―109― 新たな任務
ひどいめにあった。
隠しダンジョンがあるからと、名称未定と共に中に入ったら、名称未定が殺されそうになるなんて。
まぁ、〈肩代わりのネックレス〉を手に入れることができたから、まだよかったのかもしれないが。
「うっ、うう……」
ふと、ベッドで寝かせていた名称未定が呻き声をもらしたことに気がつく。
気絶しているだけだとわかっていても、不安ではあった。
でも、この調子なら、いずれ目覚めてくれそうだ。
そんな名称未定に対して、〈肩代わりのネックレス〉をかける。
これで、名称未定がまたピンチにあっても、一度だけなら助かるはず。
さて、レイドイベントまで、一週間もない。
それまで、とことん自身の強化に努めよう。
◆
翌日、コンプレジョダンジョンに僕は一人で向かった。
コンプレジョダンジョンはこの町で、最難関とされているダンジョンだ。
それを、レイドイベントが始まるまでに攻略できるとこまで挑戦してみよう。
それから僕はコンプレジョダンジョンをひたすら奥まで潜った。
途中、多くのモンスターと接敵したが、体力の温存を優先して、スルーすることを心がける。
とはいえ、避けられない戦いはある。
「まず、15層の飛竜からだ」
飛竜はこのダンジョンにとって中ボスだ。
だから、倒さないと先に進むことができない。
とはいえ、飛竜はすでに何回も倒した経験がある。
今まで通り、冷静に対処すれば、倒せるはず。
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レベルが上がりました。
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「よしっ」
レベル上昇のメッセージウィンドウを見て、軽くガッツポーズをする。
レベルが上がったということはモンスターを倒したということだ。
それから、飛竜の素材を〈アイテムボックス〉に収納して、さらに下の階層に進んでいく。
ただ、下の階層にいけばいくほど、モンスターは強敵となり、中々思うようにいかなくなる。
「はぁ、疲れたな。今日はもう引き返そうか」
自分の残り体力を考えたら、これ以上進むのは危険と判断する。
今いる階層は23層。
ボスがいるのは30層とされている。
ボス部屋にたどり着くまでには、まだまだ時間がかかりそうだ。
15層へと戻れば、外に出られる転移陣がある。
それを使って、僕は外へ出た。
◆
「よぉ、アンリ。こんなところにいたのか。リーダーが呼んでいたぞ」
そう言って、僕に話しかけてくる存在がいた。
どこかで見たことある顔だ。
〈名も無きクラン〉の一員に違いない。
「ありがとうございます。すぐに行きます」
返事をした僕は走って移動をする。
〈名も無きクラン〉のリーダー、ゼフィルさんが僕になんのようだろうか。
そう思いつつ、いつもゼフィルさんが飲んでいる酒場へと向かった。
「よぉ、アンリ。来たか」
「はい、なんの用でしょう」
「用件というのは、レイドイベントに関してだ。レイドダンジョンが四つあるのは知っているな」
「はい、知っています」
レイドイベント限定で登場するレイドダンジョンは4つある。
呼称はそれぞれ、レイドダンジョン(中央)、レイドダンジョン(北)、レイドダンジョン(南西)、レイドダンジョン(南東)となっている。
このレイドダンジョン(中央)には、倒さなくてはいけないレイドボスが存在し、他3つのダンジョンには、攻略すればレイドボスに有利になれるアイテムが入手できるとされている。
「このうち、レイドダンジョン(南東)を俺たち〈名も無きクラン〉が担当することになった」
「そうなんですか……」
確か、レイドダンジョン(中央)に関しては、クランの垣根を越えた最強パーティーで挑むという話だったはず。
他3つのダンジョンは、それぞれのクランが担当するってことなんだろう。
「それで、このダンジョンに関してはお前に一任したい」
「僕にですか……」
「一応、お前がこのクランの副リーダーだろ」
確かに僕は副リーダーだ。まぁ、副リーダーらしいことは何一つしていないけど。
「前もって、クランの中から使えそうなやつを選出しておいた。そいつらをお前が率いろ」
「ゼフィルさんは参加しないんですか?」
「俺は中央のダンジョンに集中したい」
「わかりました」
レイドイベントにはこの町の存続がかかっている。
協力しないというわけにはいかないだろう。
とはいえ、〈名も無きクラン〉は荒くれ者の冒険者ばかり。
その中から選出して、パーティーを組んで攻略しろって、中々厄介そうな案件ではある。




