大嵐の前の静けさです?
「ねぇ颯ちゃんは何食べる? ふふ、楽しみだね!」
「そうだな。でも、何食おうかな」
何だかんだで、今日の俺は広瀬さんの代わりにシフトに入る日。
ただ、それは15時から。
そして今の俺は環奈に強引に誘われ、最近この辺りにできた洋食屋さんにランチへ向かう最中.......
久しぶりに今日は空手がオフらしいし、断るのもちょっとな。
それにしても楽しそうだな。まぁ、環奈ってほんと食べること好きだもんな
それにあそこは正直、俺も行ってみたいとは思っていたし問題はない。
問題はないけど........
「なぁ環奈?」
「ん? なーに? 颯ちゃん」
相変わらず彼女は距離が近い......
けど、まぁそれも昔からのことだしな。性格的なものだろうからもう何も思わない。
「あのー、愛梨に何か変なこと教えた?」
「ん? 変なこと?」
「例えばローキックとか.......」
破壊力抜群の鋭いやつ
「あぁ! 下段蹴りだね! 愛梨ちゃんすっごく筋が良いんだよ!」
やっぱり。
まぁ直伝ってはっきりと言ってたからな。
こいつ、それにしても余計なことを......
まだ足が地味に痛むぞ。何で教えた。
「でも、ほんと愛梨ちゃんって良い子だよね! 素直だし、お行儀も良いし、可愛いし、本当に理想の妹ちゃんだよ。羨ましすぎる!」
えーっと環奈はどの愛梨のことを言っている?
素直? お行儀が良い?
今、お前の口から聞こえてきた愛梨は、俺を困らせることを人生の生きがいにしていると言っても過言ではない我が妹の愛梨のことではさすがにないよな。
「あんなしっかりとした小学生いないよ。しかも低学年でしょ? お利口さんすぎだよ!」
お、お利口?
『ざぁこ』とか小学生に似つかわしい口の悪い言葉連発でキャッキャッと楽しそうに俺の足を蹴りまくっていたあいつが......お利口?
何言ってんだこいつ......
「ふふっ、しかももうあの歳でボーイフレンドだっているらしいよ。颯ちゃん負けちゃってるね」
え? 何それ? そうなの?
「と、ところで颯ちゃんはさ。彼女とかは欲しくないの? 愛梨ちゃんでもいるんだよ?」
「え? 俺?」
「う、うん。颯ちゃん的に......」
彼女か.......。
まぁ、難しいところではある。
あとその言い方止めろ。俺が愛梨に負けている様な言い方。
ま、まぁ実際はアレだけど。アレだ......
一応、俺も彼女がいたことはあるから......。一応。
まぁあいつとしてではあるけど........ある。
カウントにはギリ入れていい......はず。ギリ。
でも、結構大変だったからなぁ。
まぁ、その分楽しいこともいっぱいあったかもしれないけど.......。
「わからんな」
「そ、そっか。わからないか。ねぇ、颯ちゃんのタイプって昔と同じ?」
俺のタイプ?
「まぁ、変わってないとは思うけど。何で?」
「えーっと、あのー、そのー」
ん? 何だ。急にあたふたと.......。
と言うかさっきから何だその質問。
環奈にしては珍しいタイプの質問。
「そう言えば、何か調子悪かったりするのか? 確か、昨日も校外学習の班決め辺りからずっとぐったりしてたよな?」
別に環奈の班におかしな奴とかはいなかった気がするけど何故か.......
もしかして環奈のことだから変な物とか食べた系?
いや、それなら昼ご飯は誘ってこないか。ん?
「むぅ、颯ちゃんのせいなんだけど.....」
「ん? 何か言った?」
何だ? 普通に聞こえなかった。
とりあえず何故か隣には機嫌が悪い時の目をしている環奈
へ?
でも、そうか。そうなんだよな。
来週がもう校外学習.......。
絶対にあいつ何か俺に........
どうしようか。
あと、広瀬さんの誕生日も割と近々だしそっちも早めに用意しておかないといけないし。
色々と........
「ねぇ、颯ちゃん。別々の頼んでシェアしようね!シェア!」
「そ、そうだな。いつも通りな」
「うん!」
まぁ、とりあえず今はせっかくだしこっちに集中するか。
やっぱり定番のオムライスとかにしようかな。




