幼馴染も色々と考えています
じーっ........
やっぱり最近の颯ちゃんは色々とおかしいのかもしれない。
いい意味でだけど......。
いや、逆にそれは私にとっては悪い意味なのかもしれない。
颯ちゃんが優しくて、いざと言う時にものすごく頼りになる男の子であることは何ら今までと変わりない。
変わりないんだけど、颯ちゃん.......
何かさらにかっこよくなってなーい?
何かすごく女の子に慣れた感じだし。
何よ。その男の子としての余裕な感じ......。
どうしちゃったのよ。颯ちゃん。
もう、これ以上かっこよくなっちゃったら颯ちゃんの取り合いが起っちゃうかもしれないじゃない。
そんなの駄目だよ。絶対に駄目!
だって、颯ちゃんは、颯ちゃんは......
私が守ってあげないといけないんだから。
ずっと、ずっと。
なんせ、私が今こうして楽しく生きているのも颯ちゃんのおかげ。
颯ちゃんがあの時に私を救ってくれたから今の私がいるんだよ。
昔のあの時の怪我だって私のせいで......。
だから私はもっと強くならないと駄目なの。
今度は私が颯ちゃんを助けられる様に。
もっと、もっと。
「おーい、春風。何ぼーっとしてんだ。ほら、続きのところ読んで。もしかして聞いてなかったとか言わないよな」
「え、あ、はい......。よ、読みます」
やっちゃった。完全にやっちゃった。わからない。一体どこから.....。
うー、この先生こわいし超厳しいから絶対に後で怒られちゃうよ。これ
え?
すると遠くからはさりげなく背中の前で指を使って私にジェスチャーを送ってくれている颯ちゃん。
そ、颯ちゃん。
もしかして153ページの2行目?
と、とりあえずいくしかない。
「これからの社会は――――――――――――――― です」
ど、どう?
「はい。そこまででいいぞ。じゃあ次」
よ、よかったー。
ほんと颯ちゃん神。やっぱり好き。好きだよ。颯ちゃん!
で、でもまた助けられちゃったな。
また........。
こ、こんなことじゃ駄目だよね。
もっと、もっとしっかりした女性にならないときっと今告白しても颯ちゃんは.......。
だって全然釣り合ってない。
もっと女を磨いて可愛くなって、そしてもっともっと強くならないと本当に今の私じゃ多分........。
でも、そんなこと言っていたらもしかしたら別の誰かに颯ちゃんが......。
さ、幸い今は誰も颯ちゃんの良さに気づいていないおバカさんばかりだから助かっているけど。
うー、でもやっぱり最近の颯ちゃんを見ているとちょっと。
って、ん?
あれ? 大塚さん? もしかして颯ちゃんのこと見てる?
別に今、あそこに座っている颯ちゃんは先生にあてられて何かを答えているわけでもない。
なのにじーっと大塚さんは颯ちゃんの方を......。
う、うそ!? も、もしかして大塚さん、颯ちゃんのこと......
って、あれ?
あ、そ、そういうことか。
なーんだ。そういうことね。ふふっ
もう、びっくりしちゃったよ。
大塚さんの視線の奥。
つまり颯ちゃんの向こう側にはよく見れば藤堂くん。
大塚さんから振ったみたいだったけど、やっぱり未練があるのかも。
まぁ、以前はあんなにラブラブだったもんね。
おかしくはない。
それにしても、あんなに情熱的に見つめちゃって。
ふふっ、頑張れ。大塚さん。
ファイトだよ。ファイト。
私も頑張るから一緒に頑張ろうね。
それにしてもあの時の藤堂くんと大塚さんは本当に羨ましいぐらいにラブラブだったなー。
私もいつか颯ちゃんとあんな感じで.....ふふっ
な、なんか想像していたら恥ずかしくなってきちゃった。
それにしても颯ちゃん。やっぱりかっこいいなー。
「おい、聞いてるのか」
むぅ、でもあの娘はやっぱり要注意ね。
今思いだしたけど別のクラスの広瀬さん。
あの娘は危険。危険すぎる。
あんな男たらしさんがもし颯ちゃんの良さに気づいて目をつけてしまったら......
さ、さすがに何もしてないわよね颯ちゃん。ま、まぁまだバイト始めたばかりだしさすがにね。
「おい! 春風!」
「え?」
あ、あれ?
何で.......。
い、今、私の座る机の真ん前にさっきまで黒板の所にいた先生がいる......。
「春風、お前やっぱり良い度胸しているじゃないか」
「え、あ........」
そ、颯ちゃん、ヘルプ......は無理か。
「後で職員室に来るように!」
「は、はい......」
うぅ.....またやっちゃった。




