蛇足「敵情視察と参りましょう」を神様は見ていた。②
口絵公開お知らせ更新です。
そして、彼女は弟王子とデートをする。彼女は『敵情視察』と言っていたけど……理由はどうあれ、わざわざ変装してまで男女が二人で休みの日に会うというのは、デートと称していい事柄なんじゃないのかな?
『……ルーナ。あの色以外なら何でもいいよ。好きなドレスを頼むといい』
……まぁ、二人は兄王子が選んだというピンクのけばけばしいドレスを目の当たりにして、目を丸くしているのだけど。それでも、ドレスを贈るってことは告白しているのと同義だよね?
その事実は、ルルーシェ自身もわかっているのだと思う。
『あら。本当に買ってくださるおつもりですの?』
『もちろん。君を口説きたいって言ったろ?』
『ドレスひとつで口説けるほど、安い女と思われるのは心外ですわね』
――え?
思わず今度は僕が目を丸くした時には、彼女はもう変装用の帽子を取っていて。
漆黒の髪をなびかせる彼女は、ただただカッコよかった。
『それでは――真っ赤なドレスを』
『ルル……』
『飾りは何も要りません。ただただ上質な生地で、真っ赤なドレスを仕立ててくださいまし。伝票はルルーシェ=エルクアージュでお願いしますわ』
それは、思わず僕が見惚れてしまうほど。
だけど、さすがに今の僕が、それを伝えるわけにはいかないから。
「きみは本当何をしてるの?」
「充実した祝日を過ごしただけですわよ?」
今日も彼女の夢の世界で、僕は率直な疑問符を投げかけてみる。
すると、彼女は僕の意図としていない返答をくれた。
父親とアルジャーク男爵を引き合わせ、婚約者が他所の泥棒猫に贈ったドレスの偵察をし。その上で、自分のドレスも発注し、アルバン男爵の元へお礼に行ったついでに泥棒猫のお勉強を手伝い、家に帰ってアルジャーク男爵らと母親が直々に作った晩餐を楽しみ――今に至る、だろうだ。
……ほんと、忙しかったね。おつかれさま。
でも、充実の方向性、それで本当にいいの?
そう聞いたところで、どうせ彼女は腹を立ててしまうだけだから。
僕がため息だけで不満を押し留めれば、それでも彼女が苦言を呈してくる。
「ため息を吐く癖は直した方が宜しいのでは? 幸せが逃げてしまいましてよ?」
「誰のせいだ、だ・れ・の⁉」
あーあ。ダメだなぁ。いつも彼女のペースに巻き込まれてしまう。
もっと“神様”らしく、威厳を持って……僕にできることって何だろう?
「第二王子の顔に泥を塗ってよかったのかい?」
「さすがにザフィルド殿下に買ってもらうわけにはいきませんもの。それに――死装束は自分で用意したかったですし」
はぁ……カッコよすぎだろう。ルルーシェ=エルクアージュ。
その心境をきみの両親や、他の人が知ったら……どう思うんだろうね? 娘が死装束を自分で選んだと知ったら……それを想像するだけで、僕は泣きたくなってくるよ。
そんな気高いきみに僕がしてあげられることなんて、本当は何もないのかもしれないけど。
「弟殿下は、きみに惚れているんじゃないの?」
「そうかもしれませんわね」
「きみも嫌いではないのだろう?」
「えぇ」
「誰かに愛される最期じゃなくて、いいの?」
それでも『何か』『何か』と探してしまう僕は、やっぱり残念で哀れな男なのかな?
「本当に……いいのかい?」
「神様もあのドレスはお気に召しませんか? ……あら、もしかして。あのドレスを着たわたくしに惚れてしまいそうだとか?」
「なっ、なんでそうなるんだ⁉」
「あらあら。神様も照れた時はお顔が真っ赤になりますのね?」
どんな姿をしていたって、僕はいつでもきみに惚れているよ。
そんなこと“生きてすらいない”僕じゃ、口が裂けても言えやしない。
というわけで、口絵を活動報告にて公開しました~!
めっちゃ素敵です。いちかわはる先生、まさに神ですありがとうございます!
ぜひぜひ御覧になってください~。
あと書籍発売日が4/14(木)に少しだけ早まったようです。
あらすじもきちんと作ってもらった予約サイトに飛べるようリンクも貼ってありますので、ぜひそちらも御覧になっていただけたらと思います!
また、連載していた別作品の二章が完結しました。下記にリンク貼ってあります。
なかなか良い感じの終わりとなりましたので、宜しければそちらもお読みいただけたらと思います!






