憂鬱すぎる朝です
あぁ、とうとう来てしまった。
憂鬱な校外学習の日が........。
嫌な予感しかしない。とてつもなく嫌な予感しか。
『蟹座の今日のNGは「嘘」! 嘘さえつかなければ今日は幸せな一日を送れるでしょう!』
朝起きて今ちょうど見ているテレビから聞こえてくる星座占いの結果が、さらに俺の抱える不安に追い打ちをかけてくる。
俺はおもいっきり蟹座。
逆に嘘をついたらどうなるんだ。
多分今日の俺、嘘しかつかないぞ.......。
本当に嘘しか.......。
朝ごはんも全くもう喉を通らないし。
これもう、体調不良を理由に最悪休んだ方が.......
食欲がない=風邪かもしれない。うん。きっとそう。そうだよ。
「聞いたよ、お兄。華怜先輩と同じ班なんでしょ!ほんとずるい! 昨日も華怜さんからlineあってさ。ねぇ京都のお土産絶対買ってきて。あれ。八つ橋買ってきてよ!」
「お兄ー! かってきなさいよ! これは愛梨からのめいれい! したがいなさい!」
あぁ駄目だ。
今、この状況で休むなんて言ったら俺はこいつらに.......
あと、ほんと日に日に口が悪くなっていくな愛梨。
どこで覚えてくる。
俺が小2の頃ってこんな感じだったか?
あと何を地味に華怜とline交換してんだ香奈の奴。
それに、そうだよなぁ。
休んだら休んだで華怜の場合はきっとさらに.......
だって昨日だって何だよあれは.......
『絶対にあんたの化けの皮を剥がしてあげるから』
あぁ、やっぱり駄目だ。行きたくない.......。
絶対に行きたくない。
完全にもう彼女は俺のことを......
どうにかしてあいつのことを回避する方法はないのか?
何でもいいから。
って、よく考えれば家を出てどこかでさぼってお土産だけ翔輝愛とレムに頼めば......
やっぱり、持つべきものは友達だよな。
うん。シンプルだけど。もう、それし
「颯ちゃーん!迎えに来たよー!!!」
くっ......たった今、その淡い期待も一瞬で潰された。
本当に瞬きをする間もなく一瞬だった......
駄目だ。もう駄目だ。
結局俺に逃げ道はなし。
「颯ちゃんー!レッツ、京都だよー!!!!!!」
環奈。
ほんとお前はいつも元気だな。
今日の俺にはその笑顔が眩しすぎる。
てか、いつからだ。もういつからか忘れたけれど。
普通に朝、気が付けば勝手に俺の家にいるよな。お前。
何かもう当たり前すぎてか親も妹も当然の様な顔で何も言わないし。
で、しかも何だ。今度は急にそんなに近づいてきて。
「ねぇねぇ颯ちゃん」
ん? 何を耳元でひそひそと......
「今日さ。どうしても、どうしても颯ちゃんと二人で行きたいところがあるんだ。こっそり何とか二人で抜け出せないかな」
「え?」
どういうことだ。
二人で抜けだす?
しかも何だ。何かモジモジしてる?
いや、理由もわからないし、いきなりそんなこっそりって.......無
あ、あれ? ちょっと待てよ。
その提案。やっぱり意味はわからないけど案外今日の俺にとっては......
「環奈、ちょっと後でそのことについて詳しく聞かせろ」
「え? い、いいの? うん! うん! ありがとう颯ちゃん!」
これ、もしかすると俺にもまだ希望が.......
「環奈ちゃん。いってらっしゃいませ!」
って、は?
愛梨? な、何だ。そのかしこまった挨拶と綺麗な笑顔........
お、おい愛梨。何で俺の時とそんなに差.......




