092_王都ダンジョン8階層ボス周回
この物語はフィクションです。
登場する人物、団体、名称は架空のものであり、実在のものとは関係ありません。
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092_王都ダンジョン8階層ボス周回
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ここ数日は、兵士と使用人のジョブ取得を指導する日々を送っていた。
兵士のジョブは概ね目標通りのものが手に入った。ただし弓王を目指していた5人のうち、3人は取得条件をクリアできずに足踏みしている。
さすがに30連続一撃必殺は難しかったようだ。当たり所が悪くてHPを削りきれなかったり、命中せずに連続が切れてしまう。
まあ、失敗しても再チャレンジできるから、チャンスは何度でもある。何度失敗しても最後に30連続で一撃必殺すれば問題ないのだ。
それに取得条件がジョブ・村人に限定されているわけじゃないから、弓士に転職してから30連続で一撃必殺する道もある。
むしろ2人も弓王を取得したことのほうが僥倖だと思うべきだな。
あと使用人のほうだけど、元々農民が多く俺が奴隷として購入する前からジョブ・農夫に転職できる人がいた。そういった人は希望を聞いて農夫になってもらい、無駄に広い敷地内で畑を耕してもらうことになった。
俺のところにはローズがいるから種があればどんな植物でも育つけど、カモフラージュに丁度いいと思って畑を任せた。
その他に執事、侍女、料理人、庭師、厩務員、御者などに転職できるように、皆を指導している。
基本的に執事と侍女は礼儀作法だけでなく、色々な知識を身につけなければいけないので時間がかかる。
料理人に関しては料理レシピの知識が100以上あると、転職可能になる。だから俺とイツクシマさんが前世の料理レシピを思い出して、100種類以上用意した。あとは料理人になりたい3人がそのレシピを覚えれば、料理人を取得できるだろう。
庭師と厩務員、そして御者に関してはショートカットできる情報が得られなかったので、こちらも地道に取得条件をクリアしてもらいたい。
そうそう兵士と使用人たちには読み書き算数を覚えてもらっているんだけど、意外な才能を発揮する者がいた。
勉強はイツクシマさんとソリディアが協力して教えてくれているが、孤児のソドンが意外な才能を発揮しているのだ。
ソドンは読み書きのほうはボチボチだけど、算数にその才能を見せた。たった数日で四則計算を覚え、今はイツクシマさんがより高度な数学を教えている。多分だけど、数学で俺を超える日はすぐだろう。
しかし容姿はぼーっとしているように見えるが、ソドンはなかなか頭が切れるようだ。天才肌なのかもだね。
今日は何日かぶりにダンジョンに入ろうと思う。8階層のボスを連戦する予定だ。
そろそろグリッソムが出てくるはずだが、今日になるか明日になるか、それとも何日後になるか。
その待つイライラを8階層のボスにぶつけようと思っている。
メンバーは俺、アンネリーセ、ガンダルバン、ジョジョク、リン、ロザリナだ。
バース、ソリディア、コロン、カロンは兵士たちのレベル上げをしてもらう。
3階層を流してもらう予定だが、4人の他に神官も探索者もいるから、滅多なことはないだろう。
8階層のボス部屋。聳え立つ唐草模様のような彫刻があしらわれた石の壁のようなドアが、俺たちを阻んでいるかのようだ。
さて、今日は何回周回できるか。
「行くぞ」
「はっ!」
俺たちを迎え撃つ半魚人たちと、それを率いる半魚人王。
数は圧倒的不利。だが、俺たちなら勝てる。
「サンダーレイン!」
アンネリーセの魔法で雑魚を減らす。死ななくても大きなダメージを負っているから、雑魚はガンダルバンたちに任せて俺は半魚人王に向かう。
「最初から全開で行く!」
今はメインジョブ転生勇者Lv45、サブジョブ英雄剣王Lv35。
「喰らえ! ヒロイック・スラッシュ!」
熟練度が(中)になったスキル・ヒロイック・スラッシュは、半魚人王のHPを二割まで下げてくれた。
「次だ、乱れ斬り!」
英雄剣王Lv10で覚えたスキル・乱れ斬りは敵に最大で10連続の斬撃を与える。
無数の剣戟が、半魚人王を切り刻む。
「ちっ、6発しか当たらなかったか……」
10発全部当たるとは限らない。もっと剣の腕を上げないとな。
怒りに染まった目で俺を睨んだ半魚人王が、水を纏わせた拳で反撃してくる。
「そんなもの!」
カウンターを入れると、半魚人王の左腕を斬り落とす。
痛みに喘ぐ半魚人王に、追撃を与える。
HPはすでに一割を切っている。このまま行けば、完勝だ。
