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082_若返薬

 この物語はフィクションです。

 登場する人物、団体、名称は架空のものであり、実在のものとは関係ありません。

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 082_若返薬

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 ▼詳細鑑定結果▼


 ◆聖赦官せいしゃかん : 神を崇め、神を代行する者。スキル・祈り(微)、癒し(微)、浄化(微)、転職(微)、贖罪(微)、罪痕(微)が使える。取得条件はジョブ・神官の上位職。神官が寝食を忘れ、修行に明け暮れることで転職可能になる。またはジョブ・村人で誰の手も借りず、素手だけで自分よりもレベルが高いモンスターを3時間以内に10体倒す。


 ・祈り(微) : 10秒間祈りを捧げることで、5分間スキル・癒しとスキル・浄化の効果を高める。消費MP2。(アクティブスキル)


 ・癒し(微) : 軽度の怪我や病気を完全に治療する。中度以上の怪我や病気は完治できない。消費MP5。(アクティブスキル)


 ・浄化(微) : 軽度の毒や穢れを払う。消費MP5。(アクティブスキル)


 ・転職(微) : 対象の転職可能ジョブを見ることができ、転職させることができる。消費MP20。(アクティブスキル)


 ・贖罪(微) : その罪に応じたMPを捧げて対象の罪を消し去る。(アクティブスキル)


 ・罪痕(微) : 対象のレコードカードに二度と消えぬ罪の記録を刻む。消費MP100。(アクティブスキル)



 犯罪者にとっては、喉から手が出るほど欲しいスキルがある。

 このジョブに就いてからなら、犯罪を犯しても聖赦官に戻ることができるし、犯罪歴も消せる。シャレにならん。



 ▼詳細鑑定結果▼


 ◆英雄剣王ヒロイック・ソードマスター : 兵を指揮してよし、剣を使えば万夫不当の者。スキル・ヒロイック・スラッシュ(微)、見切り(微)、指揮(微)、全体HP自動回復(微)、全身全霊(微)、不撓不屈(微)が使える。ユニークジョブのため、取得条件は合成(両手剣の英雄・剣豪)のみ。


 ・ヒロイック・スラッシュ(微) : 英雄剣技。邪悪な者の魂に癒えぬ傷を与える。HP上限を恒久的に本来のニ割まで低下させる。消費MP100。(アクティブスキル)


 ・見切り(微) : 回避率20パーセント上昇。(パッシブスキル)


 ・指揮(微) : 指揮下にある全ての者のSTR、VIT、AGI、INT、MIN、DEXを10パーセント上昇させる。指揮下に置ける人数は15人まで。(パッシブスキル)


 ・全体HP自動回復(微) : 自身と指揮下にある全ての者のHPを回復させる。回復量は毎分3HP。(パッシブスキル)


 ・全身全霊(微) : 自身のSTR、VIT、AGI、INT、MIN、DEXの各能力値を30ポイント上昇させる。MP上限値が30ポイント減少する。(パッシブスキル)


 ・不撓不屈(ふとうふくつ)(微) : 戦闘が長引くほど力を発揮する。戦闘時間10秒ごとにSTR、VIT、AGIに+5ポイント。(パッシブスキル)



 なんか強いな……。

 それにこの不撓不屈というスキルは、明らかに異常だ。

 STR、VIT、AGIの各値が1分で30ポイントも上昇する。戦闘が長引けば長引くほど、強くなっていくのだ。

 俺としてはありがたいし、育てようと思う。


 今のところ既存ジョブは十分に強いし、サブジョブやステータスポイントもある。仲間もいるからボスでも苦労はしない。


 さすがに8階層ではモンスターの数に苦労しているが、これもレベルが上れば問題なく対処できるようになるだろう。


 だから無理にジョブ合成するのではなく、転職可能ジョブを増やすことにした。そうすれば増やしたジョブで合成ができるかもしれない。


 とりあえず神官も転職可能にしておく。これは聖赦官の武器あり仕様で取得できるから、難易度は下がる。


 あとヤバい合成が1組ある。復讐者と暗殺者の組み合わせだ。この組み合わせは試す気が起きない。絶対にヤバい。

 それに暗殺者を合成素材にするつもりはない。どんなジョブになるか分からないし、レベルがリセットされたステータスポイントが40ポイントも下がるのは、すでに81ポイントも下がっているから痛すぎる。




