第9話 進むは深く、示すは真価 (6)
斑鳩とギルの牽制。詩絵莉の狙撃と、ローレッタの的確な指示。
そして、それらで得た僅かな隙を見逃さず撃牙を穿つ、アール。
Y028部隊は未知のタタリギ、マシラを徐々に追い詰めつつあった。
しかしその時――ローレッタが操る木兎の一機が、新たな影を捉える。
交戦場所へと一直線に駆ける、黒い影に、彼らは……。
――これが、Y028部隊の戦い……!!
式梟以外の隊員が映像を共有する為に設けられた、コンソール脇の小さなモニター。
解像度こそ粗いものの、ローレッタが操る木兎の一機が映す、彼にとって初めて観るY028部隊全員の戦闘光景に、フリッツは感嘆の息を漏らしていた。
彼女――ローレッタが巧みにトラックボールやスティックレバーで木兎を操り映す映像の精度は、不謹慎な表現かもしれないが、彼にとって素晴らしいものだった。まるで、自身が読む旧世界のヒーローコミック、その一幕を傍観しているような気にすらなる巧みなカメラワーク。
勿論、彼女自身が戦況の把握を行う為ではあるが、あまりに見事なそれは思わずこの映像がまるでフィクション――そう、旧時代にあったという映像娯楽作品、映画やアニメーションとはこういうものだったのではないか、と思わず妄想してしまう。
そして、その小さなスクリーンに写し出される仲間たちは、元・ヤドリギが変わり堕ち果てた姿と予想される正体不明のタタリギ、マシラを徐々に圧倒しつつあった。
戦闘開始から僅か数分で最適化されていく、彼らの動き――
これは部隊が一つの思考のもとに機能している、とでも表現すればいいのだろうか。
斑鳩、ギル、アール、そして詩絵莉は各々の能力を最大限に発揮し、速度で上回るマシラをあるいは牽制で、あるいは射撃で翻弄し、式神――アールが徐々にその黒く蠢く蔦肉を穿ち、削り取って行く。
時には激を飛ばし、時には歓喜の声を挙げ、それでいて的確、冷静に指示を飛ばすHMディスプレイを被ったローレッタをちらり、と見上げ、フリッツはごくり、と喉を鳴らす。
部隊構成としては、Y028部隊の構成人数は他部隊と比べるまでもなく少ない。
各々の戦闘能力も、13A.R.K.に所属するヤドリギの中でトップクラスには間違いだろうが、唯一無二と謳う程、恐ろしく突出した存在……という訳でもないだろう。
だが、現に彼らが見せる戦闘と適応力はある種、"異様"だ。
奇襲を受けたとはいえ、他の部隊が半壊、全壊したのは無理もないだろう。マシラの身体能力はタタリギの戦闘を見慣れていないフリッツからしても、それ程に鋭く、速い。
反して、彼らは臆する事なく、乱れる事なく、的確、冷静に――アールを矛とし、戦闘能力で上回るタタリギを確実に追い詰めている。それも、ごく短い時間で……。
これは、他部隊には中々真似出来ない事ではないか、と、フリッツは誰に向けてでもなく深く頷いた。
……確かに式神の存在は大きいだろう。
自画自賛する訳ではないが、螺旋撃牙や魔法の翼の助力も少なからずある。だが、別部隊と比べるのはきっとそこではない――同行して日は浅いかもしれないが、感じるのは、結束力……の様なもの、かもしれない。
もちろん他の部隊にそれがない、とは思わない。
だが、彼ら――斑鳩たちをより強く纏める何かを、フリッツは感じずにはいられなかった。
戦闘も大詰め。
マシラの回復を許す事無く巧みな連携で攻め続ける彼らに半ば勝利を確信した彼は、ぐ、と思わず拳を握る。
「本当に凄い……! このまま行けば――」
――まさに、彼がそう口にした瞬間だった。
絶え間なくコンソールの上で指を躍らせ、声を届けていたローレッタの動きが一瞬、ぴたり、と止まる。モニターへと興奮気味に食いついていたフリッツは、彼女の様子を視界の隅で捉えると、ふと顔をローレッタへと向けた。
「……まさか」
彼女はそう口にすると、HMディスプレイからのぞく口を、ぎ、と結ぶ。
「ど、どうかしたのかい……?」
フリッツの声に反応するよりも早く。
彼女の左手が素早くキーボードの上を跳ねる。すると、先ほどまでフリッツが観ていた小さなモニターに、別の木兎――斑鳩たちが戦う食糧庫の外を哨戒していたドローン3号機の映像が映し出された。
そこに写っていたのは――
「……馬鹿な」
フリッツは思わず目を見開くと、小さく言葉を漏らす。
彼の瞳、そしてローレッタが捉えたのは――
「――各式へ! 倉庫北西より新たなタタリギの接近を補足!! 3号ちゃんで陽動を試みます!!」
「……そんな、馬鹿な! マシラは一体じゃあなかったのかッ!!」
彼女は極めて早口で状況を彼らに伝えると、即座に新たに食糧庫へと向け猛烈な速度で駆ける黒い影――マシラへと、木兎3号機を急速に飛来させる!
