悩む思春期男子
「んー、どうするかなぁ。」
西垣との博物館へと出掛ける約束を取り組んだものはいいものの、とんでもない問題に当たっていた。
いや、正確に言えば俺があまりにも無頓着だったのが悪いとも言える。 そもそも出掛けるにしたって家族だけだったし、なんだったら家にいることの方が多かったんだ。 この悩みに直面するのは至極当たり前だったはずだ。
「ありもので見繕うしか無いよなぁ。 気にはされるだろうが正直変に着飾るのも俺らしくないかもな。」
目の前にあるのは衣装棚の中にあった、それっぽい服や帽子なんかも集めてみたが、自分がお洒落になるイメージが全く出来ない。 組み合わせ方なんてものも知るよしもない。
「出掛ける日は暑くなるって言ってたし、まずは下の服か。」
無難な無地から当たり障りのないデザインのシャツを選ぶ。 次に選ぶのは羽織るもの。 下のTシャツが無地なものが多い俺にとっての自分なりのお洒落用の服だ。
ズボンの方はジーンズしか持っていないため、ここは割愛できる。 もっとお洒落をするのならばズボンも気にするのだろうが、無頓着だった俺には気にする余裕もない。
「柄がこれだったとして・・・ こっちならまだ不自然じゃないか? これで一旦・・・」
一度着替えてみてから窓の反射を利用して確認してみる。 個人的には悪くないと思う。
「じゃあ次・・・今度は上に合わせてみるか。 このパーカーで行くならシャツはこっちの方がいいかな? あ、でも色合いが・・・」
そうして悩みながら完成した服を着てみて、同じ様に窓の反射で確認する。
「派手ではないけど・・・お洒落かと言われるとちょっと迷うレベル・・・か?」
そんな風にうんうんと悩んでいると、窓の反射で自分の部屋の扉がほんのわずかに開いているのが分かった。 確実に閉めたことは自分が知っている。 なら何故隙間が出来ているのかと考えていると、扉が開かれて姉さんが入ってくるのが見えた。
「随分と悩んでいるようだねカズ。」
「何時から見てたのさ?」
「私も風呂上がりだったからな。 廊下を歩いているとカズの独り言が細々と聞こえてきたので、様子を見たまでさ。 覗いたことは謝罪しよう。」
そう頭を下げる姉さんだが、そんなことで俺も怒らないし、器の小さい男でもない。 それに姉さんがいるのならちょうどいいかもしれない。
「あのさ、ゴールデンウィークに出掛けるんだけど、どんな風に着ればいいかちょっと意見くれない?」
「ほぉ? 出掛ける時は最低限しか着飾らないあのカズがお洒落をねぇ。」
「・・・なんか言いたげだね。」
「別に。 これも心情の変化と言う奴だろうな。 とはいえアドバイスはさほどしてやれないぞ。 全面的にカズという個性を出す程度だ。」
「それでもいいよ。 恥をかかなきゃそれでいい。」
そんなことを言いつつ2人で何だかんだと言いながら着ていく服を決めたのだった。




