月曜日の朝です
うお、マジか。
「ねぇ、今日もまた雑誌の撮影みたいよ。華怜」
「へぇー、でも最近の華怜マジやばいよね。読モだけどもう専属モデル越えちゃいそうな人気じゃん」
「そうだよねー。あの時がほんと嘘みたい。華怜は可愛いけどさー。ちょっと前ぐらいまでは正直読モとしての人気はイマイチだったもんね。それが今や本当にすごい勢い」
「そうそう。イメチェンしてからは超良い感じだよねー。もう普通にうちら女子高生全体のインフルエンサーって言っても過言ではないっしょ。校外学習の時も結構声かけられてたし」
「ふふ、別れちゃったみたいだけど。絶対あれは藤堂君の影響ね。違いない」
これはラッキー。
そうか。華怜は今日は休みか。
問題が先延ばしになっただけなのかもしれないけれど、とりあえず今日を平穏に送れる可能性が上がっただけでも良しとしよう。良し!
朝一で超朗報だ。
でも、確かに最近の華怜はすごいみたいだな。
この身体に戻ってからのことはあまり詳しく知らないけど、確か香奈が定期的に買っている雑誌にも結構大きく特集されていた気がする。
本当に、彼女のあの自暴自棄になっていた時期のことを考えるとかなりすごいとは思う。確かあの頃だよな。俺が彼女に別れを告げられかけたのも........。
あの時は本当に大変だった記憶がある。
特に一度、華怜に対してらしくもなく感情的になってしまった時には本当にもう終わったと思ったっけ。無意識に怒鳴っちゃってたもんな。俺。
まぁ何故かそこら辺からトントン拍子に彼女の関係が逆に上手くいきだしたんだけど........。何故か。
「でも、華怜が付けてるアクセ。あれだけは頑なに雑誌では付けてないよね。何でだろ? うちも欲しいのにブランドも絶対に教えてくれないし」
「ふふ、もー、それはもうアレしかないでしょ。彼からもらった大切なものだからよ。それしかない」
「ん? でも華怜って藤堂君とは別れたじゃん。それも華怜からフッて。それはおかしくない?」
「確かに......」
でも、本当にずっとつけているよな。アレ。
誕生日にあげて以降ずっと。
大切なもの.......。
それにあの日も大変だったよな。
何とか耐えきったけど、主に俺の理性が........。
あの日の夜のことについては、やはり思いだしては駄目だとはわかっているが、未だにどうしても思いだしてしまう......。
「おーし、今日は言っていた通りに1時間目のこのホームルームの時間に席替えをするぞー。クジ作ってきたから各自引いていけー」
って、ん? 席替え?
そうか。そういえば言ってたな。
気がつけば壇上から一番左前の席に座る女子に、クジが入っているであろう箱を手渡す先生。
今度はやっぱり後ろの方の席が良い。
希望は教室の一番後ろの左端。まぁどこでも良いのは良いんだけどな。
「おい、颯太。2枚引け、2枚」
そして右斜め前の席からバカの小声が聞こえてくるがここは無視。
と言うか、土下座で謝ってくるまではずっと無視。
翔輝愛、俺はお前を許さんぞ。
お前等さえ、お前等さえ休まなければまだ俺は........
くっ..........何だ。その憎たらしい笑顔は。
って、早いな。もう俺のところにクジが。
頼む。最近の俺はとことんついていない。
せめて席だけは、席だけはお願いします。
来い!特等席!