 神官の転職条件をクリアして、休憩を取った。

 現在はメインジョブを転生勇者、サブジョブを英雄剣王にしている。


「俺のほうは終わったから、今度はイツクシマさんの番だね」

「うん」

 イツクシマさんの戦闘は……これは戦闘というより、蹂躙だな。

 爆破薬は範囲攻撃となり、モンスターが複数で出てきても瞬殺だった。


 モンスターを前に怖がるかと思ったけど、そういうこともなかった。

 俺のイツクシマさんのイメージは、控えめでおっとりとした子だった。それが喜々としてモンスターを爆殺するのだから、かなり驚いた。


 ちなみにクラスメイトたちのジョブを詳細鑑定で見ても、取得条件は分からなかった。おそらく召喚された人と同じジョブには就けないのだろう。

 ただしクラスメイトの中にも、一般的なジョブもある。それは剣士や槍士だが、そういったジョブは普通に取得条件が見える。


 公爵の屋敷に帰って、仲間たちと寛いだ。


「イツクシマさんが戦闘を躊躇しなかったのは驚きだったよ」

「こっちへ召喚されて数カ月。私も少しは覚悟を決めたから」

「すごいね、イツクシマさんは。それに比べてヤマトは……」

「ぼ、僕はヘビが苦手だって言ったよね」

「2階層はグリーンスネークだけじゃなく暴走イノシシも出てきたけど、ビビッてたよな?」

「い、いやそれは……」

「まあ、戦闘職じゃないから、怖いのはしょうがないか」

「そ、そうなんだよ! 僕も戦闘職だったらもっとね、ほら」

 何がほらだよ。まあヤマトはダンジョンの空気を感じるために入っただけだから、もう二度と入らないし構わないけどさ。




 さて、今日はメインのメンバーで、王都ダンジョンの8階層を攻略するつもりだ。

 ダンジョンムーヴで8階層に移動したら、メインジョブ転生勇者、サブジョブ英雄剣王に変更。

 今日はとことん英雄剣王を育てるつもりだ。


 半魚人の群れはおよそ50体。

「一気に片づけるぞ」

「「「応!」」」


 ガンダルバンを先頭に、俺、ロザリナ、ジョジョク、リン、コロン、カロンが突っ込む。


 ―――ガンッ。

 ガンダルバンの体当たりを受けた半魚人が、吹き飛んだ。


 ロザリナが一瞬で5発のパンチを繰り出すと、半魚人は地面に倒れた。


 ジョジョクの魔剣が半魚人の四肢を斬り飛ばす。


 リンの魔槍が半魚人の眉間を貫いた。


 コロン、カロンの姉妹が二人で一体を相手に戦い、攻撃を受けずに完勝する。


 ソリディアが召喚した三体の強化されたレイスが、半魚人の生命力を奪い取っていく。


 バースの魔毒の弓から放たれた矢が刺さった半魚人の動きが悪くなっていき倒れた。


 アンネリーセの雷魔法、サンダーレインが多くの半魚人を蹂躙する。

 相変わらずアンネリーセの魔法は半端ない威力だ。


 俺も負けていられないと魔剣サルマンで半魚人の首を斬り飛ばし、その流れで三体を屠る。

 AGIにステータスポイントを振っていることから、半魚人の動きはスローモーションだ。100体相手でも傷を負うことはないだろう。


「皆、怪我はないか?」

 ないと言うが、一応全員の状態を確認しておく。

 おっ! コロン、カロン姉妹のジョブが上位職に転職可能だぞ。


「カロン、コロンのジョブが上位職に転職できるが、どうする?」

「「え?」」

 そんなに驚くなよ。仲間になってまだ日が浅いけど、今までちょいちょい見てきただろ?