「……フリフリ!!」
「なっ、はっ、はい!?」
ローレッタは右手でHMディスプレイを僅かに持ち上げると、天井付近にあるいくつかのスイッチを迷う事なく、パチンパチンと勢いよく弾いていく。
唐突に呼ばれた彼が観るローレッタの顔には、蒼白――そして、ありありと焦りの色が浮かんでいた。
「本部に連絡して状況を伝えて! ――まずい、とてもまずいの!! お願い!!!」
フリッツの方へ一度も視線を向ける事なく、彼女は再びHMディスプレイを被り直す。
「わ……わかっ……了解!!」
フリッツは一瞬慌てながらも、ふ、と冷静になる自分を感じていた。
幸い、彼は整備士で在りながら様々な機器類に精通している。ローレッタが切り替えたスイッチは、本部――作戦指令室への緊急通信、その直通入電を可能にする、いわゆるエマージェンシーコール……そして、助手席に設けられた予備の通信機の電源。
――僕はどうかしているんだろうか。 間違いなく、危機だというのに……
フレームの歪みでややズレた眼鏡の奥、彼は瞳を見開くと通信機を素早く手に取り、作戦用に左耳に着けていたインカムを外すと、備えてあるヘッドセットを被る。インカムを耳から抜くとき、斑鳩の声が聞こえたが、何と言っているのかは聞き取れなかった。だが、構わずフリッツは通信機のスイッチを指で弾くと、ヘッドセットに手を添える。
「……行かせない! ……お願い!!」
ローレッタは、出来るだけ簡素に状況を再び斑鳩たちへと伝えると、新たなマシラと思しき影を捉えた3号機へと即座に意識を集中させる。
――出来る事……出来る事!!
上空から一気に、ぐんぐんとスピードを上げ急降下させる3号機のカメラが木兎の駆動と風圧で揺れる。だが、捉えた黒い影は、やはり――!
「……ッ!!」
――マシラ、だ。
ローレッタは血が滲む程、唇を噛みしめる。
まずい――明らかに食糧庫に向かっている、今合流させるのは、絶対に駄目――!!
彼女は木兎を駆けるマシラへと並走させるよう滑空させると、ローターを巧みに操りマシラの眼前へとその機体を滑り込ませる。
同時に払いのける様に振るわれる肥大した右腕を、寸でのところで機体を捩り、躱す。
本来木兎の機動性でマシラの攻撃を避ける事は不可能――だが、戦闘中マシラの動きを追い続けていた彼女は直感で攻撃を察知すると、それを可能した。
だが、マシラは一瞬速度を落としたものの、旋回し僅かに距離を取った木兎に一瞥をくれると、再び食糧庫へ向けて駆け出す――。
――駄目! 木兎じゃ止めれない!! でもやるしか……出来る事……出来る事……
焦るな、と心のどこかで声がする。しかし、それは無理な話だ。
一体のマシラ――一体ならば。それは皆が最適な動きを魅せる事で封殺は可能だろう。恐らく、あと数分以内にアールはマシラの脊椎を撃ち抜くに至るはずだ。
――でも二体同時は……!!
