら、少し時間を貰えないかしら?」
「え? そ、それはまぁ良いんですけど……えっと土曜日に何を?」
「私の父と会って欲しいの!!」
バキッ!
メキッ!!
バコンッ!!
会長がそう言った瞬間、またしても先程と同じ何かが壊れる音が背後から聞こえてきた。 しかもなんだよ最後の音!!
一体何を壊してんだよ!!
てか、会長もなんで自分のお父さんと俺を会わせたいんだ?
色々段階が早すぎだろ!!
「あ、会うのは良いんですけど……会って俺は会長のお父様と何を話せば……」
「そ、それは……土曜日にまた説明するから……そ、そのときまで秘密よ」
なんか怖いんだけど!
会長一体何を言う気だよ!!
そんな話しをしている間に、もうすぐ昼休みが終わってしまう時間になってしまった。
「あ、もうこんな時間ね……じゃあ貴霞君、また放課後に」
「あ、はい……それじゃ……」
会長はそう言って、食堂を後にしていった。 さて、俺も食べ終わったしそろそろ教室に戻ろう……そんな事を思って立ち上がろうとしたら……。
「ねぇねぇ、そこの二年生くぅ~ん」
「ちょっと、僕達三年生とお話しなぁ~い?」
「大丈夫だよぉ~お兄さん達はやさしいからぁ~」
後ろからやってきた優しいお兄さん達(自称)に絡まれてしまった。
俺はこの時思った………ボコられると……。
「さ、さようなら!!」
「あ、逃げたぞ!!」
「追え! あいつはこの学校の男子の敵だ!! 二年の奴がそう言ってたぞ!!」
な、なんで俺学校の男子全員の敵になってる!?
てか、二年の奴って絶対に大成だろ!!
あの野郎ぉ~!!
俺は学校内を走って、追いかけてくる男子生徒から逃げた。
幸い昼休みがもう少しで終わるところだったので、直ぐに追っては来なくなった。
「は、はぁ……ひ、酷い目にあった……」
午後の受業を受ける為、俺も教室に戻った。 しかし、教室に戻っても俺に安住の地は無かった。
「ひゃっはぁ~! やぁーっと戻ってきたぜぇ~裏切り者がよぉ~」
「安心して受業を受けられると思うなよぉ~」
「殺す……殺す……憎い……憎い……」
いつから俺の教室はこんなにも殺伐とした空気になってしまったのだろうか……。




