居心地
積和家と西垣の邂逅
「あの・・・私ここにいてもいいんでしょうか?」
いきなり同級生の男子の家族の輪に入るという状況に戸惑いを隠せない西垣。 同情するが何だかんだと連れてきた俺にも非はあると思い反省をしている。
「いいのよ。 女の子が1人で喫茶店なんて、寂しいじゃない。」
「ありがた迷惑かもしれないが、こちらのエゴでやっていることもある。 気を負う必要はないからな。」
「その状況にした張本人達が言える言葉じゃねぇ・・・」
「それはこっちの台詞よ。 あんなこんなに可愛い子が1人で来るなんて何かあるって思わないの?」
「個人の都合にまで突っ込むことないじゃん。 そう言うの意外と気にするんだよ西垣は。」
「ほぅ? 随分と見ている様子だな? あまり女子を観察し続けるのは姉としてもいただけないぞ?」
しまった。 こっちもこっちで余計なことを言っちまった。 その点についても反省すべきだろうな。 俺は口が軽いみたいだ。
「まあまあ。 とりあえず西垣ちゃんだっけ? 飲み物でも頼みなさいな。 気にしなくてもいいから。」
「あ、えっと・・・」
そう言って西垣は奥にあるメニューを取ろうと手を伸ばしたが、その先で水入りグラスを倒してしまい、机が水浸しになってしまう。
「わっ! ご、ごめんなさい!」
「大丈夫よ。 そっちこそ濡れてない?」
「カズは一度コップを持ってくれ。 あるままだと拭きにくいからね。」
「ああすまない。 おしぼりをもう2、3個ほど欲しいのだが構わないかい?」
「はい。 すぐにご用意致します。」
西垣が溢した水を家族総出で拭いていく。 俺は近くのコップを持っているだけなのでなにもしていないが。
「お待たせしました。 飲み物とモーニングのセットをお持ちしましたが・・・」
「とりあえず乗せれるものから乗せてください。 あ、それで西垣飲み物どうする?」
「えっと、それでは、アイスティーをレモンで。」
「かしこまりました。」
そんなちょっとのトラブルはあったものの、それ以外は普通に喫茶店で過ごし、俺達は会計を済ませて店を後にした。
「悪いな西垣。 急にこんなことになっちまって。 良かったのか?」
「最初はビックリしましたが、皆さんがいい人でしたので、ちょっとだけ羨ましいなと思いました。」
羨ましがられるような家族ではないが、少なくとも強引に引き込んだ事を悪いようには取っていないようで助かった。 あの場でもう1つの人格に替わるのは避けたかったし。
「おーい! 良かったら一緒にどうかしら?」
そう言って手招きする母さんの姿。
「あの、ご一緒してもよろしいのでしょうか?」
「・・・西垣のこの後の予定が無ければ?」
誘っているような感じで複雑な気分になり、ちょっと逃げるように歩き始めたが、その後に西垣がついてきたので、大丈夫ということだろう。 家族での買い物が女子の同級生を連れていくことになるとは思わなかった。 何事もなく終わればいいのだけれど。




