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とうとう本番開始です。


 凄い。その一言だ。

 これがジェニーズ。実際に目の前にするとオーラがやっぱり一般人とは明らかに違う。これが本物のイケメン。おかげでさっきまでの眠気が一瞬で冷めてしまった。


 冗談抜きで、今日の快晴の元となっているそこの太陽と同じぐらいの眩しさは少なからずある。


 そして、気が付けば屋上には今日の文化祭のメインである企画の出演者、いわゆる芸能人たちが集まっている光景。もうそろそろ撮影も始まるということで大勢のカメラマンやADさん達も本格的に準備に勤めている。


 ただ、意外にも場は殺伐とはしていない様子だ。もっとこうテレビって裏では騒がしくて怒声が飛びかっていたりするのかと思っていたが、少なくともこの番組はそうではない様。まぁ、ジェニーズの人たちが気さくな感じなことが大きいのだろう。普通に良い雰囲気で、すっかり俺の中の緊張感も吹っ飛んだ。


 いや、でもあそこのお偉いさんみたいな人だけずっとブツブツと一人で殺気だっている気はするな....。何かさっきも前を通った時に「俺には後がない」「とにかく視聴率」「もう一度栄光を」みたいな感じでブツブツと.....。


 まぁ、そんなことは置いておいて時間的にもそろそろと言ったところ。

 朝の準備作業も終わったし、もう撮影が始れば特に俺がすることはもうないに等しい。

 確か、一組目の藤堂が終われば俺は次の奴と当番の交代か。


 本当にずっとここの当番で良かったのだがな。俺にとっては別に文化祭も日常も大して変わらないのだから。先生は気を使ってくれたんだろうが正直言って余計なお世話だ。


 「ねぇ、君」

 「え?」


 そして、そんなことを色々と考えていると俺はいきなり後ろから肩を叩かれる。


 「って、え?」


 そして振り返るとまさかの人物。本当にまさかの。

 まさかすぎて声が思わず裏返る。

 

 「な、な、何ですか?」


 ほ、本当に何で背後に今日来ているジェニーズのグループリーダである坂友くんが!?し、しかも俺に話しかけて!?


 「もしかして君が風間くん?」


 え? 何で俺の名前まで知って? 俺、別に名札とかもつけてないけど......。

 

 「そ、そうですけど」

 「はっはっは、そうか。そうか。君には超絶に期待しているよ。ふ~ん、それにしても君がね~。面白い。そして羨ましいよ」

 「ん?」


 期待? 面白い? そして羨ましい?

 一体この人はいきなり何を言っているんだ? 何から何まで意味がわからなさすぎて頭が思考を停止する。唯一わかるのは目の前のこの爽やかに笑う大人がものすごくイケメンだと言うことだけ。


 へ、本当にどういう意味?

 って、もう風の様にカメラの方に行ってしまったし......。


 え? 本当にどういう......

 何か、下の露店で買ったであろうベビーカステラをいっぱいくれたし.....。


 「それでは本番始めます!!!」


 って、とうとう撮影が。


 確かに。気が付けばもう、一組目の男である()()()()がいつの間にかセットにスタンバって......。


 って、これまた何だ。何であいつはあんなにニヤニヤと。

 何だろう。ものすごく嫌な予感がするのは俺だけだろうか。


 ただ、それにしてもさっきの坂友くんの言葉は一体.....。

 本当に何で俺の名前を知っていた上に、あんな......




 「俺には!!!!! この学校に!!!!!! 好きな人がいる!!!!!!!!!」


  

 って、マジで始まった。


 

 まぁ、とりあえず頂くか。ちょうど昼ご飯もまだだったし。

 このベビーカステラ。


 

すみません。お久しぶりです。

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