俺の家です
えーっと、これ。
どういう状況?
今、俺の家の風呂には何故か紗弥加。そう西園寺紗弥加が入っている状況......っぽい。実際、微かにシャワーの音もここまで聞こえてくる。
駄目だ。唐突すぎて頭がまた混乱してきた。一旦整理しよう。整理。
そう。さっきまで俺はまさにあとは寝るだけの状態でベッドの上でスマホをポチポチ。この時点では至っていつも通り。どう考えても何もおかしくはない。
そしてそこで登録しているyoutubeチャンネルの通知が流れてくる。
これ自体も別におかしい出来事ではない。
で、その通知の内容が学校の同級生、西園寺紗弥加が家を追い出されたと言う内容の動画。ここら辺からちょっとおかしくなる。同級生が家を追い出されたという出来事にはさすがに俺も驚く。
で、気が付けばその動画の投稿者である学校の同級生。西園寺紗弥加が我が家に泊まることに。はい。ここで完全におかしくなった。明らかにおかしくなった。
驚くとかではなく、いきなりすぎて言葉が出ない。どういうこと? 何で俺の家? 本当にどういう状況?
そもそも何で母さんはあんなにも簡単に彼女が家に泊まることを了承した......って、まあ、そうか。
あのババ.....母さん。最近ちょっと、いや、かなりおかしくなっているからな。
あの出来事があって、俺が若干ではあるが世間的に目立ってしまった頃から。
さっきだって満面の笑顔で何が「ねぇ、あの娘も颯太の彼女候補なんでしょ? あんたも本当に隅におけない男になっちゃって」だ。母親とは言え真剣に手が出そうになった。そんなわけないだろ。もう脳内がお花畑すぎる。
妹は妹で生粋のミーハー。彼女のことを知らないわけがなく、はしゃぎにはしゃぎまくっている。何が「お姉さんって呼んでもいいですか?」だ。親子そろっておかしすぎるだろ。
まぁ、百歩譲って、百歩譲って泊めることが仕方がないとしてだ。一体何を考えているあのババア。
何で俺の部屋に布団をもう一組置いていった......。
ふ、普通どう考えても妹の方だろうが。
とうりあえず早急にこの布団は......って
コンコン。
って、色々と考えてた俺の耳には静かに部屋をノックする音が聞こえてくる。ちなみに俺の家の住人に部屋の扉をノックする習慣なんてない。ということはそういうこと。
「は、はい」
「入るわね」
そして案の定。扉の先にいた女性が俺の部屋に入ってくるが、そこにいるのは西園寺紗弥加.......。
それも、まだ少し髪が濡れて火照った感じが抜けていない頬を赤くする
風呂上がり.....の紗弥加がそこにはいる。
「お、お母様が貸してくれたのだけれど、ちょっとブカブカね」
し、しかも、なんで俺がいつも着ている明らかに男物とわかる灰色のパジャマを着て......
やばい。本当にどういう状況だ、これ。言葉が出ない。
「ち、ちょっとそんなにマジマジとみられると恥ずかしいのだけれど....。スッピンだし」
「い、いや、ちょっとほら、いつも眼鏡かけてないから、つい」
駄目だ。ギャップとかその他もろもろで、ついまじまじと。
今も、いつも堂々としている彼女とは似ても似つかないようなモジモジと恥ずかしがるような素振りをし、その明らかに長い俺のパジャマの袖で顔を隠す彼女がいて......
「そ、そう。家ではいつもこんな感じだから。に、似合うかしら?」
と言うか、スッピンでそれって改めて本当にすごいな。妹とは大違いすぎる。
それに、いつもの気の張った感じが、ちょっと童顔になってむしろ.....
って、マジで何だこの状況。
色々といきなりすぎて本当に何がなんだか......
え? 本当に泊まるの? ここに?
ぎ、逆に紗弥加はそれでいいのか?
やばい。ますます頭が.......




