第10話 Y028部隊 (18) Part-2
――眉間を通じて全身に感じる、焼ける様な痛み。
それが次の瞬間訪れるであろう、我が身に迫った命すら脅かす危険を察知したものだと、斑鳩は純種に向かい構えるアールと背を合わせたまま理解していた。
いや、それだけではない。
彼女とぴたりと合わした背からは、身に宿した"タタリギ"から感じる衝動を肥大させながらも強靭な意志と使命感で――ヒトとしての瀬戸際を保ち、抑え込んでいることが容易に汲み取れた。
衣服と衣服の隔たりを感じさせない彼女の冷たい体温を受けながら――斑鳩は死の直前に訪れると聞く極々緩やかな時の流れの中、彼女と自らの感覚が重なってゆくのを感じていた。
背中越しに見る、純種を真っ直ぐに見据えた彼女の紅い瞳に……迷いの影は、一切無い。
――こうして触れていればわかる。 お前がその気になれば、その内側の全てを解き放てば……何者にも、どんなタタリギにも負けない。 ……そうだな?
確かに感じる、彼女の内側で蠢き、禍々しく脈動する黒い気配。これほどのタタリギを宿したまま、どうすれば正気を保っていられるのか。ただ触れているだけでもその黒い気配に首筋を汗が伝う。
しかし斑鳩が心で問う声に背を通じ帰ってきた声は、仄かに暖かさすら感じさせるものだった。
――斑鳩、わたしはヒトでいたい。 みんなと一緒に、ヒトでいたい。 これはわたしの……わがまま。 でも、これがわたしを支えてくれる、意地と誇り。 だから……。
時の流れの狭間で交わされる意識の共鳴に、斑鳩はそれを当然の様に受け入れていた。
あの仄暗く、冷たさと孤独に満ちた闇に彼女が現れた時。深過共鳴が本来どういうものか……その本質を、知識としてでなく感覚として理解していたからに他ならない。
――わかっているさ、アール。
どこかに迷いは感じていた。
今までのタタリギに対する戦法が一切通じない目の前の純種に対して――あの時のまま対峙していたなら、俺はどうしていただろう。望んでいたはずの目の前に掲げられた絶対的な絶望に対して、どうしていただろう?
だが、それはもう――過去の話だ。
あの時アダプター2で初めて邂逅した純種――黒い獣を前に感じた絶望の淵で、彼女は見せてくれた。
ヒトがタタリギに抗える可能性の一旦を、仲間たちと共に魅せてくれたのだ。
何かを信じる……ただそれだけの事が、出来ない。
抗い、戦い続ければ続けるほど……その先にあるヒトの勝利など到底信じる事など、出来はしなかった。ヤドリギと成った後、どれだけ戦果を上げ、称賛と勝利の声を聞くほどにそれは遠のいていった。
朧げな記憶にある、目の前を掠めた死。その黒い瞬きは一瞬にして幼い自分から全てを奪っていった。自分が再び前へと進めたのは……"あれら"に仇討つためでも、ましてやヒトが抗い勝ち得る可能性を証明するなどと云う、まっとうさではなかった。
どうしようもなく理不尽に訪れるその瞬間を――あの時皆はどう迎えたのか。
こうしていれば、勝てた。こうあれば、生き残れた。
そうやって全てを出し切ったその先にある死にこそ――きっと、惹かれていた。
それは元来性格によるものかもしれない。何もかも失ってきた、自らの生い立ちのせいなのかもしれない。
だからこそヒトという種が、吹けば消えるロウソクの炎のように、儚く揺れるだけのこの残酷な世界で……その瀬戸際で――限界だけが、知りたかった。今まで自らの前から無残に消えていったヒトらが観たであろう、命の限界を。彼らが観たであろう、己の……ヒトの限界を。
"タタリギには勝てない"――その証明を得る事ことこそが、自分の背中を押す唯一の原動力だった。
抗ったその先にある終わりにこそ……きっと皆がそうだった最期に、救いを求めていた。
……ただ、それだけだったんだ。
だが、今はきっと違うのだろう。
全てだと信じていたそれを振り返れば、皆が魅せてくれたものに比べなんと歪な願望だろうか。
自分が知らなかった、目を背けていた"その先"を皆が教えてくれた。ならばこそ、だからこそ応えなければならない。アールを護り、皆と共に在る事が今の俺の意地と誇りだと――今こそ信じてみたい。
『――装填確認、行けるわ!! ……暁!』
詩絵莉の僅かに強張った声に、斑鳩は現実へと意識を同調させ――静かに、作戦実行を示すハンドサインを切った。
――アール、お前が信じた俺たち……Y028部隊の皆となら、遂げられるんだ。 ……必ず!