しかしそうは問屋が卸さない。半魚人王は、全身の毛穴(?)から水の弾丸を射出した。
周辺にいる敵味方関係ない範囲攻撃だ。
「うおーっ!」
残像を残して水の弾丸を見切る。
ステータスポイントをSTRだけじゃなくAGIにも振っていて良かった。いくらスキル・見切りがあっても、無数に射出された水の弾丸を躱すのは難しかっただろう。
今の水の弾丸の攻撃は、ガンダルバンたちにも届いた。
皆が苦悶の表情をするが、それは雑魚半魚人も同じだった。しかもアンネリーセのサンダーレインで大ダメージを受けていたところに、今の攻撃があったことで多くが地面に倒れている。
本来はガンダルバンたちの状態を気にするところだが、この場合の経験値はどうなるのかと不謹慎なことを考えてしまう。それも皆が倒れることなく立っているから、こんなことを考えられるんだよね。
「しゃらくせーっ! 英雄の帰還!」
英雄剣王Lv30で覚えたスキル・英雄の帰還によって、半魚人王を中心に灼熱ドームが形成される。
苦しむ半魚人王のシルエットの動きが次第に緩慢になっていき、倒れた。
半魚人王の討伐を確認した俺は、皆に視線を移す。
「皆、怪我の状態は? 重傷は負ってないか?」
「問題ありません。アンネリーセ殿が回復してくれました」
「そうか、良かった」
前回は出してこなかった範囲攻撃を出してくるとは、さすがに無駄に8階層のボスと呼ばれているわけではないと言うべきか。
この分じゃあといくつかは見たことない攻撃がありそうだ。厄介じゃないか。
「トーイ様。何か楽しいことでもありましたか?」
「アンネリーセ……。俺は楽しそうだったか?」
「はい。とても楽しそうです」
「そうか……。8階層ともなると、ボスが強いなと再認識しただけなんだけどな」
「たしかに強かったですね。半魚人王から離れていた私と、あの範囲攻撃を回避したトーイ様以外は全員被弾しましたから。しかしよくあの攻撃を避けられましたね。トーイ様がまるで何人もいるように見えました」
「出来る限りAGIを上げておいて良かったよ。そのおかげで回避ができた」
残像が見えるほどの速度が出るようになった。もちろんスキル・見切りの存在もあるだろうが、やはり能力を上げるのは基本中の基本だな。
「よし、休憩したら次行くぞ!」
「「「応っ!」」」
今回、俺たちは全部で6回、8階層のボス部屋を周回した。
最後の6回目に半魚人王の色違いの緑色が出てきて、風属性の魔法を使った。普通(青色)の半魚人王よりもレベルが高く52もあったが、危なげなく倒すことが出来た。
今回の8階層ボス周回で、アンネリーセ、ガンダルバン、ジョジョク、リン、ロザリナのレベルは51になっている。
俺は転生勇者Lv49、英雄剣王Lv45になった。
得たアイテムは次の通り。
<ボス半魚人・ノーマル>
・Cランク魔石 : 30万グリル × 360個 = 1億800万グリル
<ボス半魚人・レア>
・魔剣(片手) : ギルド換金額200万グリル × 2本 = 400万グリル
・魔槍 : ギルド換金額200万グリル × 1本 = 200万グリル
・魔弓 : ギルド換金額300万グリル × 1本 = 300万グリル
※魔武器は全て水属性。
<ボス半魚人王・ノーマル>
・火属性の魔槍(片手) : ギルド換金額400万グリル × 1本 = 400万グリル
・水属性の魔剣(片手) : ギルド換金額400万グリル × 1本 = 400万グリル
・水属性の魔槍(片手) : ギルド換金額400万グリル × 1本 = 400万グリル
・風属性の魔弓(片手) : ギルド換金額500万グリル × 1本 = 500万グリル
・土属性の魔斧(片手) : ギルド換金額500万グリル × 1本 = 500万グリル
<ボス半魚人王(緑)・ノーマル>
・風神の鎧 : ギルド換金額600万グリル × 1領 = 600万グリル
今日は1億4500万グリルの儲けになったが、半魚人王からドロップした武器は全部売らなかった。
あと、俺たちがレベルがあがったのと戦い慣れたことで、回数をこなすごとに召喚される半魚人の数が少なくなった。そのおかげで魔石の数が少なくなっていった。
それでも1億を超える金額が手に入るのだから美味しい。
俺たちは今回6人で8階層のボスを攻略したが、普通のパーティーでも数を揃えて挑めば問題なく倒せると思う。
探索者が1人いれば周回して1日で1億超えの金額を得られるのだから、仮に50人で挑んでも均等割りしても200万グリルを得られる。日本円で2000万円だ。美味しい仕事だと思う。
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