色々とありすぎた1日です
えーっと、今朝は広瀬さんと電話で何の話をしていたんだったっけ?
えーっと、昼は環奈と何の映画を見ていたんだったっけ?
つい、さっきまでの今日の出来事であったにも関わらず、ほとんどもう俺の脳は覚えていない。と言うよりは、記憶から吹き飛んでしまったようだ...。
嘘だろ? こんなにも不運が重なることって普通に生きていてあるものなのか?
でも、実際に起こってしまったことなのだから、あるとしか言いようがない。
俺は、夕方に朝から一緒だった環奈と別れ、自宅に帰宅。
別にその点については普通の日常一コマ。何らおかしいことはない。
そして、朝のあの爆弾の件についてはもう夕方には開き直っていた。
そう。どうしようもないし、これ以上は考えるだけ無駄だと、再びその爆弾の入ったリュックを背負って、その持ち主の自宅へと俺は一直線に向かっていた。
まず、状況証拠的にもう彼女の持ち物だとしか考えられない。
さらにだ。この状況で、もし学校で彼女から何かアクションがあったりしてみろ。本当に俺は色んな意味で終わる。そうなってしまうぐらいならと、正々堂々と俺は彼女、西園寺紗弥加の自宅に爆弾の返却に向かったのだ。
そもそも、俺は何も悪くない。これは巻き込まれ事故以外の何ものでもないのだからと。あと、彼女が家に戻れているのかも心配だったから。
ただ、まさかもまさかだ。こんなことになるなんて誰が思う...。
そう。その道中で俺は人生初めての経験をすることになる。
そして、色々とその初めての経験があったせいで、俺はある女性に爆弾を所有していることが...
ありえない。ありえなさすぎる。
まさか、あんな場面で大塚華怜、彼女と遭遇するなんて誰が思う。
そう。俺の同級生であり、入れ替わる前に色々とあったあの大塚華怜にだ。
不運は連鎖すると言う言葉があるが、まさにその通りだと痛いほどに今日実感した。
ただ、その彼女に助けられたことも事実として実はあって...
話がかなり長くなるので割愛をするが、彼女があの場に偶然にも現れてくれなかったら、俺は今頃、冗談抜きでブタ箱からの退学コースになっていたかもしれない。
つまり、彼女には大きな借りができた。そして、それがまた...。
そう。この世の中、不運は続いても上手い話はそう続かない。
彼女に対する借りはあまりにも俺にとっては大きかった...。大きすぎた。
まだ、個人的には華怜から、そのお礼としてお金を要求された方が全然良かった。
だって正直、これは無理だ。
無理だが...あんな警察ざたみたいなことがあった上で、俺には彼女の脅...いや、要求に首を横に振るなんてことはもっと、無理なことだった。
でも、本当に何なんだと思わざるを得ない。俺は一般人だ。一方、彼女は全国的には超売れっ子とはまだ到底言えないが、最近はちょくちょくとテレビに出たり、数年後、そうなっていても何らおかしくはないポテンシャルを持っている女性だ。既に雑誌等で女子高生たちの間では、読モとは言え超がつくほどのカリスマ。
そんな俺が、そんな彼女とyoutubeの動画に?
いや、無理だろ。
しかも、今撮ろうとしているのが、最近SNS界隈で割と流行っている、いわゆる高校生や大学生の男女が、ドキドキとする恋愛場面の数々をショートドラマ形式で撮影する動画?
要は男が、こんなことを女性から言われたい、こんな恋愛がしたいなどと、日頃から妄想のように想像して考えている理想の恋愛場面を再現する系のドラマ動画...だよな。
あの見ているとムズムズとする感じの...。
一応、彼女の事務所の何人かが出演する動画になるみたいなのだが、その中の一人を俺に...。
そう。華怜の相手役を俺がしろと...本人から言われてしまったのだ。
ありえない。いくらyoutubeの動画とは言え、まず、そんな演技なんて俺には無理だ。そのこと彼女には口に出してはっきりと伝えたのだが...。
『じゃあ大丈夫じゃん。ふふ、だって演技なんてする必要ないでしょ? 私との経験を思い出せばいいだけなんだから』
と...言葉が二つ返事で返されただけだった。
「...」
正直、あの場面ではどんな言葉を彼女に言い返したとしても、うまく言いくるめられる気しかしなかったし、とりあえず、あの時の俺にはその大きすぎる借りからもう拒否権など何ひとつなかった...。
そもそも今日の俺が何を喋ったところで墓穴を掘ってしまう未来しか見えなかったことからの黙秘だったが、まあ...。
本当に一体、今日の俺には何が起こっている。
朝から色々とありすぎてもう何がなんだか、わからなさすぎる。
本当に、わからない...が最近の俺が何故かSNSにかなり翻弄されまくっている。
これについては事実なのだろう...。
でも、本当に今日は朝からちょっと色々と...。いつにもまして、ちょっと本当に...
華怜の出演するyoutubeの動画ってことは当然、その視聴回数も...
いや、でもそもそも事務所が俺なんかを出すことを承諾するはずが...。
とは思ったが、華怜との別れ際のあの感じ...嫌な予感が、嫌な予感しか...しない。
「...」
ただ、もう隠さずに彼女に正直にあの爆弾を所有していた事情を説明したら、それを華怜が引き取ってくれて、紗弥加に返してくれることになったことが大きかったことも事実としては追加であるし...。
いや、駄目だ。
もう、本当にわからない...。
本当に。
私のことを覚えている方は皆無だと思いますが、かなりお久しぶりです。




