〇〇で勉強会です?
やっぱり、あの時の広瀬さんの言葉が気になって仕方がない.......。
助けてあげるってどういう......
「ねぇ、颯ちゃん。ここってどうやって解くんだろ?」
いや、まぁ夕方のことはまた今度バイトが同じになった時にでもさりげなく聞けばいいか。俺が深く考えすぎているだけかもしれないしな。うん。
lineでまで聞くのは何か、止めておこう。
そうだ。今は定期考査のことの方に集中しないとな。切替えだ。切替。
集中する為にlineの通知も切ってと。
でないと今日はちょっと鳴りやまないからな.....。通知が。
「あぁ、そこはさっき解いた問題と考え方をちょっとだけ変えなければいけないぞ。具体的にはここをこうしてだな」
それに、今回は俺も特に本気でいかなければならないし。
前回はあいつが不登校になりやがったせいで無試験状態だったからな。
何とか今までの貯金があったから良かったものの.......。本当にあいつのせいで。
「あっ、何か分かった気がする! ふふっ、颯ちゃんってほんと教えるの上手いよね。ほんと頼りになる幼馴染だよ!」
そしてまぁ結局、環奈は俺の家にいる。
今、俺の隣にはピンクと白の柄にもこもこパジャマ姿の彼女がちょこんと座っている。
本当に空手が終わってすぐに来たのだろうか。
髪がまだ乾ききっていない気がする。そう。完全に風呂あがりだ。
まだ頬が赤っぽく火照っている感じもするし。
でも、今思えば割とすごい光景だよな。これ。
まぁ俺が幼馴染だから良いものの、ちょっと無防備すぎないか?
やっぱり近いし。
「ん? どうしたの颯ちゃん?」
「いや別に何も」
てか、何かものすごくいい匂いがする。
これはシャンプーの方?
「ふふっ、でもやっぱり颯ちゃんの匂い。何か落ち着くなー」
「ふっ、何だよ。それ」
それにしても本当、環奈は昔に比べてかなり女の子らしくなった気がする。
いや、昔も元が良いから女の子らしくはあったんだけど。
最近は特に、見ている限り化粧とかもしだしたみたいだし、香水とかも付けだした様。髪型にも気をつかっているみたいだし、何か本当に何でこれで彼氏ができないんだろ.......?
ん?
や、やっぱり、俺のせい.......?
そう言えば、さっきもおばさんに『ふふ、そろそろ環奈を宜しくね』とか言われたっけ......。
こ、こういうのがいけないのか?
でも、これは環奈の方から俺のところに来ているわけだし。
い、いやだからこそさっきの宜しくって意味はおそらく.......。
そろそろ俺の方からこういうことを止めさせろってことか........。
確かに、俺が環奈のことをもう家族同然と考えているように環奈も俺のことを同じ様に考えている節があるのかも。というか、多分そう。
そ、そうだよな。普通に考えて年頃の女の子が彼氏でもない男の家にこんな風にいるのはやっぱりおかしいんだよな.......。
この意識を変えないと環奈に彼氏が......
ほんと普通に可愛いのは可愛いからな......
「って、うお、ど、どうした環奈?」
「んー、何かちょっと急に眠くなっちゃって。むにゃむにゃ」
ん? むにゃむにゃ?
気が付けば、身体を預けるように
目をつむりながらゆっくりと俺の肩にもたれかかってくる環奈?
「ん、何してんだ.......?」
寝てしまったのかと思ったけど、薄目で俺のことをチラチラと........
な、何がしたい?
ん?
もしかして、ちょっと勉強を詰め込みすぎちゃって頭が壊れた?
って、起きた........
「むぅ、何で駄目なの? こうじゃないの? ママのやり方間違ってる?」
で、よく聞こえないけど一人でブツブツと何かを言い出したし.......。
ほ、本当に大丈夫か。おい。
とりあえず完全に目を覚ました様。
何だったんだ。
って、あれ? 今度はどうした環奈。急に立って。
「あれ? これなーに? ん? 漫画?」
ん?
「え? も、もしかしてこれ颯ちゃんが書いたの!?」
って、あ......わ、忘れてた。
そ、そうだ。それ、そろそろ返さないと.........。
でも今返すってなると.......。
くっ、また問題が.......。




