初めての校長室です
最近の不運からして嫌な予感はしていた。
そして結局、俺に拒否権なんてなかった......。
退院の日の朝、つまり今日の朝。直接病院から親の車にのって学校に登校し、あれよあれよと気が付けば松葉杖で俺は校長室に。
そして今はまさにテレビ局のカメラマンが来るのを待っている状態とでも言えばいいのだろうか。
ものすごくご機嫌な校長、そして担任などが今、俺と同じ空間にいる。
俺に対するその扱いも最早違和感しかない。これがVIP待遇というやつなのだろうか。来賓用であろう高級そうなソファに座らされて、待っている間にお茶菓子まで食べていいとか。
特に、今まで俺の存在すら認識すらしていなかった大人たちがこうもニコニコと.....。
やはり何もかも違和感だ。
「風間くん、緊張するね」
「そ、そうですね」
そして、違和感と言えばだ.......。
隣に座る彼女からそれを特に......感じてしまう。本当に。
そう。広瀬さん。
さっきもしつこいぐらいに感謝と謝罪をされたが、もう何度も言っているはずだ。彼女は何も悪くないし、そう何度も感謝をされる義理はないと。
ただ、それにしてもだ。
さっきからやはりただならぬ違和感が......。
広瀬恵梨香。本来の彼女であればこういう場合はもっと......。
なのに何でこんなに
大人しい......?
目もさっきから全く合わない.....。
何故か、目線を逸らされている.....? 今も隣から視線をひしひしと感じるのは俺の気のせいなのだろうか?でも、そんな視線に顔を横に向けるもやっぱり.....彼女の視線は俺とは別のところにある?
ん? よくわからない。俺がおかしいのか?
それに、あの時に広瀬さんに怪我等はなかったと聞いているけど、体調でも悪いのだろうか。心なしか彼女の顔も若干赤いような.....?
いや、気のせいか。というよりも、そうか。言葉どおり彼女も緊張しているのか。でも、そもそも緊張するようなタイプか? まぁ、本人が緊張すると言っているのだからそうなのだろう。
とりあえず、まだテレビ局の人たちも来なさそうだし机の上でのお菓子でももらうか.....って
ゾロゾロと足音が聞こえてきたと思えば部屋の前で止まった。
そうか。とうとうか。
はぁ、憂鬱でしかない。




