065_王都ダンジョン駆け足
祝、書籍化決定!
ヤッター(∩´∀`)∩
この物語はフィクションです。
登場する人物、団体、名称は架空のものであり、実在のものとは関係ありません。
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065_王都ダンジョン駆け足
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公爵屋敷に帰って、さっそく石鹸を使うことにした。公爵屋敷の別棟でも貴族が泊まる屋敷だから、風呂がある!
「アンネリーセ。風呂に入ろう!」
「はい、お供します」
鼻歌を歌いながら脱衣所で服を脱ぐ。
石鹸とシャンプー、そしてトリートメントはちゃんと用意してある。
「ここに座って」
「はい」
アンネリーセは何をするのかと、不思議そうに風呂用の椅子に座る。
「お湯をかけるよ」
「自分で」
「いいから、いいから」
アンネリーセの体にお湯をかけていく。
先ずは石鹸から。タオルで石鹸を擦ると、泡立っていく。白い柔らかな泡でアンネリーセの体を包み込んでいく。
「これは……なんだか気持ちいいです」
「これは体を清潔にしてくれる泡だよ。でも食べてはダメだからね」
「はい」
背中を洗うと、今度はOPPAIだ。たわわに実った果実の下側から円を描くように洗う。時々アンネリーセが色っぽい声を出すから、俺の息子も元気だ。
果実の最高峰の登頂に成功した俺は最高潮!
「ご、ご主人さま……」
アンネリーセは俺の腕に手を置くも嫌がることはない。
次は脇から腰を通ってお尻へ。そしてアソコも優しく洗う。
「今度は私が」
「うん、お願いするよ」
アンネリーセのサービスは筆舌に尽くし難かった。もうね、天国だよ。そのまま昇天するかと思った。
髪も洗いあいっこした。アンネリーセの髪は長いから、自分で洗うのは大変だと言う。それからトリートメントで髪を労わる。
「肌が白くなったようです! それに髪のコシが出た感じがします!」
湯舟に浸かっている間、アンネリーセは石鹸、シャンプー、トリートメントを褒め囃した。
身振り手振りを踏まえて褒めるものだから、OPPAIが凄く揺れていた。
イツクシマさんがこの3点セットを作ってなかったら、この素晴らしき光景を見ることはできなかっただろう。手を合わせて感謝だ。
さっぱりした後はアクセサリーへのエンチャントだ。
買ってきたアクセサリーはイヤリングと指輪。アイテムボックスのクイック装備では、指輪のセット枠がない。でも指輪を嵌められないわけじゃない。あくまでもクイック装備枠がないだけだ。
イヤリングは真珠のような白い球がついたものだけど、この球は魔石を加工した魔結晶というものらしい。特に効果がエンチャントされているわけではないので、アクセサリーとして扱われている。
イヤリングは2個で1セット。1個1個にエンチャントできるのか、セットにエンチャントなのか。
先ずは1個に対してエンチャント・ハードを施す。
「………」
どうやら上手くいったようだ。耐久値が上昇している。
さて、ここまでは上手くいった。多分、この後も上手くいくだろう。問題はどんな効果を何をエンチャントするかだ。
「そうだ、あれがあったな」
エンチャンターLv35で覚えた魔法だ。
「エンチャント・レジストポイズン」
成功だ。毒耐性がちゃんとついている。
ただし1個にしかエンチャントしてないが、詳細鑑定では2個セットとある。
1個に1つのエンチャントとはいかないようだ。
他のアクセサリーにもエンチャントした。アイテム・エンチャントの熟練度がまだ低いから大きな効果はないだろうが、それでもまったく効果がないわけじゃない。
・耐微毒のイヤリング : 微毒に耐性を得る。耐久値7/7。
・マナイヤリング : MPを徐々に回復する。回復量は毎分10MP。耐久値8/8。
・耐魔のネックレス : MDEF値+25ポイント。耐久値7/7。
