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「な、なるほどぉ・・・・・・そうなんですか・・・・・・・・・あのちなみにお父さんって何か格闘技とかやってます?」
「柔道や剣道、それに空手もやっていたと聞いた事があるけど・・・・・・それがどうかした?」
くそっ!
そんなお父さんに抵抗出来る気がしない!
ヤバイぞ!
こんなん店長どころの騒ぎじゃないぞ!
下手をしたら一族皆殺しなんてことも・・・・・・。
「どうしたの貴霞君? なんだか震えてるみたいだけど?」
「い、いえ・・・な、何でもありません」
「少しエアコンが強かったかしら?」
「だ、大丈夫です! エアコンのせいではないのです!」
「ないのです?」
ヤバイ・・・・・・どうしようお父さんが本当に店長みたいな人だったら!
これも美少女三人から好かれちまった俺の運が無くなってるからか?
クソっ!
頼むから温厚な人であってくれ!
そんな事を考えて居る間に車は会長の家に到着した。
噴水のある家なんて俺初めて見た……。
「す、すごい家ですねぇ……」
「そんな事は無いと思いますけど?」
「いやいや……」
俺のアパートが丸々三個は入ってしまいそうな大きさの家に俺は圧倒されていた。
「おかえりなさいませお嬢様」
「ただいま白谷さん」
メイドだ本物のメイドさんがいる。
マジかよ……メイドって本当にいるんだな……。
てか綺麗な人だなぁ……すごく若く見えるけど一体いくつ何だろう?
「お嬢様ご主人様がお待ちです」
「ありがとう、それじゃあさっそくお父様が居る部屋まで案内してくれる?」
「はい、かしこまりました」
そう言うとメイドさんはちらりと俺を見た後、俺と会長を部屋まで案内した。
道中何やら俺の事を気にしていたが……一体なんだろうか?
案内されたのは一番奥の部屋だった。
扉もなんだか高そうで緊張してしまう。
「旦那様はこちらでお待ちですよお嬢様」
「ありがとう、あとで冷たいものを持ってきてくれる?」
「はい、かしこまりました」
メイドさんはそう言って俺たちの前から去って行った。
まぁ正直今はメイドさんなどどうでも良い、今は会長のお父さんだ。
部屋の中に入ったらヤクザの事務所見たいになってるとかないよな?
結構広い部屋みたいだし……。
俺がそんな事を考えていると、会長が部屋の扉を開けて中に入った。
「お父様連れてきましたよ」
「し、しし失礼します!!」
バッキバキに緊張しながら俺は部屋の中に入っていく。
緊張しながら部屋に入ると、そこには学校なんか応接室のようになっていた。
高そうなソファーに高そうな机があり、部屋の真ん中のソファーに満面の笑みを浮かべるおじさんがいた。
「いやいやよく来てくれた、すまないねぇ急に呼んでしまって」
「い、いえそれは全然……」
「そう固くならず、まぁ座って話をしよう、今日は君と話をしたくてねぇ」
ヤバイ……このタイプの人は満面の笑みを浮かべる裏で相手をかなり嫌悪しているタイプだ。
こういうタイプが一番質が悪い……普通に怒りを露わにしてくる方がまだ対応を考えられる。
「さて、何から話そう……正直私は君のことは娘から良く聞いているからねぇ……」
「お父様! あ、あまりそう言う事は……」
「ん? あぁすまないすまない、少々舞い上がってしまってね」
「もう! お父様あまり余計な事を言わないでください」
「いやぁ口が滑ってしまってねぇ……申し訳ないが少し席を外してくれるかい留美」
「良いですけど……本当に余計な事を言わないでくださいね」
「ははは、分かってるよ!」
えぇ行っちゃうのぉ……。
なんで会長の家で会長のお父さんと二人きり!?
笑えないんだけど!
ヤバイよ、完全に俺をヤル気で来てるよ!!
やばいぞ……俺も早く逃げないと!!
「ご主人様、お飲み物をお持ちいたしました」
「あぁすまないねぇ、ありがとう」
そう言って入って来たのは先ほどのメイドさんだった。
メイドさんは飲み物を俺と会長のお父さんの前に置いた後、そのまま部屋の入口前に待機した。
てか、帰らないの!?
なんで?
いや、まぁ俺は二人きりじゃないから良いけど……。
「じゃあ本題に入ろうか」




