067_王都ダンジョン6階層
この物語はフィクションです。
登場する人物、団体、名称は架空のものであり、実在のものとは関係ありません。
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067_王都ダンジョン6階層
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王都ダンジョンの6階層に至り、公爵屋敷へ帰ると公爵から呼び出しがあった。
風呂で体を清め、公爵と共に夕食をする。
「ダンジョンに入っていたのか?」
「はい」
言葉短く答えると、公爵はダンジョン内のモンスターの数のことを聞いてきた。
「そんなにモンスターが多いとは感じませんでしたが?」
「それもそうか。昨日の今日だから1階層かせいぜい2階層だからな」
実は6階層ですとは言わない。ダンジョンムーヴで移動できるのは内緒。知られると面倒くさいことになりそうだから。
「陛下は現在病で床に臥せっておいでだ。謁見は1の月の25日目に行われることに決まったが、陛下の代理として摂政をされているエルメルダ王女が行う。それまでにあまり無茶をして怪我などするでないぞ」
へー、国王は病気なんだ。国王の噂って、あまり聞かないよな。意図的に隠しているのか、それとも噂されないような目立たない人なの?
25日の謁見で悪魔退治の褒美をもらって、30日は新年の挨拶の謁見か。面倒だから早く終わってほしいところだ。
「無茶はしませんから、安心してください」
モンスターハウスだって回避したんだから大丈夫ですよ。
「褒美については国からの勲章授与の他に、1000万グリルと魔剣の下賜だ。そなたの妻と家臣たちにも勲章の授与、200万グリル、魔剣または魔槍の下賜が行われる」
アンネリーセは妻枠に収まっているようだ。俺は全然OK。むしろ歓迎するけど、アンネリーセの許可を取ってないからクレームあるかも。クレーム入ったら萎えるんですが……。
「魔剣までもらえるのですか?」
「フットシックル男爵には宝剣に指定されているものだが、家臣たちには数段落ちるものが下賜されることになっている」
ガンダルバンたちは俺がエンチャントした魔剣や魔槍を持っているけど、どういったものだろうか? まさか俺のエンチャントしたものじゃないだろうな……。いや、フラグを立てるのは止めよう。もう遅いかもだけど。
しかしこの食事、味気ない。不味くはないんだ。味が薄いんだよね。最近は日本で食べていた料理を俺が作ったりゾッパに作ってもらっていたから、公爵家の味付けより濃くなっているようだ。カレーライスなんて、その最たる例だろう。
そう言えば、ドワーフのバッカスの豪快料理はしっかりと味がついていて美味かった。豪快な料理が多かったけど、俺好みの味付けだ。酒をバカみたいに勧めてくるのさえなければ、良い奴なんだけどなー。おかげで酒豪なんてジョブに転職できるようになってしまったじゃないか。
謁見まで少し時間があるから今日もダンジョンに入る。
ダンジョンに入ってすぐにダンジョンムーヴで6階層へ。
6階層の最初のモンスターはリトルエレファントLv17とリトルアイLv18だった。
リトルエレファントは小型のゾウ型モンスター。牙が6本あって足が8本ある。鼻が体長の3倍くらいあり、槍のように使ってくる。DEFとMDEFが高いから攻守ともに優れたモンスターだ。
リトルアイは目玉にコウモリの羽を生やしたモンスターだ。リトルなのに目玉の直径は1メートルもある。もっと大きな目玉の奴が居るのだろうか?
