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「な、なんですか会長……そんな目で俺を見て……」


「いえ、随分仲が良くなったのね」


「え?」


「お嬢様ご安心下さい、どうやら明嶋様は二十代の女性には興味が無いようでございます」


「いや、いつ俺がそんな事を言いましたか!」


「え? しかし自分は該当しないと先程……」


「だから、それはメイドの事であって……」


「あの! そろそろ私の部屋に入ったらどうかしら?」


 俺がメイドさんとあれこれ話しをしていると、いい加減に蚊帳の外なのが我慢出来なくなったのか、会長がそう言ってきた。

 

「あ、あぁすいません」


「失礼しました、それではお嬢様ごゆっくりお楽しみ下さい」


「いや、しないから!」


「はて? 私はお楽しみ下さいと言っただけですよ? 明嶋さんの言うお楽しみとはどんなことなんですか?」


「揚げ足を取らないでもらえませんか!」


 メイドさんはそう言い残して、その場から去って行った。

 この家のメイドさんは皆あんな感じの変なな人なのだろうか?


「貴霞君? どうしたの? 早く入ったら?」


「あ、はい。お、お邪魔します……」


 考えて見れば、女子の部屋に入るのってこれが始めてだな……。

 しかも金持ちのお嬢様の部屋……少し緊張するな。

 そんな事を考えながら、部屋の中に入ると俺はまずその部屋の広さに驚いた。

 俺の部屋が三個分程ある大きな部屋に、俺の部屋のベット二つ分は有りそうな大きなベッド、更には俺の部屋の三倍はあるであろうテレビが部屋の中にあった。


「うわぁ……さ、流石はお嬢様って感じですね……」


「そ、そうかしら? 普通の部屋だとおもうんだけど……」


 これが普通だったら日本はかなりの富裕国家だな……。


「お父様と話しをしてつかれたんじゃない? そこに座って、直ぐにお茶とお菓子を出すから」


「あ、すいません」


 部屋の中にウォーターサーバーまで!?

 住む世界が違うとはまさにこのことだな……。 

 会長は部屋の戸棚から高そうなお菓子と、高そうな紅茶を出し、俺の前に置いてくれた。

「イギリスの紅茶なんだけ、凄く美味しいの飲んでみて」


「へぇー、なんか高そうですね」


「そんな事無いわ、その一袋で3000円くらいよ」


「3000円!? これで!?」


 味わって飲もう。

 てか、この袋で後三杯はおかわりを貰おう!

 こんな高級な紅茶を飲める機会なんて今後無いかもしれない!

 なんて貧乏人の考えをしている俺に会長が何やらもじもじしながら声を掛けてきた。


「あ、あの……貴霞君……」


「え? なんですか?」


「その……あの……私は友人を家に招いた事がその……あまりなくて……しかも男の子は貴霞君が始めてなんだけど……こ、これからどうしたら良いのかしら?」


「え?」


「いえその……どうやっておもてなしをしたら良いか……わ、分からないのよ……その貴霞君がどうしたら……た、楽しいのか……」


 なんだそんな事か……ってか、この紅茶とお菓子を貰っただけでも十分なおもてなしなんだけど……。


「別に無理にもてなす必要ないですよ、それに会長と話しをしてるのも俺は結構好きですし」


「そ、それは本当!?」


「え、えぇ……はい」


 俺がそう言うと、会長は身を乗り出して俺にそう聞いてきた。

 なぜそんなに食いつきが良いのだろうか?


「そ、そう……じゃ、じゃあ隣に行ってもいいかしら?」


「え? 別に良いですけど」


 対面の方が話しやすいんじゃないだろうか?

 まぁ別に良いんだけど……。

 俺がそう思っている間に会長は俺の隣に座り紅茶を飲み始めた。

 

「お父様からは何を言われたんですか?」


「え? あぁ……いや……」


 これは言っても良いのだろうか?

 会長の過去の話しとか少し聞いちゃったし、もしそれが会長にとって話されたく無かった話しだったら、あとで親子で揉めそうだしな……。


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