・思考のネックレス : INT値+10ポイント。耐久値8/8。
・剛腕の腕輪 : STR値+10ポイント。耐久値12/12。
・思考の腕輪 : INT値+10ポイント。耐久値11/11。
いい感じだ。今はまだアイテム・エンチャントの熟練度が低いからこんなものだけど、熟練度が上がればもう少し良い効果がエンチャントできるだろう。
耐微毒のイヤリングと思考の腕輪はアンネリーセに使ってもらおう。公爵から譲ってもらった魔女の首飾りもあるので、これでアクセサリー枠が埋まった。
マナイヤリングと思考のネックレスはソリディアがいいだろう。
耐魔のネックレスはガンダルバンに……金チェーンに小さな宝石が1つのネックレスだから男でも大丈夫。だと思う。
剛腕の腕輪はロザリナにしよう。この剛腕の腕輪は、前衛全員に配備するようにしよう。
腕輪はいいが、イヤリングとネックレスは男性の装備としてちょっと恥ずかしい。男性用のデザインでイヤリングとネックレスを作ってもらえないか、今度聞いてみよう。
転生89日目。今日は王都のダンジョンに入ってみることにした。
褒美をもらうまでには、まだ時間がかかるようだから構わないだろう。
王都のダンジョンはジョルズ迷宮と言われている。完全武装して探索者ギルドに向かい職員から情報を聞くが、大した情報はない。そもそも冊子を買えというのが、探索者ギルドのスタンスだ。
冊子を購入してそのままダンジョンに向かう。王都のダンジョンはなんと建物の中にあった。ダンジョンの入り口の、黒い空間の歪みのようなものは変わらない。
昔は王都の外側にあった入り口だが、王都が大きくなるにつれダンジョンの入り口の周囲にも開発されていったそうだ。その際に入り口を建物で囲ったらしい。
安全面は別として、町中にダンジョンの入り口があるのは便利でいい。
入り口を通り過ぎると、別世界が広がっていた。
「ジャングルかよ……」
ケルニッフィのダンジョンのような閉鎖された空間ではなかった。生い繁る木々による圧迫感はあるものの、マイナスイオンが感じられる……ことはない熱帯雨林のような場所だ。それでも天井は無骨な岩が見える。洞窟の中の熱帯雨林だね。
木々はそれほど太くない。背も高くない。でも木々の数が多く、真っすぐ歩けそうにない。
「バース。最短ルートで頼む」
「はっ」
ジョブ・冒険者のバースには、スキル・移動ルートがある。これでボス部屋まで最短距離で進める。
ギルドで買った冊子の情報では、1階層に罠はないらしい。
冊子にはマップも描いてあるが、地図と言うには烏滸がましいものだ。それよりはバースに先導してもらったほうがいい。
俺はメインジョブを暗殺者にし、サブジョブは探索者にする。スキル・偽装でジョブが剣豪に見えるようにして、さあ進もう。
1階層に出てくるモンスターはグリーンスネーク。グリーンスネークは木々の青に紛れていると発見しづらく、奇襲を受けやすいモンスターらしい。
「左の木の枝にグリーンスネークです」
アンネリーセがグリーンスネークの魔力を感知。俺も気づいていたけど、アンネリーセに譲ったんだ。
探索者になったばかりの村人が奇襲を受けたらかなり危険だけど、俺たちが奇襲されても問題はない。そもそも毒や特殊な攻撃がないレベルが1や2のグリーンスネークでは、俺たちにダメージを与えることはできないのだ。
トンネルを形成する木の枝の上に、グリーンスネークの姿があった。葉の青に隠れていて、かなり分かりにくい。
体長は1メートルくらいか、その割に太めの胴体だ。さすがに人間を飲み込むほどの大きさはないが、あの太い胴体で首に巻きつかれたら新人では助からないかも。
ヒュンッ。バースが射た矢がグリーンスネークに命中。地面に落ちて消える。矢は残ったのでまた使うために回収。ドロップアイテムは緑色の蛇皮だ。
今の矢はエンチャントされてないもの。レベル1のモンスターにエンチャントの矢は勿体ないと思っているようだ。
