暴走が止まりません?
ありえねぇ。マジでありえねぇ。
あの時のことだって俺は別に悪くないだろうが。俺は確実に場が盛り上がると思って。それに結果としては何もなかったじゃねぇか。なのに、なのに何で俺が周りからあんな目を向けられることになって......。
そんで何でまた風間があんなにも株を上げることに.....。恵梨香まで.....。
「糞がっ!!!!」
恐ろしい程に何をしても全てが裏目に出る。
マジでおかしすぎるだろう。まただ。もう勘違いでは済まされない。本気であいつと入れ替わってからは全てが全て、上手くいかなくなっちまっている。おかしい。おかしすぎる。だってもう何度思ったかすらもわからないが、もし、あんなことがなければあの位置にいたのは間違いなく俺、藤堂蓮也なわけだろ?
マジでふざけすぎだろうが。
最近は特に調子が狂って仕方がねぇ。現に学校からの帰宅途中の今だってだ。俺らしくもねぇのだろうが、すれ違う奴らがみんな俺のことを冷ややかな目で見てくるように感じて仕方がねぇ。
これまでなら歩いているだけで他校の女どもから話しかけられるなんてざらにあったっていうのに。マジでなんだよ。この状況はよ。
「ねぇ、知ってる? 今度隣の学校の華怜ちゃん。youtubeも始めるらしいよ。やばくない?」
「もちろん知ってるわよ。でも本当に最近の華怜ちゃんって可愛すぎてやばいよね。路線変更してからの華怜ちゃんってマジ輝いてると思う」
「ふふっ、もうそこら中の女子高生がいまや華怜ちゃんに影響受けまくちゃってるもんね。いいなー。私も華怜ちゃんになりたいー」
華怜......。
糞が。そうだよ。華怜。
改めて思うが、華怜だって、華怜だって、何であんなにわかりやすく、あんな陰キャのことを構う様になった。元々はお前らが関わることなんて皆無だっただろうが。それが、入れ替わりが戻ったら知らない間にあんなに仲良く。いや、もはや仲いいなんて次元じゃねぇ。
「糞がっ!!!!糞がっ!!!!糞がっ!!!!」
間違いなくお前は俺の彼女だったろうが。そんで楽しくて最高のカップルだっただろうがよ。
それが何でこんな......。
真剣に、俺と入れ替わっていた間にあいつは俺の身体で何をした......。
一体、華怜に何をした。
実際、あの糞は何度問いただしても何もしていないとかしか答えやがらねぇし。
どう考えても何もしていないわけがねぇ。
絶対に許さねぇ。もう我慢ならねぇ。あの糞野郎。
そうだよ。せめて何とかして華怜だけでも取り返して.....。
いや、違う。華怜を取り返して、そしてそこから全てを元に戻さないと駄目だ。
要はあいつに奪われた全てを取り返す。
マジでもう我慢ならねぇ。
でも、実際に......って。
そうか。そうだよ。
ヘッ、何で俺はこんなに簡単なことを......。俺にはもう失うものもねぇんだ。
最早これしかねぇだろ。
そう。全部、真実を華怜にそのまま話せばいいんだ。
もちろん。あの糞のいる前でな。
俺たちがいつ入れ替わって、いつ元に戻ったのか。どのようにして入れ替わったのか。それらの経緯を洗いざらい華怜に暴露して、そしてそれを風間に何が何でも認めさせる。
そうだ。マジでそれしかねぇ。
それでまた華怜は俺の元に......。
ヘッ、そうと決まれば.....。
やべぇ。急にテンションが上がってきた。
待ってろよ。風間、絶対に何が何でも逃がさねぇ。
今度はお前が地獄に落ちる番だ。




