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 今週は本当に散々だった。

 学校では嫉妬に狂った男子から命を狙われ、水鏡と会長から積極的にアプローチを掛けられ、休まる暇がなかった。

 この間まで学校は結構好きな方だったのだが、今ではあんまり行きたくない場所になっていた。

 不登校の人ってこんな気持ちなのかな?

 放課後は放課後でバイト先に行くと、胡桃ちゃんが俺にアプローチを仕掛けてくるのだが、俺は店長にそんな胡桃ちゃんの行動がバレないかヒヤヒヤしながら仕事をしている。

 そして、ようやくやってきた土曜日。

 今日はバイトも学校も無い、何も無いゆっくり出来る!

 そう思っていたのだが……。


「さぁ明嶋さん! デートに行きますよ!」


「………」


 そう言えばそんな約束をしたんだったと、胡桃ちゃんが家にやってきて思い出した。


「まさか……忘れてたなんていいませんよね?」


「そ、そんな訳無いだろ?」


「じゃあなんで全然準備出来て無いんですか?」


「そ、それは楽しみ過ぎて昨日眠れなくて……」


「ふーん、じゃあ早く準備して下さいよ。映画始まっちゃいますよ」


「あ、あぁ分かってるよ」


 俺はサクッと準備を済ませ、胡桃ちゃんと共に映画館に向かう。

 

「ん?」


「どうかしました?」


「いや……なんか視線を感じたような……気のせいかな?」


「きっと気のせいですよ! それよりも早く行きましょ!」


「お、おう……」


 胡桃ちゃんはそう言いながら、俺の腕に抱きついてきた。

 会長は水鏡ほどではないが、胡桃ちゃんの控えめな胸が俺の腕に当たる。

 なんというか……ありがとうございます!!


「………殺す」


「え?」


「はい? どうしました?」


「いや……なんか今、殺すって誰かが言ったような……気のせいかな?」


「気のせいですよ、早く行きましょう!」


「あ、ちょっと!」


 胡桃ちゃんはそう言いながら、俺の腕を引っ張って映画館に向かう。


「そう言えば今日見る映画ってどんな映画なの?」


「よくある恋愛物ですよ、きっと面白いですよ」


「もしかして結構CMやってるやつ?」


「はい、そうです! なんか噂によると衝撃のラストが待っているらしいです!」


「へぇ、それは結構楽しみだな」


「でもこの映画R15なんでよねぇ……なんでですかね?」


「あぁ……まぁ……そう言うシーンがあるんじゃないか? 知らないけど……」


「そう言うシーンってなんですか?」


「いや……だからその……濡れ場とか……」


「あぁ、エッチなシーンですか?」


「こっちがオブラートに包んでるのにハッキリ言わないでくれよ……」


 てか、R15なのにあんなにCM流してるのかよ……。

 まぁCM見る限りではそんなシーンがある感じじゃなかったしな……。

 もしかしてらグロ要素でもあるのか?

 いや、でも恋愛物でグロ要素は出てこないか。

 俺と胡桃ちゃんは受付を済ませた後、飲み物とポップコーンを買い、指定されたスクリーンに向かった。


「明嶋さんご馳走様です~」


「どういたしまして」


 席に座り、俺と胡桃ちゃんは買ってきた飲み物を飲んで映画が始まるのを待った。


「あ、明嶋さん」


「何?」


「明嶋さんて途中で手とか握られたらドキッとするタイプですか?」


「まぁそりゃあビックリはするけど……」


「じゃあ、映画中のどこかのタイミングでしよ」


「いや、事前にそれを言ったらビックリしないよ」


「えぇ~じゃあもう握っておきます」


「なんでそうなる……」


 胡桃ちゃんはそう言うと、俺の手をぎゅっと握っていた。

 小さくて柔らかい手の感覚が俺の右手に伝わってくる。

 てか、考えて見れば女子と手を握るなんて小学生以来これが始めてかもしれない……。

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