帰りが遅くならぬよう
「これは俺達からのささやかなお礼だ。」
「私はなにもしてないですよ?」
「そう言わずこの贈り物を受け取ってくれ。」
それからスーパーが近くにあるので、適当にお菓子を買ってきて、西垣に渡した。 そして改めて周りを見渡した。
「そう言えば結構このスーパーで同じ学校の制服を見かけるな。」
「学校が近くにありますから、ここで色々と買うのでしょうね。」
高校生ともなれば、お小遣いなんかも増えて、学校帰りにちょっとした物を食べて帰る、みたいなことも出来るようになるんだもんな。
「それじゃあ俺達も暗くならないうちに帰るか。」
「夜の戸張には闇の使者がいることもある。 守ってくれる警察も見ていなければ意味をなさぬ。 自分の身は自分で守らねばならない。 日の入り《サンセット》が始まる前にホームへと行こう。」
そう言って俺達は席を立つ。
「西垣はなんか買い物していくか?」
俺は西垣に念のため聞くことにした。 何かを買って帰るのならば女子を日暮れに歩かせるのは危険だ。
「いえ、私もこのままお暇するので、気にしなくても大丈夫です。」
俺の心配は杞憂に終わりつつ、そのままスーパーを離れる。 学生がちらほら俺達の方を見ているが、そんなに気にする程でもないかと思っていたのだが、日が暮れるにつれて少しずつその目線が増えているように感じた。
「なぁ、俺達の身体になにか付いてるか?」
「我らにそのような付属品は無い筈だが?」
「視線が気になってしまいますね。」
そう言って西垣が辺りを見渡すために頭をする。 それに合わせて銀色の長い髪が暗くなりかけているのにも関わらず、フワリフワリと揺れていた。
「ああ、だからか。」
「えっと、積和君いかがなされましたか?」
「いや、光ってそんなに明るくなくても綺麗に見えるんだなって。」
「?」
西垣は分かっていないようだったが、芦原はなんとなく分かったようで、大きく頷いていた。
「それでは我はここで去る。 また学舎で会おう。」
「じゃあな芦原。」
「さようなら芦原さん。」
俺と西垣が芦原を見送り、そして少し歩いたところで俺も西垣とは別の道を進んでいく。
「じゃあまた明日な。」
「はい。 また明日です。」
本当は最後まで送るのが普通なのかと思ったのだが、まだ2週間近くしか知り合っていないのに、家に送るのはちょっと気が引けた。 それに家族の事もあるので、変に怪しまれるのは今はごめんだ。
「夕飯なんだろうなぁ。」
そんな軽い気持ちのまま今日は家に帰るのだった。