その瞬間。
ローレッタが繰る木兎四号機が、純種の目前、ぬらりと紅を湛えた眼を形作る砲塔の前へと降り立った。他の木兎と全く違うシルエットを持つ、フリッツが手掛けた移動する障壁。飛翔する黒い盾が、斑鳩たちを純種の視界から遮る。
その一瞬、詩絵莉はつぶさに瞬間を観察する。
純種が僅かに巨躯を落とし、地面を貫くように落とした四本の柱の様な黒い足を地面を噛むように沈める。衝撃に備え踏ん張るその脚が接地する地面から巻き上がる、僅かな土煙と土片。愛銃の照準越しに大きく見開かれた詩絵莉の式隼の瞳は、斑鳩とアール、そしてギルが構えるさらに後方よりそれを正確に捉えていた。
そして、四本の脚の緊張が達した――瞬間。
――ッズ……
――ッガァアアアアァンッ!!!!
爆音と閃光と共に、一切の躊躇無く放たれる、純種が宿す"戦車"としての砲撃――!!
その砲撃は、目の前に浮遊した木兎四号機の機体に着弾し――
『――ッ!!』
刹那、ヘッドセットから聞こえる耳を劈く鈍い破裂音。
ローレッタのモニター上に表示される木兎四号機の稼働状態を示す赤い光点が、コンソール上のレーダーから消える。
だが、彼女はそれを確認するよりも疾く。既に四号機に重ねる様――二号機、三号機を消えゆく光点へと重ねていた。
――ぎゅがしゃああッ!!!
観測する暇はない。
コンソールの表記上、確実に視界の端で静かに消えた木兎二号機と三号機の稼働状態を示す表記。それと連なるよう聞こえた鈍い破裂音をかき消す様に――ローレッタは叫んでいた。
「――ッ詩絵莉ぃーッ!!!」
砲弾の弾速と威力を殺す為の最初の障壁――木兎三機を爆ぜ貫き未だこちらへ真っ直ぐ迫る砲弾を、詩絵莉は自分でも恐ろしい程冷静に捉えていた。着弾すれば、確実に死が訪れる。そんな砲弾を前にしてもなお、愛銃へと掛けた指は震え一つ起こしていない。
――弾道なんて予測するまでもない。 あれに出来るだけ正面から、合わせる……それだけ。
飛来する砲弾は大の大人が一抱えほどもあるサイズ。
それが馬鹿正直に真っ直ぐ、飛来してくる。それでもなお、恐怖よりも先に詩絵莉は自らが遂げられるであろう仕事に余裕すら感じていた。
暁は言う、お前以外の誰が出来るのか、と。その言葉は、いつもあたしに勇気をくれる。
だから――怖いものなんて、本当は何もなかったんだ。
でも、今は怖い。あの轟音と共に飛来する砲弾よりも、何よりも暁が、皆が居なくなることが。
だったら、少しくらい無茶をしてみせる。皆の無茶に付き合ってあげる。暁がそうしたいなら、それがあたしの観ていたい光景なんだ……!
――ギリッ…
貫かれ爆ぜた木兎の破片を撒き散らしながら僅かに弾頭を揺らし現れた砲弾に合わせるよう、詩絵莉は歯を強く噛み結び――
――ッヅバァアアンンッ!!!
