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正体

「人間歳を重ねれば気分を害する機会は必ず増える。 それこそ無意識だったとしても、だ。 しかもありがたいことにここは余程の事がない限り人が通らない場所らしいじゃないか。 感謝するぜ? オレが周りを気にせずに出られる場所を提供してくれてよ。」


俺の目の前に現れたこいつが淡々と説明をしている。 俺に向けてなのだろうが、俺は首を絞められているせいで簡単には抵抗が出来なくなっている。


「・・・ん? ・・・チッ。 こいつぅ・・・手加減してやがるのか。 完全に支配は出来てねぇから仕方がないとは思っていたが・・・まさかこいつだからか?」

「お・・・前は・・・西垣のなんなんだ・・・西垣と・・・どういう関係なんだ・・・」


血が回らなくなりつつある脳ミソを捻りながら言葉を紡ぐ。 息苦しくもなってきているが、それよりも重要な事を聞きたい。


「ほぉ? 「誰」とは聞いてこないか。 だが敢えて言わせて貰うが、オレはオレだ。 他の誰でもないさ。」


ある程度は予想できていた。 なら次の予想としては


「お前は・・・西垣は・・・二重人格者なんだな・・・? なにかが・・・スイッチになって・・・切り替わる・・・タイプの・・・」

「なかなか賢い奴だ。 もっと詳しく説明するなら、オレはこいつの「負の感情」、さらに言えば「嫌悪感」を感じた時にオレが出てくるんだ。」


人には必ずトラウマがあり、そのトラウマまたは類似体験をした時に、それから逃れるためにもう1つの人格を作り出すという学説がある。 というよりもそう言った障害が存在している。


最初に見た時に感じたのは、なにかに取り憑かれていると言うにはあまりにも周りを「見すぎている」事だった。 取り憑かれているならなりふり構わない状態になると思っていたが、制御が出来ているのか分からなかったが、自我があることを確認したので、霊的ななにかでは無かった可能性を出しながら調べていた。


「この力の強さも・・・お前が前に出ているからか・・・?」

「いんや、力の強さはこいつが培ってきたものだ。 つまり外部的要因じゃ無いってことだ。」


そう言うと西垣は更に力を込め始める。 息苦しくなってきている。 意識が飛びそうだ。


「・・・ふん。」


西垣は込めていた力を離し、俺を解放する。 項垂れながら咳き込む俺を見下しながら西垣は話す。


「ここでお前に死なれるのも困る。 人気がないとは言え人一人いなくなれば捜索されるからな。」

「ケホッ、ゲホッ・・・そ、そういう常識は持ってるんだな。」

「元の性格のこいつに感謝しな。」

「ゲホッ・・・だがこれで俺も1つ目標を定める事が出来たぜ・・・」

「なに?」

「俺はお前を追い出す事は諦めるしかない。 ならば西垣にお前と共存させてみせる。 それが俺の目標だ!」

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