「できれば転職したいです」

 姉で小さいほうのコロンが言う。


「上位職への転職だからレベルが下がるものではないが、体の感覚が違うかもしれないぞ?」

「戦いながら修正します」

 今度は妹で大きいほうのカロンが返事した。


「分かった。コロンはハヤブサの双短剣士、カロンは暗黒重戦士だ」

 元々素早いコロンはさらに速度が上がるジョブ・ハヤブサの双短剣士Lv40になり、重戦士だったカロンは攻撃力がさらに上がるジョブ・暗黒重戦士Lv40になった。

 2人の転職は俺がサブジョブに聖赦官をセットして行った。レベルの高い2人を転職させたことで、聖赦官のレベルが2から7まで上がった。

 聖赦官のレベル上げを積極的に行おうとは思わないので、こういうのは大歓迎だ。




 何度か群れを潰して進んでいると、コロンとカロンも新しいジョブに慣れたようだ。

 おかげでかなりの戦闘力アップになっている。今やコロンもカロンもしっかりと戦線を支える存在になっている。


 さらにバースのスキル・広範囲探索に宝箱の反応があった。


「これはまた……」

 ガンダルバンが呆れる。


「物々しいな」

 俺も呆れるほどの半魚人の群れだ。

 宝箱はおよそ300体の半魚人の群れの中に鎮座していた。モンスターハウスとでも言うべきか。


「でも毒の沼よりはマシなのです」

「ロザリナの言う通りだな。こいつらなら、ぶっ飛ばせばいいだけだ。そしたら宝箱をゲットだぜ」

 聖赦官がある今なら毒もそれほど怖くないと思うが、わざわざ毒の沼に入る必要はない。


「300体は骨が折れますな」

 ガンダルバンが苦笑する。


「最初にアンネリーセの大魔法で数を減らしてもらおう」

「お任せください!」

 アンネリーセが力強く頷いた。


 アンネリーセがミスリルの杖を掲げ、集中する。

 愛の賢者であるアンネリーセの魔法は強力無比だ。しかも広範囲にその無慈悲なまでの魔法が降り注ぐのだから、モンスターとしてはたまったものではないだろう。


「サンダーバースト!」

 精神集中が終わったアンネリーセの口から魔法名が紡がれると、眩い光と轟音が鳴り響き半魚人を蹂躙した。


「凄いですな……」

「半分くらい倒したんじゃないですか?」

 ガンダルバンとバースが呆然と立ち尽くす。


「おい、ボーッとしてないで、行くぞ!」

「これは失礼しました」

 俺たちは残った半魚人の群れに突撃した。


 俺の右をロザリナが、左をジョジョクが固める。

 2人と共に攻め寄せる半魚人たちを薙ぎ倒して進む。


 コロンとカロンはガンダルバンとリンが守りつつ進む。

 ガンダルバンも魔剣を持ち攻撃力は高いし、魔槍を回転させ半魚人を薙ぎ払うリンがいるからコロン、カロンは心強いだろう。


「オラオラオラーッ!」

 どんなに半魚人を斬っても、魔剣サルマンの斬れ味は落ちない。

 いい魔剣をもらった。これは素直に王女に感謝だ。


 俺たちが半魚人を切り伏せていると、再びアンネリーセの魔法が炸裂した。あと少しだ。


 最後の半魚人を切り伏せる。

 さすがに少し疲れた。


「宝箱に罠はあるか?」

「いえ、罠はありません」

「よし、開けてくれ」


 バースに宝箱を開けてもらう。

 中には……。瓶が1本と革袋が1つあった。


「革袋を開けてみてくれ」


 俺は瓶を手に取って詳細鑑定してみた。



 ▼詳細鑑定結果▼


 ・若返薬 : この薬を飲むと10歳若返る。



 マジか。8階層ともなると、高値がつきそうなものが出てくるな。


「革袋には10万グリル黒金貨が30枚入っています」


 300万グリルと若返薬か。よい儲けになるな、これ。


 

ご愛読ありがとうございます。

これからも本作品をよろしくお願いします。


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次は金曜日更新かな……。多分。

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― 新着の感想 ―
[一言] 暗殺者はジョブを隠したり誤魔化したり出来るのが便利すぎてね、もうね。 若返り薬はお金に困ってないし、何かあった時のために死蔵かなぁ。
[良い点] 若返り薬を使ってメリットありそうな人が身近にいないし、だれのところに行くのかな?国王…どう?
[気になる点] 英雄剣王は2つのジョブのスキルの特徴を受け継いでるけど不撓不屈以外はなんか普通な感じがするな。レベルが上がると強くなるのかな? [一言] 暗殺者は隠密と壁抜けが便利すぎて唯一無二だから…
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