Y028部隊の弱点――それは、単体戦に特化し過ぎている事……。
普段ならば別動隊の索敵の上、単体で脅威となる大型タタリギの何度も掃討を請け負ってきた。だが、それはタタリギが単体であればこそ、Y028部隊は刺さるのだ。
しかし脅威度の高いタタリギが複数となると、話は別。
部隊の練度を超え、必要とされるのは物量――単純な、式兵の動員数。
それは状況によって、戦略を超える。それこそが、Y028部隊に無いもの……。
今回の任は未知のタタリギの掃討――
可能性を考慮しなかった訳ではないが、14A.R.K.は多数のヤドリギがタタリギの掃討を終えたのち現れた一体……いや、違う……。
ローレッタは木兎による牽制を続けながら考える。
――マシラが元・ヤドリギ……ううん、丁型タタリギが何らかの原因で過度に深過した姿だとするなら……あれは、新たに発生した……発生している……マシラが……。
――だとしたら、マシラはさらに個体数が存在している可能性がある……?
彼女の背中を、ぞくり、と冷たいものが這う。
局長たちも、もし未知のタタリギが複数いる可能性を考慮、把握していたなら……いかに式神を有しているとは言え、私たちにこの任を軽率に預けたりはしなかったはず……。
湧いて出る疑念にぶんぶん、と小さく首を振る――その時だった。
「……あッ!?」
幾度目かの牽制を行い、寸でのところで避けたマシラの右腕――だが、黒い影は右腕を振り抜くと時間差で左手に握った石片を木兎めがけ――!!
――ブッ…
不快な音を立て、モニターが暗転する。
同時に、別のモニター上に表示された木兎の状態を示すシグナル――その三号機を現す信号が、ふ、と消えた。
――落とされた!!
思慮を巡らせていたとはいえ、注意を怠っていた訳では無い。
右腕を避け、旋回したところを意図的に狙った投擲――ローレッタは歯ぎしりをする間もなく、斑鳩たちへと通信を開く――!
◆
◆◇
◆◇◆
「往生際の悪いヤロウだぜっ……!!」
幾度となく仕掛ける牽制と攻撃を避けるマシラに、ギルは語尾を荒くする。
斑鳩との連携の虚を突き、アールが時にその機動力を生む足を、時に急所であろう頭部と頸椎を狙い穿つ。
マシラに攻撃と回復の隙を極力与えぬ様に攻め続ける中、互いに未だ決定打には至っていない――そんな状況が続いていた。確かに、アールの鋭い一撃一撃はマシラを徐々に削り、追い詰めつつある。しかし――
『みんな、ごめんっ……! 3号ちゃんが……撃ち落された……!! あと数十秒で、マシラがもう一体そっちに……!!』
インカムを揺らすローレッタの悲痛な声。
だが、誰一人として不服を漏らす者は居ない。木兎一機で、このマシラを止める事など不可能だと、皆理解していたからだ。
それでも、僅かにでも新たなマシラの到着を遅らせたローレッタを、ギルは称賛したいくらいだった。
――このままでは、まずい……。
斑鳩は詩絵莉の狙撃を撃牙が内包された右腕で防ぎ、それをこちらへと猛烈な勢いで振り下ろすマシラの一撃を紙一重で避けながら歯噛みする。このタタリギ――マシラの攻撃は苛烈の一言だ。目の前、前髪を焦がしながら振り下ろされる打撃に、斑鳩は純種の影を観ていた。
今まで記録にない、新たな脅威……新たなタタリギ。元ヤドリギ……元式狼、丙型タタリギである事すら疑いたくなる攻撃の鋭さと的確な狙いは、自分はおろかギルですら攻撃を誘い回避する事で手一杯――。
確実にダメージを積み重ねてはいるものの、それが返ってこのマシラに力すら与えている様だった。
追い詰めれば追い詰める程、速度と威力……反応を増していく様にすら感じ、回避のたび、斑鳩は頬に冷たい汗を流す。
牽制し回避する……そのマシラの隙を突き、ギルが牽制と攻撃を試み、詩絵莉が狙撃でフォローを行う……さらに、その虚を突くようにアールが撃牙を叩き込む。その対マシラとも言える連携サイクルは完成しつつある。
――このまま行けば、斃せるはずだ……だが……!!
