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追放王子の異世界開拓!~魔法と魔道具で、辺境領地でシコシコ内政します  作者: 武蔵野純平
第九章 新しい王国

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第206話 トコロザワ? いや、ドクロザワ

 ――二月上旬、異世界のサイターマ。


 第二騎士団の入植がサイターマで始まった。

 俺は、サイターマ、シメイ伯爵領、キャランフィールドで、忙しく仕事をしている。


 シメイ伯爵領では、棚田の作り方、米の栽培方法を住民に説明して回った。

 幸い文字が読める者が、村に一人はいたので、俺が翻訳したマニュアル――ハジメ・マツバヤシが持っていた本から抜粋――を書写して手渡した。


 領主より、領民の方がしっかりしている感じなのは、不思議だ。


 さて、今日はサイターマで工事だ。

 転移魔法で移動してきたが、サイターマは、見渡す限り何もない平原だ。


 入植してきた第二騎士団は、天幕を張って生活をしている。

 南の方にあり気候が温暖とは言え、冬は寒い。


 野営に慣れた騎士団の団員は、まだ良いとして、団員の家族には辛い生活だろう。

 小さな子供もいるし、おばあちゃんもいる。


 なんとかしてやらないと、カワウソだな。


 俺は、まず、箱物を魔法で建てることにした。

 第二騎士団団長ローデンバッハ子爵に、位置を確認しよう。


「ローデンバッハ子爵。サイターマの中心地オオミーヤは、この辺りで良いかな?」


「そうですね。ここは、北へ真っ直ぐ行けば、シメイ伯爵領カイタックにぶち当たります。ここに道路を通せば、交通の便が良いでしょう。ここを領都オオオオミーヤとします」


 オが二つばかり多いぞ!

 漢字にしたら『大大宮』だ。


 どうもこの世界の人たちは、日本語名の発音が下手だ。

 大宮はそんなに凄いのかと、心の中で突っ込んでおく。


「わかった。じゃあ、まずは、みんなが寝泊まりする建物から……それっ!」


 俺は、土魔法を使って、平屋の大きな建物を生成した。

 俺の作業を遠巻きに見守っていた、騎士団の家族たちから声があがる。


「おおっ!」

「魔法!」

「凄い! 一瞬で!」

「あのお兄ちゃんすごーい!」


 驚きの声を背中に受け、俺は調子にのった。

 次々と建物を生成していく。


 大型の住宅用建物!

 生成!


 大型の住宅用建物!

 生成!


 大型の住宅用建物!

 生成!


 大型の住宅用建物!

 生成!


 大型の住宅用建物!

 生成!


「あのー、陛下。そろそろ騎士団用の建物と冒険者ギルドをお願いします」


「わかった! 任せて!」


 住宅の向かい側に、二階建ての大型の建物を生成する。

 騎士団の本部だ。


 領主館、冒険者ギルド、商業向けの建物、など、四角い石造りの箱型二階建て建物をどんどん生成していく。


「出来た! 異世界の大都会オオミーヤ!」


 立派な物だ。

 前世で訪れた大宮駅を思い出す。

 JR構内の神戸屋キッチンの制服が、なぜかJRカラーだったな。


 ローデンバッハ子爵が、笑顔で礼を述べる。


「ありがとうございました! 大いに助かります!」


「窓とか、間仕切りとか、細かい所は、そちらでよろしく」


 さあ、忙しい。

 次の工事だ。


 俺はローデンバッハ子爵に別れを告げると、飛行魔法でサイターマの上空を西へと進む。

 馬車が一台通れる道が、平原の中をずっと続いている。


 しばらく飛ぶと、平原の道が、南北に通る大きな街道に突き当たったところで、第二騎士団の別働隊を見つけた。

 彼らは、この西側に入植をするのだ。


 地上に降りるとポニャトフスキ男爵が駆け寄ってきた。


「アンジェロ陛下! お越し頂きありがとうございます!」


「早速、やろうか。ここが町の建設予定地だね?」


「はい。ここにドクロザワを建設いたします」


「所沢な!」


「トゥグォルォザワ……」


 どうも、ポニャトフスキ男爵は、『トコロザワ』と発音出来ないらしい。

 異世界人なので、やむなしだ。


「ああ、いや、気にしないでくれ。トコロザワでも、ドクロザワでも、発音しやすい方で良い」


「ありがたき幸せ。では、ドクロザワでお願いいたします」


「……」


 サイターマの第二の都市と言うことで、所沢にあやかって命名したのだが、思わぬ変化を遂げてしまった。


 気にしたら負けだ。

 これから町は、ドンドンできるのだ。

 ドクロザワ……良い名前じゃないか!


 ドクロザワの建設予定地は、南北の交通の要衝だ。

 メロビクスから街道南下して、ミスル王国へ向かう中間地点にあたる。



 メロビクス

  ↓

 ドクロザワ

  ↓

 ミスル王国



 ここに町を作れば、街道の宿場町として栄えるだろう。


 また、非常時には軍事拠点にもなる。


 いまのところ、南の隣国ミスル王国と外交摩擦はない。


 まあ、黒丸師匠が国王を威圧して泡を吹かせたことはあったが……。

 多分、大丈夫!


 いざ、ミスルと何かあった場合は、対ミスル最前線だ。


「ドクロザワは、城塞都市にしようか?」


「左様でございますね。いざというときは、騎士団が立てこもれるようにいたしたく存じます」


「わかった。ぐるりと防壁で囲むよ」


 こうして、ドクロザワは、防壁で囲まれた城壁都市として建設した。

 どちらかというと、『要塞都市ドクロザワ』だな。

 うん。ピッタリくる。


「アンジェロ陛下。作業をありがとうございました」


「じゃあ、俺はシメイ伯爵領カイタックに移動するから」


 次は、木こり部隊の移動だ。

 俺は転移魔法を発動しゲートを開くと、シメイ伯爵領カイタックへ転移した。

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― 新着の感想 ―
[一言] ドクロザワは夏暑く冬寒い過酷なセイブドームを本拠地にしたら面白いですねw
[一言] 浦和の立場がw
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