人脈は地味に大事
安息のために色々動いている。 そう思っていた時期が、俺にもあったと。
「積和。 西垣さんと一緒に歩いて、なに話してたんだよ。」
俺は今2、3人程の男子クラスメイトに詰め寄られていた。 理由は先程聞いた通り、俺がたまたま西垣と廊下を歩いていたからに過ぎない。 最も俺と西垣が一緒にベンチで座ってお昼を過ごしていることは知らないので、それに突っ込まれる事はないが、西垣と廊下を歩いていた事を気にしているようだ。
「別に普通の会話だよ。 他愛ない話って奴?」
「その話がなんなのかって聞いてるんだよ。」
最初に詰め寄ってきた男子とは別の男子が俺に聞いてくる。 そう言われたところで会話の内容など本当にどうでもいいものだったし、その後西垣はお花摘みに行ってしまったため、今はどんな話をしていたかを知っているのは俺だけになるのだ。
「次の授業の事とか、今週の天気の事とかかな? そんなもんじゃね?」
「・・・実を言うとな積和。 ここにいる俺達はお前が西垣さんと話していることに苛立ちを覚えてるんだよ。」
そんなことを俺に言われても困るのだが。 話から察するにまだ西垣に話し掛けることが出来てない、または緊張が走り声をかけられない、と言った具合なのかもしれない。
「それで? 自分達に西垣と喋る機会でも与えて欲しいの?」
「勘違いするなよ? 西垣さんと話が出来るからって、自分が優位に立ってるなんて思うんじゃないからな。」
そんなことを微塵にも思ってないし、なんだったら最初は西垣から距離を置いていたんだからな。 とはいえその理由を話したところで意味ないことは分かっていた。 むしろ状況を悪化させるだけだろう。 どうこの状況を終わらせようかと考えていたら
「アフロディーテへのアプローチが出来ないからとジェラシーを見せるその姿。 道化になるにはあまりにも役不足だな。」
同じく教室に戻ってきた芦原がこの状況を見てそんな言葉を発していた。
「あ? 正しい日本語で喋れよ芦原。 お前には関係無いだろ?」
「確かに無関係かもしれないが、我が相棒が困っているようなのでな。 助太刀をいれようと思ったまでよ。」
「別に困って無いぞ。 ただ俺が西垣と普通に話していることに腹が立っているだけらしいからよ。」
「なっ!? 「だけ」とはなんだ! お前には分からないだろ!? 俺達がどう思ってるかなんて!」
「ああ、知らないな。 話し掛けにいけない「だけ」で苦しんでるような奴の気持ちなんてな。」
「てめぇ!」
その時教室の扉が開き、西垣が姿を現す。
「に、西垣、さ・・・」
そして掴みかかっていた胸ぐらから手が離れ、囲っていた奴らはそそくさと去っていった。
西垣はなにも言わずに席へと戻る。 だが俺はそんな後ろ姿から、またあの時のようなモヤが現れたのを見逃してはいなかった。 気のせいではない。 西垣の中になにかがあると言うことだろう。 もしそれが原因だとするならば、俺は彼女になにをするべきなのだろう。 そう考えながらお昼休みは終わっていくのだった。
少々不穏な空気になってきているかも・・・