指に掛けた引き鉄を、弾く。
瞬間、続け様にまるで機械仕掛けのように、全くぶれる事も、迷う事もなく正確にスライドさせた指で飛牙の引き鉄を重ね、さらに弾く!
先の射撃音にかき消され、強靭に張り詰めた弓の力で滑る様に射出されたひと際大きなサイズの撃牙の弾芯を、詩絵莉はマズルアップする愛銃越しに観測する。
――ずぎゅばぁっ!!!
初弾放った、詩絵莉が持つ弾丸の中でも最大のサイズを誇る対大型タタリギ特攻となる徹甲榴弾――
13A.R.K.で支給される弾丸の中でも崩壊弾を除くと最も高価で、最も稀少な弾丸。着弾と同時に爆発を巻き起こすそれは正確に飛来する砲弾を捉え、瞬間凄まじい爆風が辺りを照らし――その衝撃も収まらぬうちに、さらに二の矢、飛牙の弾芯が着弾を果たす!
――ぢぃぎぃいいいんッ!!!!
徹甲榴弾の着弾と爆発のストッピングパワーに加え、それよりもさらに大口径の弾芯の直撃を受け。
木兎三機を貫いた砲弾が、僅かにその威力と弾道を反らし――!!
「――ッ!!!」
前へ、前へと駆ける顔を打つ、詩絵莉が放った弾丸の爆風と衝撃。
本来ならば雄たけびを上げながら――と、口を一文字に結んだギルは、ローレッタが繰る大きな盾型木兎が撃ち貫かれる瞬間に前へと身体を弾いていた。大きく飛ぶ様に駆ける二歩目、背後から放たれた二筋の弾丸の軌跡を視界の端で捉えつつ、前方飛来する砲弾を両の眼で捉える。
砲撃に対する、二枚目の障壁――詩絵莉の弾丸。
次に駆けるギルの役目は、撃牙による威力相殺と……斑鳩とアールへ砲弾を渡す為の、弾道補正――!!
迷う事なく、ギルはこの役目を買って出た。本来ならば、弾道補正などという仕事は斑鳩の領分かもしれない。だが、高揚する式狼としての能力とそれに伴ういつもにも増した直感を、ギルはこの土壇場で自ら一点の迷いなく信じていた。
ようは弾道がずれた方と逆側を叩きゃいいんだろ?
そう言い放った彼の言葉に、誰もがひと時笑ってくれた。それだけで、買って出た甲斐があったってもんだぜ。ギルは不敵な笑みを浮かべながら、右手に装着した螺旋撃牙に想いを馳せる。
――すまねぇな。 ちっと乱暴に扱うけどよ、許してくれな。 ……後でスゴ腕の整備士が直してくれっからよ……なぁ!!
駆け出してから一呼吸もする事無く、ギルは砲弾に向かい地面を踏み抜いた。
その姿は式神たるアールにも差し迫る……いや、その荒々しくも柔軟で、これ以上ないという、まさに機を捉えるための最適な動きは――それ以上、だったかもしれない。
その腕から掠めるように――
すれ違いざま大降りに、かつ正確に撃牙を全く臆する事なく飛来する弾丸へ突き出し――!!
――ガチンッ!!
接弾する瞬間、ギルは渾身の力を込め撃牙の引き鉄を撃ち弾く!
――ギュギャアアアアアッ!!!!
「ぐッ……おらぁァァアアあああッ!!!」
吐き出す吐息と共に、ようやく、とばかりに荒々しく咆哮を上げながら突き出しされた右腕。螺旋撃牙の弾芯は、砲弾を真下から掠めるように捉え、火花と轟音を撒き散らし――次の瞬間、バギンッ!と折れはじけ飛ぶ螺旋の芯と共に、ギルの身体はその衝撃で弾き飛ばされる。
――すごい……すごい!! すごい!!!