小走りに進んで、ボス部屋まで進んだ。出てきたグリーンスネークは瞬殺。
ボス部屋の前には2パーティーが順番待ち。ここで小休憩。
小休憩のつもりが、2時間近く待たされた。先に入った探索者たちは、それだけ厳しい戦いをしているんだろう。
ボスをリンの1突きで瞬殺し、2階層へ。
2階層のモンスターはグリーンスネークと暴走イノシシ。レベルは3から6だ。2階層も小走りで駆け抜けた。今日中に4階層へ入りたい。そのために急ぎ足だ。
3階層も駆け足。だが、途中で俺は皆を止めた。
「あっちに宝箱の反応がある」
まだかなり距離があるけど、間違いない。
「宝箱なんて久しぶりだな」
「宝箱は年に1回発見できればいいほうですよ」
アンネリーセに呆れられてしまった。そのあきれ顔も綺麗だよ。
「探索者と冒険者がいるんだ。宝箱発見率が上がってもいいはずだぞ」
探索者はスキル・宝探しを持っているし、冒険者はスキル・広範囲探索がある。宝箱に関しては熟練度の差で俺のほうが探知範囲が広いけど、広範囲探索は宝箱以外にもモンスター、罠、人間の気配が分かるから便利と言えば便利だ。ただし広範囲探索はアクティブスキルだから、定期的に発動させないといけないところが面倒だな。
俺たちは宝箱があるであろう場所に進んだ。
「これは酷いですな」
ガンダルバンたちが絶句。俺も呆れ果てている。
「宝箱の周囲が毒の沼とか洒落にならんだろ(笑)」
呆れて笑うしかないくらい、禍々しい沼に守られた宝箱だった。毒の沼に入ったら、もれなく毒に侵される。ゲームならHPが減るのを回復しながら進むが、さすがにリアルでそれをする勇気はない。
宝箱までの距離はおよそ30メートル。エンチャント・レジストポイズンはあるが、沼の深さが分からないから進む気にならない。
「トーイ様。私に任せていただけないでしょうか」
「何か手があるの?」
アンネリーセは力強く頷いた。任せることにした。
「マナハンド!」
ヌボーッと半透明の手が伸びていく。なるほど、その手で宝箱を開けるわけか。しかし30メートルもあるのに大丈夫か?
スキル・魔力の源泉でMPが自然に回復するから大丈夫そうだ。それにアンネリーセのMPはかなり多い。
マナハンドが宝箱に届き、その蓋を開ける。罠はない。毒に守られているのに宝箱自体に罠なんかあったら最悪だ。悪意しか感じられない仕様じゃなくて良かった。
マナハンドが宝箱の中身を掴んで戻ってきた。
「便利だな、それ」
「制御が難しいのですよ」
「それを制御するアンネリーセが凄いってことだ。やっぱり俺のアンネリーセは素晴らしいな!」
「そ、そんなことは……」
アンネリーセの頬が朱に染まり、体をくねらせる。
マナハンドが持ち帰ったお宝は、弓だった。
「これ、いいものだな」
青黒い弓に、朱のラインが入っている。毒の沼の宝箱から手に入れたためか、ちょっと禍々しい感じの弓だ。
・魔毒の弓 : ATK値+55ポイント。射た矢に追加効果・毒を付与する。任意でMPを消費することで、ATK値を上昇させる。消費MP1でATK値+1ポイント。耐久値115/115。
「これはバースに使ってもらおうか」
今のところ弓を使うのはバースしか居ないからな。
「いいのですか?」
「弓士が居るんなら別だが、問題ないだろ」
「ですが売ったらかなりの金額になると思います」
「金には困ってない。それよりも戦力上昇のほうが重要だ」
エンチャンターのおかげで魔剣などのマジックアイテムを作れるから、資金は潤沢だ。マジックアイテムがなくてもボス周回すれば、大金が手に入る。
ちょっと遠回りしたが3階層を駆け抜けた俺たちは、ボスをサクッと倒して4階層に到着した。駆け足が良かったのか、夕方になる前に4階層に到着した。
ダンジョンムーヴで1階層に移動してダンジョンを出る。ダンジョンムーヴ便利すぎ。
ご愛読ありがとうございます。
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