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戦いはもう始まっています?


 改めて思うが、何で俺が文化際の実行委員なんかになってしまったんだ......。準備、めんどくさい。

 って言っても、なってしまったものは仕方がないからやるしかないんだけどな。


 にしても、皆。見るからに浮き足だっている。まぁ、それはそうか。テレビ、それも全国放送のバラエティー番組がうちの文化祭に来るんだもんな。あのジェニーズだって来る。それは浮き足立つか。


 でも、これは希望者の全員が全員エントリーはさすがに無理なのではないか?   

 俺は別の役割があるから関係はないが、受付の方には放課後にも関わらず初日から既に列ができている......。

見るからに目立ちたがりな奴らや明るい奴らがこぞって列に。要は予想の斜め上の数だ。


 まぁ、世間一般的には文化祭は学生生活の大イベント。一生の思い出になるであろうこんなイベント、見逃すわけないか。

 俺には似合わない言葉であろうが、あいつ等にとっては大きな青春の一ページに刻まれることは間違いないのだろうからな。


 今も案の定、特にあいつが騒がしく色めきだっている光景が痛いほど俺の目には入ってくる。


 相変わらずだと思う。


 ()()()()

 

 何度も思ってしまうが、本当に俺はあいつになりきれていたのだろうか......。まぁ、やはりなりきれてはいないのだろうな。


 あの感じを見ていて改めて思うが、何事もなく元に戻れたことが奇跡のレベルで何から何まで違うから。


 ただ、もう一つ俺は思ってしまったりもする......。


 何故こんなことを思ってしまうのかはよくわからないが、もし俺が今もあいつのままであれば、どんな文化祭を過ごしていたのだろうかと。


 誰とどんなことをして何を......って、本当に何を考えているんだろうな。俺。


 全く今の俺にとっては関係のないこと。


 実際、静かに今年も何事もなく、悪態つきながらあのバカ二人とただただ時間が過ぎるのを待つだけの文化祭を過ごせれば俺はそれでいい。


 それでいいし、それが俺の性に一番あっている。


 俺は風間颯太で、あいつは藤堂蓮也。過去に何があったとしてもそれ以上でもそれ以下でもない。それが事実だ。


 って、こんなよくわからないことを考えている場合ではないな。早く係の持ち場に戻らないと紗弥加に怒られるだろうからな。()()()()()様はサボりには厳しいから。


 とりあえず退散だ。


 「あら、貴方。そんなところで何をしているのかしら」


 って、言っている傍から......。


 「何だ。西園寺こそ、何でここにいるんだよ」

 「フフ、さぁ。何でだと思う?」

 「いや、それはこっちが聞きたいんだが......」


 紗弥加は紗弥加で持ち場は別だろうが。それに俺よりも仕事が多いことも明白。

 何だ? 見回り的な感じか? まぁ、どれくらいの人数がこのイベントにエントリーするのかは誰だって気になるところか。


 「とりあえず、早く持ち場に戻ってあげることね」

 「あ、あぁ言われなくても」


 本当に言われなくても。俺はその言葉と同時に足早にその場を離れるように立ち去る。


 それにしても、何で今年はこんなに文化祭がいきなり豪華になりそうなのだろうか? そもそも誰が番組に応募した? 学校? それとも生徒? まぁ、別にどっちでもいいけれども。


 「きゃっ」

 「あ、す、すみません......って、環奈」

 「そ、颯ちゃん」


 廊下を曲がったと思った俺の前には唐突に幼馴染。


 「あれ? 今日、練習は?」

 「い、いや、ちょっとね。今日は色々と用事があって」

 「用事?」


 何かよくわからないが。ものすごく動揺している様子の環奈.......。

 何なんだ。環奈は文化祭の実行委員ではないだろ......。


 「じ、じゃあ。って、きゃあ!」


 って、走りだしたと思ったら、いきなりこけた?


 「おい。大丈夫か環奈!」

 

 って、そのまま走ってどこかに........。

 ん? だ、大丈夫か? あいつ。

 一体何なんだ。

 

 ま、まぁ行くか。


 「まぁ、そうなるわよね」


 って、今度はいつの間にか後ろから知っている声?

 そして案の定、振り返ったそこにいたのは一人の女性の姿。


 そう。 大塚華怜がそこにいた。


 「ふふ、覚悟しておいてね。颯太。 私、絶対に負けないから」


 え? 覚悟? 負けない? 

 とりあえず、そう言ってこれでもかと

 眩しくて綺麗な笑顔を俺に向けてくる彼女が俺の目の前にはいる。

 本当に綺麗な......。


 でも、ど、どういう意味だ? 何か色々といきなりすぎてよくわからない。


 そして、華怜もそのまま俺の隣を通り過ぎてどこか......に?


 へ?


 って、違う。まずは早く本当に持ち場に戻らないとやばい。他の奴らからも怒られてしまう。


 でも、本当に何なんだ。覚悟?負けない? 何かの勝負でもするのか?


 ん? ま、まぁ何でもいいか。とりあえず俺にはやることがある。


 にしても、本当に今年の文化祭は良い意味でも悪い意味でも色々と騒がしくなりそうだな......。


 まぁ、今年も俺は翔輝愛とレムの愚痴を聞いて終わりになるんだろうけど、それはそれで思い出だ。


 平凡でいいんだよ。平凡で。


 人間、何だかんだで平凡が一番平和で幸せなんだから。


 平凡が......。

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― 新着の感想 ―
[一言] 設定とても好きだったから再開ありがたい
[一言] 主人公の苦労が予想できます。 でも本人は内心嬉しいのでは?
[一言] ああ成程イベント変えたのは沙也加で 嘘つきの答え合わせは既に終わってたってことねw
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