最高の気分です
あー、最高の気分だ。
マジで昨晩は盛り上がりまくって寝られなかったぜ。なのに久しぶりだ。こんなに爽やかな朝は。
でも、ほんと華怜のやつ、一晩中寝かせてくれねぇんだから、本当に困ったもんだぜ。
人間が入れ替わっていたなんて話、普通信じるか? まあ、信じてもらわないと俺としても困るから普通に神が俺に味方をしたということ。ざまあみろ、風間。結局、最後に勝つのは俺、藤堂蓮也様なんだよ。
それにしても華怜。昨日は本当に根掘り葉掘り、あいつはlineでそのことについて聞いてきやがったな。食いつき具合がそれはもう尋常ではなかったことを覚えている。
まあ、そりゃそうか。そうだよな。この俺とあんなカスが入れ替わっているんだ。違和感を感じなかったわけがない。そんで、風間、お前みたいなもんが俺になりきろうなんて一万年早いんだよ。てか、無理、不可能なんだよ。
今も呑気な顔しやがって。そもそもの人間としての器が俺とお前では違いすぎるんだよ。
ハッ、ここ数か月はそんな俺のおかげで甘い蜜を吸えていたんだろうが、それも今日で完全に終わりだ。人の褌で相撲を取るような卑怯で最悪な真似をしやがってよ。
本当に終わり。マジでニヤニヤが止まらねぇ。
そして視線を少し隣ずらしてみれば、ハハハッ、可愛いやつだ。
そこには華怜。
いつになく嬉しそうな表情で授業を受けている華怜がいる。
ほんと、朝からはしゃぎすぎだろ。
ハハ、数学の授業で何をそんなに笑顔になることがあるんだってーの。
あいつが友達の女と喋っている声なども、今日は露骨に1オクターブは声のトーンが普段よりも明らかに高かったり、他にもいい意味でいつもと違うところがいっぱい。
とにかくもう、朝から、あいつはまるで宝くじで1億円が当たったかの様な浮かれようでずっと嬉しそうにしている。
まあ、そりゃそうか。納得もいく。なんせ、俺は今日の昼に、華怜に裏庭に来るようにlineで伝えてある。
おそらく、入れ替わりの真実を全て知って、その上で俺にまた告白されることをもうわかっているのだろう。また俺とのあの幸せな時間が戻ってくることを知り、舞いあがった自分をおさえられないといったところか。
ほんと可愛いやつ。
今もまた、何も笑いどころのないところで、華怜はひとり表情を緩めて笑みを浮かべている始末。
ったく、好きな人のことを思って恋する乙女かよ。
授業中だからまあバレないのかもしれねぇが、俺以外から見れば、ただの頭のおかしくなった女に見られちまうぜ? 本当に気持ちはわかるけどよ。
俺もニヤニヤがいまだに止まらねぇから。
はぁ、でも、まだ2限目か。
昼休みまでもう待てねぇよ。
って、いや、我慢だ。我慢だ、俺。
なんせ、フハッ、今夜は...。
今夜は本当に色んな意味で寝られねぇかもしれねぇからな。
ハッハッハッハッハッハ




