実は彼女の両親は既に知っていました?
「マ、ママ、どうしよう。紗弥加が、紗弥加が家出しちゃったよ!!!」
「あら、パパがあんなに怒ったりするからじゃない。とっくに知っていたくせに。あの子が漫画を書いていたことなんて」
「いや、だって漫画をまだ描いているってことはまだあいつと繋がっているってことだろ?駄目だ。絶対に駄目だ」
「あぁ、あの藤堂くんだっけ。ちょうど半年ぐらい前だったかしら。覚えているわ。いいじゃない。イケメン君だし、突然乗り込んできたと思ったら、こんなにも強面のパパにあそこまで堂々と意見。大人でもできないのに凄いわよ。と言うか今の日本に何人そんなことをパパにできる人がいるのかしら? まぁ、私が紗弥加の立場なら間違いなく惚れちゃっているわね。それに、ねぇ知ってる? フフ、あの時、おそらくこっそり紗弥加もあの時のあなたとあの子の会話、隣の部屋から盗み聞きしていたはずよ? あの子、割と表情にでるから私にはわかるもの」
「な、なにぃ? って、ことはやはり紗弥加はあいつを......駄目駄目駄目、ますます駄目だ!!!!駄目に決まっている!!!!」
「フフツ、何でよ。昔のパパみたいでかっこよかったじゃない。覚えてないの? あなたが私のお父さんに私との結婚を認めてもらう為に無茶した時のこと。あの時のことがフラッシュバックしちゃったもの。私」
「はぁ? 俺とあいつが一緒? ふざけるな!!! 藤堂蓮也、色々とあの時に調べさせてもらったが、あんなにもバカで女にだらしない男。早々おらんぞ!!!! 絶対に認めん!!!! もし万が一、億が一にもありえんが、あんなのが将来的に西園寺家に入ってみろ。全てが崩壊するぞ!!!! ママはあんなのが紗弥加に本当にふさわしいと思っているのか!!!」
「フフ、まぁ確かに色々と考えるところはあるわね。私、昔から色んな人に出逢ってきたから人を見る目には絶対的な自信があったのだけれど。あの時の彼は決してそんな子には見えなかったんだけどなぁ」
「何をそんなに呑気な!!! ママも見ただろ。あの時の藤堂蓮也の調査結果を!!!! もしかすると今まさに紗弥加はあの不埒な男の家に、毒牙にかかろうとしているのかもしれないんだぞ!!!! 一体どうしたママらしくない!!!! それにまだ紗弥加は見つからんのか!!! あいつ等は一体何をしている!!!」
「フフッ、そう焦らなくて大丈夫よ。パパ。だって、もう見つかっているんだもの。だから捜査も止めさせたわ」
「は?」
「だ・か・ら、紗弥加はもう見つかっているし、無事だから大丈夫って言っているの」
「ど、どこにいるんだ!!!! 紗弥加は!!! まさかやっぱりあいつの!!!!!!!」
「フフ、面白いわね。本当にパパは紗弥加のことになったら心配症なんだから。なのに何であの子を前にするとあんなに不器用にしか表現できないのかしらね。とりあえず、大丈夫。藤堂って子の家にはいないわ。お友達の家にいるみたいよ」
「お友達ぃ?」
「ええ。もしかしたら知っているんじゃない? ほらちょっと前に話題になったじゃない。紗弥加の通っている学校の屋上で事件があったでしょ。あの時の当事者の子よ」
「おお、あの時の女の子か。本当によかったよな。確か無傷だろ? 俺もその時の動画はニュースで見たが、特にあの男の方。あれは天晴だった。中々いないぞあんな男。はぁ、せめて紗弥加もあいつではなくあれぐらいの男を.....。まぁ、絶対に認めはせんが、認めはせんが、どうせ好意をもつならあれぐらいの男にもつ様な見る目は持ってもらわないとさすがに困る。認めはせんがな」
「フフフフッ、そうね。フフッ」
「な、何だよ。ママ。そんなに楽しそうに笑って.....って、何であの子がどこにいるのか知っているのに黙っていたんだよ!」
「フフフッ、だってパパの反応がいちいち面白いんだもの」
「くっ......」
「フフ、でもとにかく大丈夫よ、パパ。だって紗弥加は私の子供よ。改めて思うけれど、あの子の人を見る目は超一流みたいだから」




