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順応力が高すぎる男子高校生がTSした場合   作者: m-kawa


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第68話 いじられるおとこのこ

「さて、全員揃ったみたいだし、どこから行く?」


 最後に来た祐平ではあるが、音頭を取って真っ先に口を開く。軽く話し合った結果、適当にブラブラしたあとに早めのお昼ご飯を食べることになった。やっぱりお昼の時間帯に待つのはみんな嫌いなようだ。


 六人揃ってぞろぞろとモールの通りを歩いていく。どうも祐平が目立っているようで視線を集めている。


「……」


 すごく居心地が悪そうに無言で歩いているがしょうがないだろう。パッと見て女子五人の中に男が自分一人だけに見えるんだから。

 そういう意味では拓也が俺たちに混ざっても違和感がないっていうのがすごい。これも一人だけ目立つ祐平がいるからかもしれないが。


「なんで拓也はそんなに馴染んでるんだよ……」


「知らないよ!?」


 ため息までおまけについてきた理不尽な言葉に、さすがの拓也も見事なツッコミだ。女子の中に溶け込んでいると言われれば、男としては反論せざるを得ないだろう。

 どっちにしろ目立つのは諦めるんだな。一人だけ身長180センチ超えで、他の五人はそれより20センチ以上は低いのだ。


「ちょっとあのお店入っていい?」


 ブラブラしているとアクセサリーが目に入ったのか、静が声を上げた。確認というよりは宣言だったようで、すでに足は店へと向かっている。

 高校生にも安心な、三百円と千円均一なお店だ。色とりどりの小物やアクセサリーが所狭しと並べられている。


 ちらりと後ろを振り返ると、祐平は無言でお店前の通路に置かれているソファへと腰かけていた。どうやら店に入る気はないようだ。


「これかわいい」


「これも似合いそうですね」


「あたしはこれかなぁ」


 三者三様に派手目なヘアピンやカチューシャが選ばれている。このまま何もしていないと、その3つのブツがこっちに向かってくる可能性がある。


 ……と、ふと隣にいる拓也の姿が目に入った。熱心に選んでるように見えるが、こういう小物類に興味があるんだろうか。っていうか祐平と違って普通にお店に入ってきてるのね。となればあれだな。今回のイケニエになってもらうしかないな。


 派手で可愛い見た目のカチューシャをいくつか選んでいく。このちいさいシルクハットも可愛いかもしれない。

 ターゲットを決めた俺は、気づかれないようにそっと近づいていくと、拓也の頭へとカチューシャを装着した。


「うわっ!?」


 驚いて振り返る拓也と目が合った。別に知らんぷりするつもりはないので、ニヤリと笑いかける。


「思ったより似合うねぇ」


「えっ、……ええ!?」


 一瞬何を言われたのか分からなかったようだが、徐々に理解したみたいだ。頭に手を当てて何を付けられたのか探っている。……いやもう取ってしまえばいいのに、つけ続けてくれるなんて律義な。


「あ、ほんとだ。拓也くん似合うね」


 俺たちのやり取りに気が付いた千亜季も振り返って驚いている。


「これも似合うんじゃないかなー」


 静も便乗するようにして拓也がつけているカチューシャの隣に、自分が選んだ大きい花のついたヘアピンを付けている。


「へぇ……、予想外に似合うわね」


 佳織も拓也に驚きだ。それにしてもこれほど似合うとなんか女装させたくなるな。容姿に合った服装をすることに関してはためらいはないぞ。


「えーっと……、一応オレは男なんだけど……」


 戸惑いを隠せないようだが、そこまで嫌じゃないんだろうか。


「まぁ似合ってるんだからいいんじゃないかな」


 興味の対象を拓也へと移すことに成功した俺は、いくつか選んだヘアピンを自分のおでこにつけてみる。思ったより前髪がすっきりするな。鏡を見ても悪くなかったので、いくつか買っておくか。




「早く飯食いに行こうぜ。腹減ってきた」


 お店から出るとさっそく祐平が文句を言ってきた。


「あれ……? いないと思ったら、こんなところに……」


 ソファに座ってスマホをいじっていた姿を見た拓也が、祐平に詰め寄っている。散々女子にいじられたので、その八つ当たりだろうか。


「知るかよ。普通に四人についていったお前が悪いだろ」


「なんでだよ!?」


「あははは! ……拓也くんっていじりがいがあるよね」


 二人のやり取りを見ていた静が大笑いしたあと、俺たちにだけ聞こえる声で呟くのが聞こえた。拓也がみんなからいじられることが決定した瞬間だった。


 ……ご愁傷様です!


「んなことよりも、何か食いたいものあるか?」


 話をスルーされた拓也が不満そうにしているが、今はそれよりも昼飯だ。……といっても食べたいものは特に思いつかない。


「うーん……、なんでもいいけど」


「それ一番困る奴だろ」


 と言われてもホントに何でもいいんだからしょうがねーだろ。決まってないときに聞かれる「食いたいものあるか」も困る。とはいえ祐平の言いたいこともわかる。


「んじゃま無難にフードコートにでも行くか。だいたい何でもあるだろ」


「「賛成」」


 特に反対も出なかったので、俺たちは六人揃ってフードコードを目指すことにした。拓也にはとりあえず『どんまい』とだけ声をかけておいた。

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