リトルアイが黒目のところから、光線を発射する。
ガンダルバンがそれを受け止める。かなりの熱量だが、ガンダルバンは怯まない。
「はぁぁぁっ、トリプルスラッシュッ!」
ジョジョクがリトルエレファントに向かってスキル・トリプルスラッシュを発動。リトルエレファントはいいところなく消滅した。
「とうっ、パワーランスッ!」
ガンダルバンとジョジョクを飛び越えたリンが、スキル・パワーランスを発動した。身軽なリンは槍を棒高跳びのように使って、アクロバティックな動きをする。
リトルアイは一瞬で消滅した。移動砲台のような遠距離戦専用の高火力攻撃といった感じだから、防御力は低いのだ。
ドロップ品はリトルエレファントからいきなりレアドロップの象牙、リトルアイからはノーマルドロップの目薬だった。
象牙は工芸品にもなるらしいが、剣や槍などの武器にもなるそうだ。異世界の象牙は金属に近い材質みたい。
6階層のモンスターは、必ず複数で現れる。リトルエレファントとリトルアイのセットで出てくるんだ。1体と1体の時もあればリトルアイが1体でリトルエレファントが複数と言う場合。リトルエレファントは4体の時もあったが、その時もリトルアイは1体だった。
レベルが低いと対処が大変だと思うが、俺たちはそこまで苦労しなかった。
俺、アンネリーセ、ガンダルバン、ロザリナ、ジョジョク、リン、ソリディアはタイマンで瞬殺できる。唯一バースだけはそうもいかないが、8体出て来ることはなかったから大丈夫だった。もし8体以上でもローズも居るし、ソリディアが眷属を複数召喚すれば済む話だ。モンスターハウスじゃなければ、問題ない。
6階層のボス部屋はファングエレファントLv25とエビルアイLv27。エビルアイは1体だけど、ファングエレファントが3体も居る。
ファングエレファントは牙が8本、足が10本、体高3メートルとかなり大きくなった。それにリトルエレファントよりもはるかにDEFとMDEF、HPが高い。この3体で俺たちを食い止めて、エビルアイでダメージを与えようという魂胆のようだ。
そうは問屋が卸さない。
「エビルアイを拘束して、俺たちに目玉を向けないようにできるか?」
ローズに聞いたら肯定した。なら問題はない。
「それじゃあ、エビルアイはローズに任せるな」
ローズはふよふよと俺の周りを飛び回って、肯定した。
「俺たちは3体のファングエレファントを先に潰す。防御力が高いが、鼻の攻撃にも気をつけるんだ」
皆の首肯。俺は右手を上げて、振り下ろす。それでガンダルバン、ジョジョク、ロザリナが飛び出す。
アンネリーセが火魔法のファイアストームでガンダルバンを援護。烈火がファングエレファントを焼き、そこにガンダルバンの魔剣が叩き込まれる。
バースはジョジョクが受け持ったファングエレファントに矢を射る。魔毒の弓から放たれたアタックアローは、深々とファングエレファントに刺さってダメージを与えた。バースは弓系スキルを持ってないが、魔毒の弓とアタックアローを併用することでATK値+100の効果がある。これは俺たちが装備している武器の中では最高の補正値だ。
毒の追加効果は発動しなかったかレジストされたが、そもそもボス相手にデバフは期待していない。
ソリディアがゴーストを3体召喚。黒く丸いゴースト3体をスキル・眷属合成で合成すると人型の黒い影のような体のゴースト改になった。
「テラーハンド!」
ゴースト改がファングエレファントにぺたりと触る。それを受けたファングエレファントは、後ろ足立ちになって何かに怯えだした。恐慌状態になったファングエレファントは見当違いの場所を攻撃している。それを見逃さずロザリナが攻撃する。
「凍える息吹!」
ソリディアの命令でゴースト改が凍える息吹を吐く。この凍える息吹はダメージを与えない代わりに、ファングエレファントの動きを悪くする。
武器の追加効果ではないからか、こういった効果はレジストされにくいようだ。
俺も攻撃を加え、1分ほどで3体のファングエレファントは消滅した。残るはエビルアイのみだが、ローズの茨のつたに拘束されていて身動きがとれない。さすがはローズと言うべきなんだろうが、エビルアイが間抜けすぎる……。
皆でエビルアイの目に剣や槍、矢を刺してサクッと消滅。いいところなしだな、エビルアイ。
ドロップアイテムはファングエレファントの鼻槍が2本とファングエレファントの革鎧1つ。
鼻槍は不格好なゾウの鼻の槍だ。ビジュアル的には使いたくないが、性能は悪くない。
レアドロップの革鎧のほうは普通の革鎧のように見えるからビジュアルに問題はない。防御力が高いファングエレファントの革鎧だけあって、良い性能だ。
エビルアイのドロップアイテムは強化眼薬という一時的にAGI値+10にしてくれる目薬だった。内容量を考えると、数十回は使える面白いアイテムだ。これは速いモンスターと戦う時に使わせてもらおう。
7階層に入ってすぐにダンジョンムーヴで6階層のボス部屋前に移動。6階層ボス周回して強化眼薬を入手しようと5回アタック。強化眼薬4個と呪術士用のアイズスタッフを1本入手。
アイズスタッフは100回分の熱線光線の触媒になるもので、100回使ったら消滅するらしい。エビルアイの熱線光線は1回も受けてないから威力は不明だが、いいものなんだと思われる。
ご愛読ありがとうございます。
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