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やっぱりそうですよね


 「ねぇ、結局ご飯はどこで食べるの?」

 「まぁ、ちょっと。どこにしよう.....か」

 「何それ? 決まっていたからここで降りたんじゃないの!?」

 「わ、悪い」


 まぁ、とりあえず最悪の事態は免れた。

 ここからなら、まだ環奈との約束は何とかして守れそう。


 華怜がどこに俺を連れて行こうとしているのかは未だによくわからないけれど

 何とか先に昼ご飯を食べようと言う事でバスからは降りることができた。

 ちょっとだけご飯にはまだ早い時間なのかもしれないけれどな。

 ちょとだけな.......。

 

 「それによく考えればちょっとお昼にするには早くない?」

 「そ、そうかな」


 まぁ、やっぱりそうだよな。ごもっとも。

 

 ただ、正直今はそのことについてはそこまで重要ではない。

 重要なのはこれから。実際にこの二人っきりの状況でどう俺はここを抜け出すか.......。


 しかも、よく見ればここは.......


 ぎ、()()。 


 とにかく、先に進むバスから降りることばかりに頭を働かせすぎて、何も考えていなかった。

 こんな人の多いところで華怜と二人でいれば必然的に.......。

 既に視界には、名前は知らないがうちの制服を着た奴等がちらほらと........。


 俺のことに関しては誰も見向きもしないのだろうが、華怜は違う。

 同じ学校の生徒で彼女の事を知らない生徒はいないと言っても過言ではない。

 

 ど、どうする。

 でも、もう一度バスに乗れば次どこで降りられるかわからないし.......。


 「ねぇ、平日なのにカップルがいっぱいだね」


 そして、何で華怜はこうも落ち着いて.......


 「って、おい。何を......している」

 「ふふっ、段取りが悪い罰。らしくないじゃん」


 い、いやちょっと。って、が、がっちりと.......。

 離せない......。

 

 そう。今、俺の右手にはしっかりと彼女の左手が重なって.......。

 加えて指も.......。


 しかもそんなにニヤニヤと.......。


 「ほ、他の奴に見られるぞ。変なことはやめろ。今すぐ」

 「は? 別に問題ないけど。逆にあんたは嫌なの?」


 そして今度は今の俺の言葉にだろうか。ちょっと不機嫌な顔に......。


 「ねぇ、嫌なの? 風間」

 「い、いや、そういうわけでは.......ないけど。何で俺に.......」


 ないけど、さすがにこれは......。


 「もう、本当にめんどくさい」


 これは......。


 「だから、それはあんたが一番わかってんでしょ? それに別に問題ないじゃん。()()()()も今は相手がいないんだし。何か悪いことでもしてる?」


 そしてまたいつも通りの陽気な笑顔を隣から俺に見せてくる華怜。


 これはもう、俺も........。

 認めざるを得ない。口では認めるつもりはないけど。さすがにもう.......


 「いや、間違えた。発言撤回」

 「て、撤回......?」


 彼女の目も、もう......。


 「ふふっ、()はまだ()()()とは別れてないし、別れたつもりもない。だから問題ないのよ。ね? そうでしょ?」


 うん.......。

 華怜は完全に俺達の入れ替わりに気がついている.....。


 「ねぇ、何とか言いなさいよ。あんたが認めるまで私、あんたから離れないから。もし嫌ならちゃんと私のことをフッてからにしてね。まぁその場合は事実上は認めたことになるけどね」


 そう。完全に.......バレている。

 そしてこの感じ、まさかの俺の方のことを......。


 「で、どうなの?」

 「そ、それは.....ちょっと言っていることがわからない」


 俺はまだ頭の整理がつかない。

 どうしたら良いんだ。俺は......。

 いざ、ここまでのことを言われてしまうと.....。頭が回らない。

 頭が......


 「そ、なら私たちの関係は今までどおりってことで。嫌になったらちゃんと言ってね。もう色々とめんどくさくなったからそういうことで」


 そして一層、俺の手を握る指に力を入れる彼女.......。


 そ、そういうことでって.......。

 俺は本当にどうしたら.....。


 「とりあえず、お昼は私もどこが良いかはちょっとわからないから、ここらへんの人に聞いてみよ? あっ、あそこの舞妓さんとかいいんじゃない? 絶対詳しいって」


 ん? 舞妓さん?

 あぁ、ほんとだ。

 俺の目には着物に白塗りの舞子さんが3人ほど。


 気がつけば、俺は華怜に手をひかれてその舞妓さん達の元へと一直線に......。

 

 ま、まぁ、一旦どこかの店に入って落ち着かせるか。自分を。

 そうだ。俺はあんな入れ替わりを経験したんだ。

 別にもう今回のこともそこまでうろたえることでもないはずだ。

 じっくりと考えれば何か光が見える.....はず。うん。

 ここで焦っても悪い方向に行くだけだ。

 

 それにしても真ん中の人.......。

 白塗りをしていてもわかる。ものすごく美人。


 何というか絵になる。京都にすごく合う。


 ん? ただ、舞妓さんって普通あんなキャッキャッとしているのもの.......?


 「うわー、やっぱり()()()ちゃん。綺麗だね。私の思っていた通りだよ!」

 「うんうん! 本当に綺麗。もはや舞妓さんの中の舞妓さんだよ。ねぇもう一回記念に写真撮ってもらおうよ!」

 「そ、そんな。あなた達の方こそ綺麗よ。そうね。せっかくの記念だもの」


 ん? 


 「すみませーん。そこの舞妓さーん」


 い、いや、ち、違う。

 あれは


 「ちょっと待て!!! ()()!」


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― 新着の感想 ―
[一言] 昼に外を出歩く舞妓はん(さん)は全員、観光客 夜はそもそも、そんなに(余程の事がないと)舞妓はん外、出歩かない ってテレビで現役の人とか関係者が言ってた これ常識
[一言] 諦めてもうハーレム作るしかない(*^▽^*)
[良い点] 話の展開が面白いです。王道な気もするけど、不自然さを感じさせない、読んでいてスッキリする小説です。 [気になる点] ドモリ口調が多すぎるので、そこが気になります。 「い、いや」とか、「そ、…
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