斑鳩は身を翻し撃牙を装填するアールに一瞬視線を向ける。
「……ッ!」
純種戦で彼女が魅せたあの姿。渦巻き伸びた白髪と、卓越した戦闘能力――
深過解放、彼女にそれを指示すべきかどうか。この瀬戸際で斑鳩は迷っていた。単に、前回の純種戦での負い目などではなく、深過解放で彼女の身に起こりうるかもしれないその副作用――。
深過解放自体はごく短い時間ならば、今までアガルタでの実験の中で何度か行ってきたものだと彼女は峰雲教授のラボで静かに語った。ならば――と、思う反面、この先も危機の度、彼女に頼るのか、という迷いも感じる。
『――暁! もう時間がない……一か八か、あたしも距離を詰めて急所を狙うッ!』
思考に飛び込んでくるインカムを揺らす詩絵莉の声に、斑鳩はマシラへと突き出した撃牙の勢いそのまま、飛び込む様に前転し反撃を避けると、装填しながらインカムに叫ぶ。
「……駄目だ! 万が一前に出たお前の方にヤツが飛べば、守る手が無いッ!」
『でも、このままじゃあ……!』
もう一体、あれが増える――それが何を意味するか、詩絵莉にも十分に理解出来ている。
斑鳩たちの猛攻にあれだけ耐え、決定打を許さないタタリギがもう一体増える。とても太刀打ちできる状況ではない。
――でも、あたしが急所を狙うには、この距離じゃあ避けられてしまう……!
インカムから伝わる、ぎり、と歯を食いしばる音すら聞こえてきそうな詩絵莉の悔しそうな声に、斑鳩は深くシワを眉間の間に刻むと撃牙を装填する。
もちろん、詩絵莉の腕を信用していない訳ではない。
だが、姿見を晒しての射撃が万が一決定打にならなかった場合、手負いのマシラがどう動くか。今は3人の絶え間ない連携でこの場にマシラを貼り付けているものの、その均衡が破られ、一足飛びで詩絵莉へと攻撃の対象が移ったなら――彼女は間違いなく、無事ではいられない――。
――ズガァァアンッ!!
「――くぅっ……」
けたたましい撃牙を放つ轟音。
ギルが作ったマシラの僅かな隙に対し、飛び込む様に放つ頸椎を狙ったアールの一撃を、マシラは黒い蔦肉を削らせながらもなんとか外すと振り返り様、闇雲に左腕を振り抜き反撃に転じる。
アールはそれを寸でのところ、マシラの胴体に蹴りを入れ、その反動で躱しながら、着地際、たんっ、と床へと左手を着き、受け身を取る。
――もう一体……もう一体、これが増える……。
アールは撃牙を装填しながらも、珍しく焦りの表情を浮かべていた。
確証こそ無いものの……あるいはこのマシラ、ダメージを交換する事を前提とするならば一人でも何とか抑え込める相手……かもしれない。
……しかし、斑鳩たちは違う。
斑鳩とギルの二人に加え、詩絵莉の援護射撃を加えたとしても、単純な速度で上回るマシラに対して、劣勢は免れない。斑鳩たちの戦闘能力が低い訳ではない。それ程にマシラの速度が異常なのだ。
アガルタで捕獲、または鹵獲されたタタリギたち――だったのだろうか。
幾度となく様々なタタリギと実験と称した戦闘を行ってきたアール自身ですら、自らと同等の速度で動くタタリギと戦った事は無かった。
彼女はちらり、と食糧庫の北東にあたる壁に一瞬視線を向ける。
研ぎ澄まし広がっていく白い感覚の中、確かに感じるぴりぴりとしたモノ――いつか感じた純種の様にその身を震わせるものではないが……確かに感じる、新たなマシラの気配。あと数十秒もあれば、それはここへと到着するだろう。
