いきなり超ハードモードに突入です?
おい、ふざけんな。まじでふざけんな!
あいつ等やってくれたな。
そうだよ。何で俺は今までそっちの対策は何もしなかったんだよ。
この環境、そしてあいつ等の性格からして、普通に考えられたことだろ。
翔輝愛とレム。
あいつ等、いやあの野郎共、もう集合時間だって言うのにまだ来てねぇじゃねぇか!
今思えばあいつ等は別にこんな校外学習には微塵も興味がないタイプだし、そもそもあんな班編成になった時点できっと初めから来る気がなかったんだ........
俺も偉そうに言える立ち場ではないけれど、見るからにギャル耐性がゼロ、皆無、いや大きくマイナスだったもんな。あいつ等。
くっ、昨日の俺、なんであいつ等の発言からこのフラグをくみ取れなかった.......
『まあ、明日は余裕かな。良く考えればどうせギャルなんて単純な思考な生き物だろ? ギャルゲーと一緒だ、ギャルゲーとな。もしかしたら俺ほどのギャルゲーマスターなら無意識にあいつ等のこと落としちまうかもしれねぇな。恋に』
『へっへっへっ、気の強い女程、落としがいがあるってもんだな』
実際のギャルの前では一言も口から言葉がでてこない奴が一体何を言ってんだって話。
そうだよ。昨日は俺も何言ってんだよと思いながら笑っていただけだったけど。
そもそも現実ではあいつ等の前には選択肢のコマンドがまず出てこねぇ。
思いっきり死亡フラグがビンビン立ってやがったんだよ。
ふざっけんな。
俺は急いでlineの友達リストからあいつ等二人の名前を探しだす。
駄目だ。絶対に許さねぇ。
お前等だけ逃げるなんてそんな羨ましいこと絶対に許すわけがねぇ!
こんなの、こんなのあんまりだろうが。
って、案の上電話は繋がらないし、既読もつかねぇ。
あいつ等、あいつ等、俺を裏切りやがった。
「おい、もうそろそろ出発の時間だぞー。それぞれバスに乗り込んでいけー」
先生のタイムリミット宣言ともとれる言葉も俺の耳にはしっかりと聞こえてくる。
い、いや、まだ、まだ終わってない。
そうだよ。乗らなければ、あれに乗るまではまだ俺は負けてねぇ。
環奈も、もう先に仲の良い友達と乗っていたしな。
さっきの約束が守れないのは正直、心苦しくもあるが今はそれどころではない。
考えろ。考えろ。俺。
ある。あるはずなんだ挽回の一手が。
「ちょっと何してんのよ風間。早く乗りなさいよ」
「え?」
「いや、え? じゃなくてもう出発でしょ? 早く乗れって言ってんのよ」
そしてそんな俺の背後からはものすごく聞き慣れた声.......
か、華怜........。
あぁ駄目だ。もう逃げ場が完全に。
「はい.......」
あ、あいつ等絶対に恨む。末代まで恨んでやるからな。
とりあえず、俺はそんな今世紀最大の怒りと共に目の前のバスへ渋々乗車。
マジで許さねぇ。
で..........
何で。何だ。この状況。
「ん? 何よ」
「い、いや何でここに座ってんの?」
いや、お前の席はあの陽キャ御用達の一番後ろのVIP席だろうが......
な、何を当たり前の様な涼しい顔で......
周りからの視線もすごいぞ。おい。
「は? あんたの友達が休みだからよ。隣が誰もいないのは寂しいでしょ? 感謝されることはあっても文句を言われる筋合いはないはずだけど?」
い、いやだからってお前が俺の隣はさすがにおかしいだろ。
さすがに.......。
ま、まじでこいつ今日俺のこと.......
って、ヒッ.......
そ、そして、そっちはそっちで何だよ。
何だその顔は.......
か、環奈?
え? お、怒ってる?
お、思いっきりこっち見ているし......
俺の目には遠くからこっちに向かって、何故か赤くなった顔で頬を膨らまし、ぷるぷると震えた様な感じで鋭い視線を送ってくる環奈。
し、真剣に何だよ。何、俺何かした?
いや、ちょっとマジで怖い。
な、なんで......てか
本当に何だ。
初っ端から何だよ。この状況.......
何だよ。
と、とりあえず、やばい。
やばいぞ、これ。




