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まぁ悪い人ではなさそうだが、正直少し苦手なタイプだな。
「さて、そろそろ君を娘に返してやらないと娘が膨れてしまかもしれん、後は娘の相手を頼むよ、白谷さん彼を娘の部屋に案内してもらえるかい?」
「はい、かしこまりました旦那様」
「それじゃあ私は今から少し用事があるから席を外させてもらうよ」
「あ、はいそれじゃぁ……」
「あ、そうだ白谷さん彼にあれも渡しておいてもらえるかい?」
「かしこまりました、一つで大丈夫でしょうか?」
「そこは君の判断に任せるよ」
なんだか不穏な会話をした後、会長のお父さんは部屋を出て行った。
「それではご案内させていただきます」
「あ、はい。よろしくお願いします」
俺はメイドさんに連れられ会長の部屋に向かう事になった。
というか、なんで会長の家で食事して風呂まで入る流れになってるんだ?
俺は会長のお父さんとあったらすぐに帰るつもりだったんだが……。
「明嶋様」
「はい? な、なんですか?」
「いえ、忘れないうちにこちらを渡しておこうかと思いまして」
「え? なんですかこれ?」
そう言ってメイドさんが渡してきたのは茶色い紙袋だった。
「俗にいう避妊具です」
「あぁなるほど……ってはぁ!?」
俺が紙袋を開け中身を確かめると、そこには「劇的に薄い! 0.0001㎜!!」と書いてあった。
いや、なんで俺にこんな物を渡すんだよ!
残念ながら使用するような機会も相手もいないよ!
「な、なんでこんな物を自分に渡すんですか! からかってるんですか!」
「え? だって今からお嬢様とお楽しみではないんですか?」
「なんでそんな話になるんですか!」
さっき話てたのはこの事か……ってか、お父さん!?
どこぞの馬の骨にこんな物を渡して娘の部屋に行かせるってどういうこと!?
「え? だってもうお嬢様も18歳ですし、そういう経験があってもおかしくないかと」
「だからってなんで俺と会長が今からそう言う事をするって話になるんですか!」
「旦那様は早く孫が欲しいそうで」
「だからって俺ったちはまだ学生ですよ!」
「大丈夫ですよ、もしお嬢様が出来てしまっても旦那様の財力ならなんとでもなります」
「金で解決かよ……」
なんだあのお父さん、もしかいして胡桃ちゃんのお父さんとは別なベクトルでおかしい人なんじゃないか?
「あぁ、失礼ですが明嶋さまは童貞ですか?」
「本当に失礼ですね」
「不安な気持ちはありますが大丈夫です、私も今年で23になりますが経験はありません!」
「威張って言わないで貰えます!? しかもそんな情報いりませんから!!」
「大学時代も女子大で出会いがなくて……あなたやお嬢様みたいな関係は羨ましいです」
「あの……なんかすいません」
悲しそうな顔でそう言うメイドさん。
多分だけどこの人も変な人だと思う。
「言っておきますが私は軽い女じゃありませんよ、お嬢様と一緒に美味しくいただけるとは思わないことですね!」
「いや、俺何も言ってないんですけど……」
「だって、メイドさんといえば男子高校生の憧れじゃありませんか!」
「そう言う男子高校生もいるでしょうけど自分は該当者じゃないです」
そんな風に廊下でワーワー騒いでいると、近くの扉が開き私服姿の会長が姿を現した。
「廊下で何を騒いでるんですか?」
「あ、会長」
「お嬢様、すみません失礼しました」
「もう、一体何の話をしていたんですか? 私の部屋まで声が聞こえてきましたよ」
「いえ、明嶋様に私が処女であることをご説明……」
「だからもうその話はいいですって!!」
「おそらくお嬢様もしょ……」
「だからいいですって!」
俺とメイドさんがそんな風に話をしていると、会長が俺たちの事をジト目でじーっと見てくる。




