おもいっきり挟まれています
くっ、何だよ。今日は1日休みじゃなかったのか?
いきなり来やがったぞ......。おい。
そう。今は昼休み終わりの午後一発目の英語の授業中なんだけど。
ほんの数分前にいきなり彼女は登校してきた。
普段はこういう場合は午後からなんか絶対に来ない癖に.......。
何で今日に限って。
おかげで背後からの存在感がさっきからすごい.....。
そして一体今度は何をしているんだ。
華怜。
「もうすぐ定期試験だからなー。今から言うところしっかりと聞いておけよー。試験でるからなー」
さっきから指で俺の背中に何を書いて.......。
そのせいで全然先生の言っていることが頭に入ってこない。
まぁ今黒板に書かれていることは既に予習済みだし問題はないんだけれども........。
「颯ちゃん、颯ちゃん。今度こそ宜しくね。前回は颯ちゃんに頼れなかったから本当に駄目駄目で。色々とまた教えてね」
そして前からは前からで後ろを振り返った環奈がこそこそと俺に耳打ちをしてくるし。
「ねぇねぇ、今日バイトない日だよね。夜から早速ちょっと颯ちゃんの家に行ってもいいかな?」
確かにバイトは今日はないけど、あぁそういうことか空手が終わってからか。
だから夜だな。
「ちょっと考えとく」
別に教えるのは問題ないんだけど。
今日はちょっと個人的にやろうと思っていたことがあったりもして。
あと本当に毎回思うけど、距離感が近すぎないか......。
まぁ環奈だから別に問題はないんだろうけど。
それに、ちょっといくら何でも朝から授業中に俺の方に振り返りすぎな気が.......
そろそろ誰かから怒られそう。
で、まぁそれはそれとして.......
本当にその指で一体さっきから何をしている。華怜.......
お前のせいでどうしてもさっきから背中の感覚に意識が......
う・れ・し・す・ぎ
あ・ん・た・の・ち・か・く・に・な・れ・て?
くっ、とりあえず無視だ。
構ってしまえば一気に華怜のペースに引きずり込まれる。
でも、今思ったら何らかの反応をとらなければずっとこのまま.......?
「ん? 颯ちゃんどうかした?」
「い、いや何もない。環奈、お前は授業に集中しろ。怒られるぞ」
って、また......
し、真剣に席を替えてもらうべきだった。何としてでも。
だってこの様子だとおそらく次の席替えまできっと.......。
これならばまだ後ろよりも隣に座ってくれていた方がマシなレベル。
もうバレてしまったのは確実だから想像はしていたけれど、ここまでの感じは想像できていなかった。
正直、認めてしまえばこの感じからもすぐに解放はされるのだろう。
でも、やっぱりそこを簡単に認めてしまうと後々めんどくさいことに絶対になる。
藤堂にも何をされるかわからないしな。
だからそこは譲れない。
ただ、本当に何か考えないとこのままではずっと.......
で、な、何だ。その2文字は......
何度も何度もさっきから連続で......
ゆっくりとなぞる様に背中に何度も......
その2文字は......。