内側から今にも溢れ出さんと荒ぶる黒い衝動すら忘れ、アールは紅い瞳に、全ての光景を焼き付けていた。ローレッタ、フリッツ、詩絵莉、ギルバート。彼らの一挙手一投足が、身体を蝕む痛みを解放してゆく。みんなが、自分が提案した無茶苦茶な作戦を命を以って推してくれている。
砲弾は、撃たせたものを回収し、投げ撃ち放つ――それでは、足りない。
撃たせた砲弾の威力を最小限抑え込み、それをそのまま……"返す"。
それが、あの純種を――あの"白い少女"が宿るタタリギを討ち果たす為の絶対条件。アールがそう告げたその作戦を、皆がここまで昇華してくれた。
――斑鳩。 わたし、幸せだよ。 みんなと今、一緒の光景を見てるんだ。
背中に感じる、斑鳩の鼓動。
それが今、自らの鼓動と感じている。そして皆からも感じる、何物にも代えがたい確かな暖かさと、それぞれの鼓動の音。
第三の障壁、ギルの特攻により――砲弾は確実に威力と速度を削がれていた。だが、それでも――それはまともに着弾すれば必殺の威力に変わりはない。例えこの右手で受け止めたとしても、その威力に遥か後方へと身体を持って行かれるだろう。
――斑鳩……往くよ!!!
――ああ!!!
言葉を交わさずとも、砲弾へ向いたアールと、そのアールが背を合わせる斑鳩――
二人の意識は、確かに共有されていた。
そして――!!
「ぅぁあああああァッ!!!」
アールは、斑鳩に背を預けたまま――
右手へと、身体の内側で爆ぜる瞬間を待つかの如く波打つ衝動を流し込む。
「――ぐッ!!?」
その瞬間、想像を絶する痛みを斑鳩は"共鳴"していた。
自らの内側――密着し背中を合わせるアールから怒涛の如く流れ込む、意識と感覚の相互。
――こんっ……な、痛みを……こいつは……!!
考えてみれば、当然だ。
その濃度と表現すればいいのか……とにかく自分たちヤドリギが宿すのは本来、ヒトである部分を蝕み犯すタタリギなのだ。A.M.R.T.で得ているのは、本来ヒトが許容出来るギリギリ限界の異物に違いない。そこから僅かながら、忌むべき力の一旦を借りているに過ぎないのだ。それを――限界を超えて解放するということが、どういうことか。
――これが……深過……ッ!!
ヒトではなく、タタリギへと堕ちる。
健常なヤドリギであればその危険性も可能性も本来、ゼロに近い。ヒトとしての抵抗力――死の間際、意識を失うほど生命力が落ちた際、深過しタタリギへと堕ちる事はあれど……それを健常な状態で、精神で受けた経験などどんなヤドリギとて、無い。
だが、ふと――斑鳩は全身から溢れ爆ぜそうになる力と痛みを感じながら考える。
――そう、か……アールは、手伝って……と……。 これは、二人で……分散している……のか……!?
ならば、誇らしい。これ以上誇らしい痛みは金輪際、味わう事など出来ないかもしれないな。
斑鳩は割れんばかりに歯を食いしばり、背中に感じるアールの体重を支えながら――心の内で、もう一度叫んでいた。
「――やれえええぇぇええェッ!!!」
その声に呼応する様に。
アールの右手は鋭く、そして大きく顕現し。
突き出したその黒く蠢くタタリギとしての腕は、飛来する砲弾を迎え入れるよう、包み込むように広がり――
「おねがい……ッ!!」
飛来する砲弾の威力を殺しきらぬ様に――純種へと、返す。
そのために、この一瞬だけ……自らをヒトとして保てる限界を僅かに超え、タタリギとしての力を溢れさせる。意識を集中させたアールの口からは、刹那、誰にでもなく――いや、自らの可能性を祈る言葉が漏れる。その言葉に応える様に黒く脈動する右腕は意識するまま、幾重にも広がるいびつな枝のような影を以て、砲弾を――掴み込んだ。
ぎゅぢいいいいぃぃぃッ……!!!