――深過解放……するしか……
アガルタではそれこそ、幾度となく行ってきた。
だが、その度に起こる喪失感――いつしか慣れてしまったこの身体を蝕むそれは、今、とても恐ろしいものへと変わっていた。
――"最期"だと決意した、あの純種戦。
目を覚ます事などないと思っていたこの身が覚め、失っていたもの。
とても大事だったもの。これからも皆と大事にしたかったもの。前回の様に、死ぬ事はないのかもしれない。だけど、目覚めたとき再びそれに近い"何か"が……また、失われるかもしれない。
――でも。 わたしを信じてくれる皆のために、わたしの今は……きっとある、から。
本当に怖いのは、きっと、何かを失うことじゃ、ない。
わたしを、わたしを信じて、一緒に居てくれるみんなを失うこと……。
こんな有様のわたしと、"一緒に居たい"と言ってくれた人が傷付くこと……。
アールは撃牙を握り込む拳と共に、覚悟を宿す様に深紅に輝く瞳をぎゅう、と細める。
「斑鳩……わたし――深過解放、するよ……!」
「!!」
再びマシラへと攻撃を仕掛けた斑鳩は、繰り出される攻撃を何とか避けながら彼女の言葉に驚くと、身を翻しつつ大きくマシラと距離を取った。
「アール……!」
『アルちゃん……!!』
その言葉に驚いたのは、ローレッタも同じ。
あの純種戦の再現。彼女のあの力があれば、状況は一気に打開出来るだろう。だが、その性質が分からない以上使わせたくない、人知を超えた力――。
――タイチョ――……!
しかし、新たなマシラがすぐそこまで迫っているこの状況下、躊躇している場合ではない。
マシラの身体能力から考えると、この人数では撤退も恐らく難しい。よしんば引きながら戦いこの装甲車まで戻る事が出来たとしても、誰かが足止めをしない限り――。
撤退も厳しい。二体目のマシラを迎えての継続戦闘も、このままでは確実に目が無い……。
躊躇している場合ではない事は、斑鳩も理解していた。
斑鳩の脳裏に、意識を失ったまま冷たく、死んだように眠る彼女の姿が浮かぶ。
――守ると誓ったのに。 大口を叩いておいて、また……俺は……!
だが、状況はそれを許してはくれない。
迷っている暇は、無い――。
斑鳩は、ぎ、と歯を食いしばると、ギルと共にマシラへと攻め込む彼女を見つめたまま、インカムに手を添えた――
――その時だった。
「――ッ! そこはダメ……!!」
マシラの攻撃を避け飛び退いた先、斑鳩の場所。
アールは思わず視界に入った斑鳩の立ち位置に何かを察すると、声を荒げる。
詩絵莉は"何か"を察すると、すぐさま本来アールが撃ち込むはずだった攻撃のフォローに弾丸を放ち、斑鳩へと視線を向け――そしてその眼がつぶさに捉えたのは――。
――ごばぁッ!!!
「――ぐッ!!?」
食糧庫の薄壁を突き破る様に飛び込んできた、黒い影――!
新たなマシラの体当たりをまともに背に受け、幾多にも飛び散る瓦礫片と共に斑鳩が宙を舞う姿――だった。
「暁ぁッ!!!」
悲鳴にも近い詩絵莉の叫び声が響く中。
壁を突き破り現れた黒い影は、うつ伏せに床へと叩き付けられた斑鳩へと覆い被さり―!!
……――第9話 進むは深く、示すは真価 (6) Part-2 へと続く。




