寝る前に動画を見ます
はぁ、今日も疲れた。
学校、そして放課後の文化祭の準備からのバイト。
ヘビーだな。とりあえず、後はもうベットの中でスマホを弄りながら眠りにつくだけだな。今日は音楽でも聴きながらそのまま寝落ちコースで行くか。実際にもう睡魔で瞼が
って、また華怜からline。そう言えば、これでふと思い出したけど今日彼女が俺に言っていた言葉は本当に何だったのだろうか.....。確か勝負?だったか。
『見て、すごくない? 私が出てる動画、今回は特に再生回数が伸びているんだよ』
そしてまぁ、一旦またその疑問は置いておいて、そこにはとある動画のURLが載せられたメッセージ。
動画? あぁ、確かこのチャンネル。華怜がよく載っている雑誌の公式チャンネルだよな。
サムネイルの画像には華怜を含め、その雑誌のモデルの子たちであろう女性が数人ほど横に並んでいる様子。今日の夕方に投稿されて再生数が今の時点で......7万。
確かに伸びているな。すごい。
そんなことを考えながら、俺は一応確認しておこうとその動画の再生ボタンをクリックする。
すると当たり前だが送られてきた動画が流れ出す。そして見ている限りでは華怜が真ん中にいて、司会の大人からインタビューを受けたり、周りの子から質問を受ける感じか。
要は華怜がメイン。何故、俺にわざわざ見せてくるのかはアレだが。改めて普通にすごいな。確かにこれは自慢していいとは思う。
本当に、どんどん人気が増していく。いずれタレントとしてテレビの仕事とかも増えたりするのだろうか。まぁ、頑張ってたもんな。
別に今の俺には全く関係ないけれど、過去に色々とあったこともあって、嬉しいと感じてしまう自分がいなくもないのも事実。とりあえず、すごいとぐらいは純粋に返信しておこうと思う。それは本音だしな。
って、何だ? カリスマモデル華怜ちゃんに恋愛相談のコーナー?
気がつけば動画の中の人たちが本格的に話をし始める......。
『やっぱり華怜ちゃんぐらいになるとカッコいい彼氏さんとかはもちろんいるんですよね?』
『んー、それが残念ながらいないんですよねー』
『え! 意外すぎるんですけど!』
『まぁ、好きな人はいるんですけどね。中々、振り向いてくれないというか何というか』
やはりその動画には華怜がメインとなって質問を受けている光景......。
『え? その男の子、何なんですか? 華怜ちゃんに振り向かないって一体どういうことなんですか!? ガンガンにアプローチとかもしてそれなんですか?』
『まぁ、そうなんですかね。結構頑張ってるんですけどね』
『例えば?』
『例えば......授業中に前の席にいる彼の背中にそういう好意を表す言葉を静かに書いてみたり、あと一緒に勉強しようよって家に誘ったり、毎晩こっちからlineしたり、色々としてはいるんですけどね......』
『か、華怜ちゃんからそんなことされて落ちない男がこの世にいるんですか!?』
『まぁ、ライバルも多いですしね。私なんてまだまだなのかもしれません......』
そして、動画の中には視聴者からのさまざまなコメントも流れてくる......。
【はぁ? 何だその男。華怜ちゃんに常日頃からそんなことされてるって羨ましすぎるだろ。どこの誰だよ、そいつ。いや、マジで】
【何で華怜ちゃんにそんなことされて落ちないんだよ。そいつの頭狂ってるだろ。本当に男か?】
【しかもライバルが多い? そいつ、もしかして華怜ちゃん以外にも色んな美女からそんなことされてんのか? 何だ。そのリアルラブコメの主人公みたいな奴、代われ、今すぐ俺とポジション代われ、何でその状況で何も起こらないんだよ。おかしいだろ】
「.......」
『その人とは遊園地に行ったり、水族館に行ったり、他にも綺麗なお花畑に連れて行ってくれたり、他にも色んなところに一緒に行って、向こうはどう思っているかは正直わからないですけど、私は本当に楽しくて。本当に、本当に心から楽しくて。でも、最近はちょっと色々とあって.....』
【やばい。華怜、可愛すぎる。何だその表情。完全に恋する女の顔じゃん。本当にその男羨ましすぎる】
【美しい、その華怜ちゃんの儚げな表情、美しすぎる。ほんと最高。そしてその男は俺がぶっ潰す。ほんとマジで何でこんな最高な女性を放置してんだよ】
『ち、ちなみにその華怜ちゃんでも落とせない。その贅沢な男の人ってどんな人なんですか? その話を聞いている限り、やっぱりものすごくイケメンとか?』
『んー、イケメンの基準はひとぞれぞれかもしれませんけど。人としてものすごくカッコいいんですかね。同じクラスの子なんですけど、何をするにも私の為に一生懸命になってくれて、優しくて、偶に可愛いところもあって、怒ったりすることもあったけど、それも全部私の為で。正直、もう彼がいない人生なんて考えられないと言うか。このお仕事だって一時はもう辞めようと思ってたんですけど。それも彼のおかげで今も続けられているんですよ。本当に彼には色々と救われたんです。本当に色々と......って、ふふ、ちょっと話長すぎましたかね。ごめんなさい』
【やばい。マジでこの娘、可愛すぎる。前までこの娘のことただの気の強そうなギャルだと思ってあんま好きじゃなかったけども、蓋を開ければ、ただの純粋な恋する乙女じゃねぇか。やばい今回の動画で俺の推し確定だわ】
【おいおい、真っ赤な顔で何言ってんだこの娘。とりあえず、一言だけ言わせてもらう。可愛すぎてやばい。この娘のことをビッチなギャルだと思っていたさっきまでの俺を殴りたい。今日から間違いなくファンだわ】
【華怜たんのおかげでギャルへの味方が変わりました。ギャル最高!相手が年上ではなく同級生というのもgood】
華怜......。
『ちなみに何ですけど。華怜ちゃんはもうその男の子には思いは直接......』
『まぁ、ちゃんとはちょっとまだですね』
『もし、もし華怜ちゃんが良かったらですけど。もしかしたらこの動画をその彼が見てくれるかもしれませんよ。ここでその思いを伝えるのはどうですか?』
華怜の思い......。
『いや、お気持ちは嬉しいんですけど。それはごめんなさい......。今度、色々あってそういう機会に恵まれそうで。ふふ、もしかしたらこの動画を見てくれている皆さんもここでそれをしないその意味がいずれ、わかるかもしれませんね』
『そ、そうですか。今はよくわかりませんが、とりあえず頑張ってください。私、本気で華怜ちゃんの恋を応援していますから。また成功した時ではこの動画で色々と話聞かせてくださいね』
『はい! もちろんです』
【え? どういうこと? いずれ俺たち動画の視聴者にもわかる? へ?】
【何だ? 何かあるのか? 何だこの謎の終わり方】
【その意味が知りたい。華怜ちゃん、どういうこと? 何がいずれわかるの?】
「.......」




