お兄ちゃんは大変です?
そうか。今日は土曜日か。
休日はやっぱり寝覚めが普段より良いな。
時計は9時.....。まぁ欲を言えばもうちょっと早く起きたかったかな。
まぁこの時間でも大丈夫だとは思うけど。
とりあえず、そんなことを考えている俺は虚ろな目を擦りながら1階のリビングへ。
確か、まだ昨日の菓子パンが余っていたはず。
って、マジか......。
俺の視界には既にリビングのテーブルに悠々と座っている妹の姿。
くっ、香奈........。
タ、タイミングがすこぶる悪い.......。
いつもならもっと起きてくるの遅いだろ。お前
しかも何でよりによって俺が食おうとしていたメロンパンを......。
最悪。本当に最悪。
まぁ諦める以外の選択肢はこうなったらもうない。
だって目に入るやいなや、俺のことをまるでゴミを見る様な目で見てくる妹とこんな朝っぱらからは出くわしたくはない。
いわゆる反抗期と言うやつなのだろうか。香奈は俺の妹とは全くもって思えない様なギャル。完全に華怜系。
いや、反抗期関係ないか。昔から結構こんな感じだったよな。
何というか、うちの家系は女が強く男が弱い。
後、女は美人で男は地味。
ヒエラルキーが完全に『女>男』だ。
母親も妹も気が強すぎて強すぎて。
香奈に至ってはさすがに環奈程ではないが物理的にも.......
今はやってないけど、こいつも結構長い間環奈と一緒にやってたからな.......。
当然、そんな環境下において父さんと俺にもう発言権なんてものは何もない.......。
全くない。
だから今回もとりあえず当たり障りのない様、あいつの視界に入らない様に......って
「あぁ、おはよ。お兄」
くっ.......もう見つかってしまうとか。
最悪すぎるだろ。って、ん? あれ?
お、お兄!?
え? は? お、俺のこと?
いつもなら『おい』もしくは『あんた』=『俺』だったろ。
な、何で。
いつぶりだよ。その呼び方。急にどうしたんだこいつ。
「は? 何その顔。ナチュラルにキモイんだけど」
そう。これがデフォ。
1歳こいつの方が歳下だけど力関係はこいつの方が完全に上。
なのに.......
「それにしても最近のお兄って結構変わったよねー」
「な、何が」
いつになく、目に映る妹の顔が上機嫌......。
本当にどうした。俺に対して笑っているなんて何年振りだよ......
「まさか、お兄があの憧れの華怜先輩と仲が良かったなんて全く予想もつかなかった」
は? 何でここで華怜の名前が?
あと仲が良い?
「ん? どういうこと」
「ふふっ、昨日あの華怜先輩に声かけられたんだー。お兄の妹かどうか急に確認されてさ、初めはマジバレたくないと思って全力で嘘ついてたんだけどー」
おい.......。えぐいなこいつ。
笑顔は笑顔でも言ってることほんとえぐいぞ。
「実際、バレちゃって。もう終わったーって思ってたら、まさかの逆に超優しくしてくれる様になった的なー。マジあのカリスマな華怜さんに声かけられただけでも神なのに名前まで覚えてもらっちゃったみたいで」
ん? そもそも何で華怜が?
「ほんとお兄の話で華怜先輩と盛り上がってさー。マジちょっとお兄のこと見直した」
え? 俺の話で盛り上がった?
どういうことだ。こ、これは何が起きている?
華怜が俺の妹の香奈と一緒に?
「特に色々話しているうちに何かお兄が最近色々と変わったって話に流れでなってさー。そこで確かにそうかもーと思って。その話が一番盛り上がったんだよねー」
お、俺が変わった話しが一番......盛り上がった?
い、いや......え?それって........
って、痛っ
「おい!どけ~!ざぁこ!ざぁこ!」
って、愛梨.......。
少し視線を下げると、そこにはtheツインテールのもう一人の妹の姿........
まずなんでいきなり蹴られるのかがわからないけど、そ、そんな言葉どこで覚えてきた......
しかも何でそんな楽しそうな顔で.......
小学校低学年にしてはちょっとその言葉はさすがに......
「愛梨、さすがのお兄ちゃんでもそんな言葉は「うるさい! お兄にしか言わないからいいのよ! ざぁこ!ざぁこ! うふふっ」
いや、どういうことだよ。俺にも言うなよ。
し、しかも何でそんな俺にローキックの応酬を
「環奈ちゃんじきでん!環奈ちゃんじきでん! ざぁこ! ざぁこお兄!」
本当に楽しそうに.......。
ま、まぁ俺にだけなら別にもう百歩譲って良いのかもしれないけど
ちょっと色々と頭がまた.........
言いたいことはたくさんあるけど、特に華怜あいつ........
あとやっぱり痛い。キック止めて愛梨.......
「たぁ! たぁ! てやぁ!」




