表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放王子の異世界開拓!~魔法と魔道具で、辺境領地でシコシコ内政します  作者: 武蔵野純平
第十章 レッドアラート!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

309/358

第309話 スターリン逃亡

「スターリンがいない!?」


「王宮の中を、しらみつぶしに探したのである。だが、スターリンはいないのである。恐らく逃げたのである!」


「スターリンが逃げた!?」


 俺は黒丸師匠の報告に愕然とした。


 スターリンは、俺と同じ地球からの転生者だ。

 この異世界で共産主義革命を起こし、権力を掌握し、人質を取ってまで人々を自分に従わせた。


 そこまでして作り上げたのに、共産主義の象徴でもある首都モスクワから、あっさり逃げるのか……。


 黒丸師匠が報告を続ける。


「王宮の奥に隠し通路を見つけたのである。来るのである!」


 俺たちは、黒丸師匠の案内で隠し通路へ向かう。

 王宮の奥にある何の変哲もない部屋に隠し通路はあった。


 部屋に入ると白狼族のサラが、悔しそうな顔をして俺に詫びた。


「アンジェロ! ごめん……、しくじった……」


「スターリンが逃げたのは、サラのせいじゃないよ。王宮制圧で十分な働きをしてくれた。ありがとう」


 サラをギュッと抱きしめて頭を撫でてやると、サラの気持ちが落ち着いたようだ。

 シュンとしていた尻尾に力が戻ってきた。


 さて、隠し通路だ。


「報告を!」


 隠し通路を調査した白狼族の特殊部隊員から報告を受ける。

 部屋の床にある穴から階段が地下へと続いているそうだ。


「では、隠し通路をつたっていけば、スターリンに追いつけるか?」


「いえ、ダメです。隠し通路から追跡は出来ませんでした。途中で隠し通路が崩れているのです。おそらく火薬で吹っ飛ばしたのだと思います」


「用意周到だな……」


 ここは元々ミスル王国の王都レーベ王宮だ。

 王族用の隠し通路があったのだろう。


 俺たちがモスクワを襲撃した時間から考えると、既にスターリンはこの隠し通路を使って王宮の外に脱出し、どこかへ逃亡している……。


 どこへ逃げた?

 モスクワ以外の大きな街だろうか?

 それとも農村?


 俺が考え込んでいると、白狼族の特殊部隊員たちが捕虜を連れて来た。

 赤軍の政治将校や共産党の幹部たちだ。


 サラが激しく尋問する。


「言え! オマエたちの親玉は、どこへ逃げた!」


「知らん! 知っていても言うものか! インターナショナル万歳!」


「なら痛い目にあわせる! オイ! やれ!」


 サラが白狼族の特殊部隊員に命令する。


 この異世界で拷問は過酷だ。

 拷問は肉体への痛みに特化していて、その残酷さは地球世界の比じゃない。


 ――なぜなら回復魔法やポーションがあるから。


 痛めつけて、回復。

 痛めつけて、回復。

 痛めつけて、回復。

 痛めつけて、回復。

 痛めつけて、回復。

 痛めつけて、回復。

 痛めつけて、回復。

 痛めつけて、回復。

 痛めつけて、回復。

 痛めつけて、回復。


 ※拷問シーンについては、自主規制し『キンキンキン方式』で表現をいたしました。あしからず。


「ぐあー! 知らない! 我々も同志スターリンが逃げるとは、知らなかったのだ!」


「ウソをつくな! どこへ逃げたか言え! もっと痛めつけるぞ!」


「やめてくれ! 本当に知らないんだ!」


 俺たちは、目を背けた。

 ルーナ先生が、珍しく眉毛をハの字にして愚痴をこぼす。


「獣人の少女に痛めつけられるハゲおっさん。見ていて辛い」


 痛めつけている獣人の少女は、俺の婚約者なのだが……。

 俺も将来の夫婦生活を想像すると、なかなか辛い。


 捕虜数人を尋問したが、全員が口を揃えて言う。


『どこへ逃げたか知らない。逃げたことすら知らなかった』


 俺と黒丸師匠は、呆れて声を上げた。


「仲間にも知らせずに逃げたのか……」


「すがすがしいほどのクズである!」


 黒丸師匠や白狼族の特殊部隊員が、どこへ逃げたか色々と意見を言うが決め手に欠ける。

 空から探させるにしても、旧ミスル王国は国土が広い。


 ルーナ先生が、口を開いた。


「赤獅子族のヴィスは?」


「ヴィスですか? ヴィスなら作戦に参加していますが?」


「心当たりがないか聞いてみよう」


「なるほど!」


 赤獅子族のヴィスは、スターリンの共産主義革命組織に初期の頃から参加していた。

 逃亡先に心当たりがあるかもしれない。


 早速ヴィスを呼び出して、話を聞く。


「鉱山に戻ったんじゃねえかな……」


「鉱山?」


「ミスリル鉱山だよ。あいつは、ミスリル鉱山で組織を作って革命をおっぱじめたんだ。他に行くところもないだろう」


「なるほど! ミスリル鉱山に向かっていそうだな!」


 ミスリル鉱山は、モスクワの西にある。

 砂漠を横断した先だ。


 俺は、モスクワの西側を中心にスターリン捜索を命じた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

★☆★ランキング参加中です!★☆★

クリック応援よろしくお願いします。

小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