これは悪い夢...ですか?
何だ...? って、身体が...おかしい?
そう。息が苦しい? と言うか、何故か身体全体に、ぐっ、激痛!?
それに...さっきから俺の視界には見知らぬ景色...?
そう。俺の視界一面には確実に、自宅ではない場所の無機質で真っ白な天井。
と言うか、何だ。俺の口に何かがついて...
こ、呼吸器?
何だ? 本当に何なんだこれは? 夢...?
にしては、あまりにも痛みや苦しさがリアルすぎる。って、そんなことを考えていると、また激痛が...っ。
駄目だ。身体に引っ張られて俺の頭もおかしくなっている? いや、明かにおかしい。考えがまとまらない。意味がわからない。一体なにがどうなっている。
落ち着け。こういう時はとりあえず、一旦、落ち着くんだ。俺。
そして、思い出せ。こうなる直前まで自分が何をしていたのかを...。
確か、そう。そうだ。俺は学校が終わって、一通りやらなければならないことをした後、とりあえず昨日約束をしていた...
彼女の家に向かって...
それで...
そう。そこから記憶がない...
そしてこの状況...。
もしかして、考えたくもないが、俺は何らかの事故...に?
ぐっ、糞っ、しかも何だ、身体が重いというより、動かない? いや、動かそうと思えばこの世のものとは思えないほどの激痛がさっきから走って...、現実的に無理だ。
何だ。おい、真剣に何が起こっているんだよ、これ。
「ハハハ、おー、良かったぜ。ちゃんと生きてて」
って!?
な、何だ。
は!?
お、俺は一体何を見ている。どういうことだ。
こ、これが夢でないのであれば俺は本当に何を見せられている...。
ありえない。
そう。俺の目の前には本来絶対にいるはずのない、立っていること自体があり得ない人物の姿が...映っている。
本当に、あまりにもありえなさすぎる光景...。
何で、何で、俺の目の前に
俺が...いる。
そう。間違いなく、俺...がいる。
「やっぱり、最後に神が味方をしたのは俺のようだったな。風間ぁ!!!」
本当にありえない。
俺は風間颯太だ。その風間颯太の前に、風間颯太が...いる。
「しかも、俺が奇跡的にほぼ無傷だったことに対して、お前は数か月は身動きすらできないレベルの重症。ハハハハッ、自分の身体がそうなっちまった姿を見るのは痛々しすぎるが、まあ命に別状はないみたいだし、最終的には治るみたいだからな。どうでもいいわ」
も、もしかして...。
嘘だろ。いや、でも、そう考えるしか、他では辻褄が合わない。
でも、こいつ、この男が、本当に碌でもない奴だということを痛い程には、わかっていたつもりでいたけれど、まさか、こんなことまで...。
一歩間違えれば、自分もろともだぞ...どう考えても正気の沙汰ではない。
く、狂ってる。こいつ、狂いすぎだ。
「お...おま...くっ」
しかも、く、苦しくて声が、喋ろうとすると息が...
「おー、おー、無理すんな風間ぁ。俺の身体なんだ。しっかりと静かに安静にしておいてくれよー」
何だ。何で、俺は、俺にそんな邪悪な笑みを向けられている。
夢ならば覚めてくれ。嘘だろ。おい、何でこんな
「大丈夫だ。風間、ハハハハハハ、今回は前回と違って、俺が完璧にお前になりきってやるからな」
糞っ、駄目だ。これはまた、また、ありえないことではあるが、そう。俺とこいつ、藤堂は間違いなく
また、入れ替わっている。
そして、今回は明らかにこいつ
藤堂が...どう考えても、自分の...
「お前のスマホで、女達とのlineのやりとりも、しーっかりと見せてもらったぜ。大丈夫だ。俺が、お前の代わりに、ぜーんぶ上手くやってやるから。安心して寝とけ。風間ぁー。ハハハハハハハハハ」
さ、最悪だ。こいつ、こいつは俺の身体を使って絶対に...。
「お、おま、待..ぐあ」
くそ、何で、何で、こんな時に俺の身体は
「あぁー? 何ですか。しっかりと喋ってくださいー。かーざーまーくーん?って、あ、今は俺が風間くんか。ハハハハハ!!!!!」
駄目だ...。今回は明らかに前回とは勝手が違う。違いすぎる。
どうする。どうしたらいい。駄目だ。絶対に駄目だ。
「じゃあなー、お大事になー」
くっ、待て。声が、声さえちゃんと出れば
何で、何でこんな時に俺は
待て、待てよ!!! 藤堂、待ちやがれ!!!!!!!
動けよ。動きやがれ、動いてくれ、俺の身体!!!!!!!!!!!!!!!
何で動かないんだよ!!!!!!!!!!!
ぐっ、また頭に激痛が!!!
一応、胸糞悪い展開にするつもりはないとだけ言っておきます。




