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嘘に悩まされることはもうなさそうです?


 「ん? まぁ、ちょっと迷子って言うか皆とはぐれちゃってね」

 「え? はぐれたんですか?」


 今、俺は色々とあって隣に座っている女性

 広瀬さんと共に京都を走る市バスの中。

 

 「うん。そうなの。で、知っている人が見えたからついつい追いかけちゃってね。ごめんねー。びっくりしちゃったよね」


 さっきの俺はもう色々なことで頭が混乱してしまい、つい彼女にも挙動不審になってしまったけど。よく考えたら彼女は関係ないよな。そうだよな。

 だって、意外にも()()()として広瀬さんと関わった記憶なんてほぼほぼないし。


 うん。完全に杞憂だった。

 ちょっと頭を整理しないとな。いや、今は逆だ。もう何も考えない。

 考えたら負けだ。


 「それに、ようやく連絡も取れてさ。ちょうどこのバスでまた皆のところに戻ろうかなーって。えーっともうちょっとしたら降りるかも」

 「へぇー、そうなんですね。それは良かった」

 「ふふ、うん。あと本当に何で敬語ー。いい加減タメ口でいいってー」

 「あ、はい。それはまぁ慣れたらで。はは」


 それにこの様子なら環奈のところに無事に約束通りに一人でたどり着けそう。

 良かった。本当に良かった。

 これ以上環奈を怒らせたらもう......。

 想像しただけでもやばいからな。


 ん? でも普通ってはぐれるか?


 「で、風間くんは何で一人なの?」

 「え? あ、あぁ僕もちょっと迷っちゃって」

 「へぇー。ふふ、なら一緒だねー」

 「はは、そうみたいですね」


 まぁ、はぐれるか。はぐれるかもな。

 うん。深く考える必要はない。はぐれる時ははぐれる。

 そういうことにしておかないと俺がやばいな。うん。


 ふっ、でももう朝の占いも怖くなさそうだ。効果切れか?

 嘘がこうも上手く良い方に作用するとは。

 さっきから運が完全に俺の味方に。

 というか()も俺の味方になってくれたかな。ははっ


 「うわー。見て見て、窓の外。舞妓さんだ。すっごく綺麗だねー」

 「そうですねー」


 うん。もちろん舞妓さんは舞妓さんでも紗弥加ではない。

 本物の舞妓さん。


 「あ、そう言えば()()()()()()()()、さっきなんか女性同士が喧嘩をしている声がバスに乗る前に聞こえてきた気がするんだけど。何か知っている? 私もう超がんばって、風間くんのこと追いかけてたから何もわからなくてさー」

 「え? えーっと、ちょっと俺もわからないです。す、すみません」

 「だよねー。でも、何で喧嘩してたんだろー。何か男の名前が聞こえてきた様な?」


 くっ........ま、まぁ彼女の場合は大丈夫か。

 そう。大丈夫だ。


 「へ、へぇー。そうなんですねー。ちょっと僕も必死だったからよくわからないですかねー」

 「ふふっ、だよねー」


 良し。やっぱり大丈夫。


 「あ、それで風間くんは皆とどこで待ち合わせなの? 見る限り風間くんも急いでいたみたいだし、もう班の皆とは連絡とれてるんだよね?」

 「え? あ、えーっと、はい。僕は......下鴨神社ですかね。はい」

 「へぇー、そうなんだ」


 ん? ここも嘘をつくべきだったか?

 いや、でも彼女だから大丈夫。言ったところで関係ない。

 環奈のことも一言も言ってないしな。


 「わっ、やっぱりカップル多いんだねー。ここ」


 ん? って、あぁここね。

 確かに多いな。平日だから大学生とか?

 それとも学校さぼった高校生?


 とりあえず、今、バスの窓から見えている景色は鴨川。

 河川敷にカップルが等間隔に座っている様


 「ふふっ、もしかして風間君も来たことあったりして......」

 「い、いやないですよ。俺ですよ」

 「俺だからだよ。ふふ、本当にないの?」

 「は、はい」


 な、何だ。どういう意味だ.....

 いや、まぁ彼女のことだきっとからかわれているだけか?

 うん。そうだ。それしかない。


 どうも今の俺は疑心暗鬼になってしまっている様だ。

 切替えないと。彼女は何も知らないし知る訳がないんだからな。


 「へぇー。って、あ、もう私降りなきゃ。ふふ、じゃあね! 風間くん」

 「え、ここなんですか? はい。では、また」


 もしかして本当は班のメンバーとではなく彼氏とここで待ち合わせとか?

 ふっ、まぁどっちでもいい。


 これで無事に後は環奈のところにこのまま向かうだけだ。


 ん? 何か降りる前に運転手さんに聞いている?

 急行? そんな単語が聞こえてきた気が?


 あぁ、ここで待ち合わせではなくバスを乗り換えるのか。

 まぁちょっとでも早く合流したいと言うわけか。


 とりあえず、そっちはそっちで無事合流して残りの時間を楽しんでもらえれば良し。


 「じゃあね!風間君。良い旅をー!」

 「はい!こちらこそ!」


 ふっ、ものすごい笑顔で俺に手を振って降りていくじゃないか。広瀬さん。


 まぁ、とりあえずこれで今日のミッションは本当に環奈のところに後は向かうだけだな。うん。

 

 って、ん? あれ?

 あの広瀬さんのバッグからちょっとだけ見えてる帽子......。


 どこかで見た様な.........?


 ま、まぁどこにでもありそうな帽子だからな。

 何でもいいか。


 あれ? そう言えば、あと何で急に俺の苗字が風()ではなく風()って......。

 ま、それもどこかでふと気づいただけか。

 うん。深く考えることでも普通にない。

 

 とりあえず、今考えるべきは

 環奈のことだ。


 良し。いざ、下鴨神社へ


 


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― 新着の感想 ―
[一言] 実際に下鴨行きのバスはあるけど回り込めるようなのは無いですねw 急行バスのある世界線いいなぁ~~
[一言] 回り込む気だな
[一言] 魅力的なヒロインばかりだけど幼馴染とくっついてほしいなぁ… 更新楽しみにしています。
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