「――~~ッ!!!」
刹那、アールの表情が苦痛に歪む。
砲弾を包み込んだ右手――その隙間から噴き出す、赤黒い飛沫。
ローレッタの展開した木兎三機、詩絵莉の大型弾頭による相殺射撃、ギルの螺旋撃牙の掠撃。それらを以ってしてもなお、想定よりその威力を削ぐ事は敵わなかった。黒い腕を通じて感じる、未だ貫く意志その一切を衰えさせぬ、砲弾の回転運動。その威力は確実に右腕――タタリギとしての部分を削り、散らしてゆく。
アールは掴んだ砲弾に右腕ごと持っていかれるそうになる身体を、寸でのところで支え続ける斑鳩の熱に目を見開く。砲弾を掴み補足した瞬間、共鳴する彼の背から流れ込む意識は、溢れる全幅の信頼。
――だが、想像以上じゃあない……そうだろ、アール!!!
――……うん!!!
ぎりいいいいっ……!!
アールは彼の声に押されるよう、痛みを忘れるよう――砲弾を受け止めた右腕に意識を流し込む。
背を預け支えられたまま、アールと斑鳩の足元が地面を割り沈み込む。そして、受け止めた砲弾が彼女の黒い腕ごと後方へと流れるその瞬間――!
「ッァあああああああああぁッッ!!!」
アールは、斑鳩の背から弾かれるよう純種へと――前方へと身をせり出し、一歩左足を大きく踏み込んだ。
掴んだ砲弾によって流される黒い腕が、前へと身体を沈めるたび肩元でぶちぶちぶち、と嫌な音を立てる。そこから噴き出す赤い血が彼女と――そして、斑鳩の顔を染めてゆく。
――ぐうんッ……!!
「うう……ッ!!!!」
フリッツはその瞬間、大きく目を見開いた。
最期に残された一機の木兎――一号機が捉えたその光景。真っ直ぐ弾頭を揺らしながらも飛来する砲弾を受け止めた瞬間、アールは大きく肥大させた黒い腕をしならせ、さながら受け止めたボールをそのまま投げ返すように大きく、高く振りかぶり――!
「――アルちゃんいけぇえええええッ!!!!」
叫ぶローレッタの声にかき消される、アールの身を割く音。
地面へ倒れ込む程前へと身を沈ませたアールは、受け止めた砲弾に自らの黒い腕を纏わせたまま。
純種へ向け、砲弾を振りかぶるように……撃ち返した――!!
――うおおおお、や……やりやがったッ!!!
アールが撃ち返した砲弾を地面へ伏せたギルは目撃する。
それはただ飛来した砲弾の推進力を殺す事なく、彼女の肩を基点とした円運動で撃ち返したものではなかった。ギルの式狼としての動体視力が捉えていたのは、撃ち返された砲弾がまるで――まるで、あの純種が放つが如く黒く鋭い錐状の……いや、それとも違う。砲弾を包み込んだアールの黒い腕の残滓は、まるで螺旋を描く撃牙の芯のようなシルエットを形作り――!!
「……ッ」
斑鳩は振り返ると、右腕ごと純種へ砲弾を撃ち投げ返したまま地面へうつ伏せに倒れ往くアールの身体を後ろから抱きかかえる。
そして次の瞬間、互いに血みどろとなった顔を全く同じタイミングで上げた二人が観た光景は。
――ッずぐしゃああああああぁぁああッッッ!!!
砲弾を放ったが故、生まれた硬直。
撃ち返すまで僅か数秒とない時間、回避に移れなかった純種の上体部をその顔を孕む砲塔ごと。
アールが撃ち返した黒い螺旋の砲弾が、轟音と共に純種を貫き穿った、まさにその瞬間だった――!
……――次話 Y028部隊 (18)Part-3へと続く。




