第221話 悪党のマイムマイム
――三月。
ミスル王国にあった馬賊のアジトを襲撃してから、一週間たった。
ルーナ先生と黒丸師匠は、嬉々として馬賊や盗賊たちを狩っている。
馬賊や盗賊のアジトを襲撃する。
↓
わざと一人逃す。
↓
上空からグースが追跡する。
↓
逃げた一人が、他の馬賊や盗賊のところに逃げ込む。
↓
襲撃する。
↓
以下、ループ。
黒丸師匠は、大得意で俺に報告をしたのだ。
『非常に効率が良いのである』
『悪党のマイムマイムですね』
まあ、二人が楽しいならそれで良いけれど。
二人に付き合うブンゴ隊長以下三番隊の連中は大変だ。
なぜなら、二人が『チンコ丸出しの刑』を、気に入ってしまったのだ。
なるたけ馬賊や盗賊を殺さずに、生け捕りにして『チンコ丸出しの刑』にすることが二人のブームなのだ。
俺は、二人から異世界飛行機グースで連絡を受けると、転移して逮捕した悪党どもを移送する。
この前は『チンコ丸出しの刑』がバージョンアップして、『チンコ数珠つなぎの刑』になっていた。
これは非常にシンプルな刑で、チンコとチンコを縄でつなぐのだ。
昨日、黒丸師匠は、数珠つなぎになった悪党たちを見てご満悦だった。
『みんな、さっさと歩くのである! 歩みを止めると大事なモノが引っ張られて痛いのである!』
『クソッ! 地獄へ落ちろ!』
『ここが地獄である! ホレ! ホレ!』
『痛い! 痛い! 縄を引くな! いえ! 引かないでください!』
もう、見るに堪えなかったよ。
ひげ面のイカツイ盗賊が涙目になっていた。
同じ男性としてさすがに気の毒だ。
ルーナ先生も、ルーナ先生だった。
逮捕して特に態度が悪かった盗賊を、グンマークロコダイルのイセサッキで引きずり回すのだ。
盗賊は、下半身スッポンポンで足にロープをかけられて、岩場をズリズリと引きずり回されていた。
『ハイヨー! ハイヨー!』
『グアアア♪』
『痛い! 痛い! 許してください! お願いします!』
悪党に人権などなかった。
『ルーナ先生……』
『おちんちんにロープをかけて引きずらないだけ、私は良心的』
『ナニ基準は止めましょう』
数年後、俺はこの人と結婚するのだ。
寝室にロープだけは、置かないようにしよう。
ちなみに、狐族のオシャマンベ族長は、愚痴をこぼしていた。
『チンコを数珠つなぎにする方は、大変ですし、気持ち的にたまったものではありません……』
付け加えると、ブンゴ隊長も、愚痴をこぼしていた。
『乙女の大ピンチッス! いい加減にして欲しいッス!』
『みんな、スマン……』
俺は、悪党たちを移送しつつ、心から謝罪した。
悪党のマイムマイムは、大量の馬賊と盗賊を逮捕し、サイターマ領の安定をもたらしたのであった。




